毒粉ミルク事件の余波

公開日 : 2008年09月17日
最終更新 :

中国で粉ミルクに毒物が混入し、それを摂取した赤ちゃんたちが腎結石にかかるという前代未聞の事件が連日報道されています。被害にあった赤ちゃんの数は3万人とも4万人とも言われており、潜在的は被害者を含めると、膨大な数に昇ります。

ここ香港でもその余波は強烈です。

香港の「食」はその大部分を大陸に依存しており、乳製品も例外ではありません。

問題となった「三鹿」ブランドの粉ミルクはもちろん香港のどこでも購入可能、しかも粉乳としてアイスクリームやヨーグルトなどの加工にも使用されています。直ちに当局が検査を行ったところ、香港で3年も販売されている「伊利」ブランドのヨーグルトアイスバーから、粉ミルクに混入していたのと同じ毒性成分のメラミンを検出、速攻販売停止となりました。ただしこのアイスバーは「三鹿」ブランドのミルクは使用されていませんでした。ちなみにこのメラミン、大人が摂取した場合は腹痛を起こす可能性はありますが、摂取して死ぬほど毒素が強いものではありません。長期間摂取し続けた場合はその限りではありませんが。。。

また他ブランドのミルクからもメラミン混入を発見。その数22ブランド69製品!!

いずれも国内有数の大手メーカーが生産している商品です。

香港でもスーパーで普通に売られており、日常的に市民の口に入っているものばかり。

原因は原材料の牛乳を納品している酪農農家が、品質検査をパスさせるためメラミンを故意に混入してたんぱく質含有量を高く見せかける偽造工作をしたせい。

「人体には無害だと思った」というのが容疑者の弁ですが、この手の偽造工作が一般的に広くまかり通っていたことは想像に難くありません。

中国では食品管理の法整備が叫ばれており、10月1日から一部の法が改定される直前の不祥事発覚となりました。しかも今年の3月時点で、メーカーの地元政府は混入の事実を知っていた、との報道もあります。地元の利益優先のために(大企業の納税額は地方政府の重要な収入源ゆえ)、人命にかかわる事実を隠匿、半年以上もの間販売を継続していたというから開いた口がふさがりません。

また中央政府も8月初旬には事実関係を認識していたにもかかわらず、オリンピック期間中は公表を控えていたのです。

もちろん、全ての中国製品が危険で汚染されているというわけではありません。しかし、毒餃子事件以降、がた落ちとなってしまった中国産食品への信頼はこれで完全に失墜し、ひいては中国製品全体に与えるマイナスイメージを払拭するには、相当の時間と国家規模の努力が必要となるでしょう。

ここ香港も現在では中国の一部。この事件は対岸の火事ではなく、直接かかわりのある大問題です。

が、香港には香港独自の法体制があり、規模の小さい地域でもあることから、問題への対応も迅速かつ公正な情報公開制度が働いている点が国内とは違います。

また日常生活に海外からの輸入品が中国産と同じくらいの量流入しているので、今すぐどうこうということはないでしょう。香港ブランドの牛乳や外国産のものはひとまず安全が確保されています。

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