ラフスケッチ Lào Cai 越中グラデーション国境の町

公開日 : 2017年12月15日
最終更新 :
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このゲートの向こうは中国です。

ベトナム有数の観光地サパへの起点駅として旅行者の通過点となるラオカイは、ベトナムの北西部にある中国との国境の町。向こう岸には習近平国家主席の大きな写真、近代的なビルディングがそびえ、ベトナム側のラオカイとはずいぶん違い、中国河口は豊かなムードが漂っているように見えました。

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しばらくボーダー付近で橋を眺めていましたが、夕暮れ前の国境の風景は独特なものがありました。大量に荷物を積んだ行商の人々が中国からベトナムに戻って来る姿。それが途切れなく次々現れてはベトナムに入って行きます。

自転車におびただしい量の箱を高く積み上げ、自転車は軋み、歪み、押しつぶされる寸前。二人で押しても動かないほどの荷物を積み、崩れそうになる小さな自転車を必死に支えています。

小さな華奢な自転車が、重さに耐えられず動けなくなっている。そんな風景は初めて見ました。

私が無言でその様子をいつまでも見つめていると同行してくれたガイドさんが、

「安いものを目一杯仕入れてベトナムに持って来て売るんだ」

とつぶやきました。

ふと、ハノイで現地の人々から何度も聞かされた

「ハノイで買う安いものはベトナム製じゃないよ」

そんな言葉が思い出されました。

確かに、ベトナム人はMade in Vietnamにこだわっていると感じています。

しかし、すべてにおいてそれが真実かどうかは疑問ですが、ベトナムの人々のプライドの高さ、観光客の"安売り期待""値切り交渉"を嫌う店のオーナーたちなど、出会った人々の言葉から、この状況から変わり発展を遂げたいベトナムの人たちの気持ちが伝わります。その努力が一部では進みつつあると実感しながらも、依然世界が混然とし、まだ多くのことが途上で簡単に変われないベトナムを、この自転車から物思うものがありました。

「この国境を通ってたくさん安いものが毎日ベトナムに入って来る。本当は日本製品が欲しいし、ベトナム製品を買いたい。でも、こうして入って来る中国製品は安いからね。"安い"を理由に物を買うのは嬉しいことじゃない。でも、それしかないから仕方がない」

そう、複雑な表情で言いました。

こちらも複雑な思いの中で見つめる風景でした。

「国境越えたい?」と、私に中国側に渡る事を勧めてくれましたが、私はシングルビザしか持っていなかったため実現できませんでした。ベトナムからもう1カ国以上行き、ベトナムに戻る場合は、たとえ数時間の国境越えでもマルチビザが必要です。ひとたび出れば、ベトナムへの再入国は31日以上経たなければできないのがルールです。

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国境貿易が盛んなラオカイの町は不思議なムードがある街でした。町の随所に中国語。ショッピングセンターも中国製の服、バッグ、靴に埋め尽くされ、レストランの料理も、気のせいか中国料理に近い感じがしました。ベトナムと中国が入り混じったグラデーションのような町、その不思議さが独特の風情を作っています。

滞在時間4時間。国境貿易を主とした経済活動に支えられている町という印象で、ラオカイにはこれといった観光資源はありませんでした。なのに妙に忘れられない町でした。

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Photos & writing © Midori Nakagawa

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