揺れる灯
「ロマーンティック。」この言葉は私にキャンドルの炎を思い起こさせる。
ここ数年はぐっと減ったが、トルコでは停電は日常茶飯事である。それもまず前もって連絡があることはない。バックアップがない一般家庭で電気製品の寿命が短いのは、使用中にいきなり停電してしまったりするこの国の電気供給の不安定さも一因だと思われる。シャワーを浴びていて停電、最後は水浴びだったとか、雪の降る日に停電、高価な床下暖房もモーターが動かなくては無用の長物だったとか、コンピューターで作業2時間かかったレポートがあと1歩のところで全部消えてしまったとか...停電にまつわるこの手の話題にはことかかない。しかも復旧がいつになるのか分からないところが、トルコの停電の不安でわびしい気持ちにさせてしまうところだ。慣れない日本人には相当辛い。
しかしトルコ人はさすがに慣れたものだ。夜に停電となれば、暗闇の中にさっと取り出すろうそくの束!テレビがなくてもお喋りがあり、夕食はまだ冷めてもいない。ろうそくの灯りで食事なんて、なんてロマンチックなこと!とあくまで前向きである。停電があるたびにいまだ準備を怠り、ここでもないあそこでもないとろうそくを求めて暗闇を徘徊する私の脳裏には彼らのあのうっとりした、揺れる灯りに照らされた顔が思い浮かぶのだ。
「ロマーーンティック!」
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