香港の水の歴史を知る貯水池

公開日 : 2022年01月24日
最終更新 :
筆者 : 武田信晃

香港の深水埗(Sham Shui Po)地区に「前深水埗配水庫(Ex-Sham Shui Po Service Reservoir)」という貯水池がありました。1904年に完成した貯水池で歴史的建造物1級に指定されています。(写真提供:香港政府新聞処)

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香港は昔から水の確保に苦労してきました。ダムなどを作ったりして昔よりは安定している水の供給ですが、それでも中国本土からいまだに水の供給を受けています。香港は高温多湿な気候のため、特に夏場、水が足りないとなるとそれは命に関わる問題といえます。帝国主義の時代、通常本国は植民地にはあまりお金をかけませんが上水道だけは整備しようと努力しました。その方策のひとつが香港各地に貯水池を作るという方法でした。貯水池に地下水を溜めて水を確保しようとしたのです。

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前深水埗配水庫は1910年に九龍水塘(Kowloon Reservoir)ができるまでは大きな役割を果たしていました。直径が46メートル、高さは6.85m、容量は9900立法メートルと大きなもので、天井の崩落を防ぐため横60cm x 縦45cm x 高さ30cmの花崗岩14個を積み上げて支えていますが、天井と柱の接合部はレンガをアーチ状にすることで(橋に使われる技法)強度を上げ、天井をしっかりと支える工夫をしています。その結果、写真にあるように幻想的な空間を演出しました。

ここに行くには水務署(Water Supplies Department)が主催するツアーに申し込む必要があります。現在はオミクロン株の影響で休止中しています。来月からは予約が再開する予定とのことです。香港に新しい観光スポットができたという感じですが、香港の発展の歴史の一翼を担った場所といっても過言ではないと思います。

筆者

香港特派員

武田信晃

新聞社や香港現地邦人紙の記者/編集者を経て、フリーランス・ライターとして活動中。スポーツ、グルメ、エンタメまで幅広くカバーしている。

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