ラフスケッチ Hanoi #4 「その犬の名は」雨の夜のハノイはすこし悲しい

公開日 : 2017年10月18日
最終更新 :
らふすけ 犬の名は 1.JPG

雨の夜のハノイには、

不思議な扉があります。

それが、特に何でもない小さな路地裏

濡れそぼる電線から滴る雫

テラテラと黒光りする道

うなだれる街路樹の枝

食堂も人が少なく店は退屈

どんよりとした時間が長く続いて

そのまま止まってしまった様な、

そんな時間にその扉が現れたりします。

IMG_1263.JPG

切ない目をした野犬のお母さんが

小さなチキンライス店の屋根を借りようと

2匹の仔犬を連れて

入り口に場所を取っていました。

仔犬は無邪気に

雨で湿った段ボールを噛んで

夢中になって転がりまわっていました。

私は今夜は一人ごはん。

夕食を作る気にもなれず

テイクアウトで済ませてしまえと

立ち寄った路地のそのお店、

そこに犬が立ちはだかり進めません。

意を決して入って行けば、

ふわりとお母さん犬の頰が、

吸い付く様に脚に温かく触れました。

仔犬も足元でじゃれつき進めません。

「私たち親子の面倒をみてもらえませんか」

このお母さんは

特別にそんな悲しい顔をしてるので

そう聞かれているかの様に思えて

辛くなっていしまい立往生。

すると奥からお店の奥さんが、

中秋節終わりのラメのハタキを振り回しながら登場し、

恐ろしい剣幕で犬の親子を追い払ってしまいました。

それでも、何度も屋根の下に戻るたび、

奥さんが追い払い続け、

ついに親子は雨の中に消えて行きました。

もし犬に名前があれば、

追い払われることも無いだろうに。

そう思うのは偽善ですね。

しかし、日本ではもう見ない光景です。

街に野犬

野犬の親子

仔犬

拾ってきては母に叱られて泣いた記憶

私が子供の頃は、

日本の都市にもまだそんな風景がありました。

兄が犬嫌いで、

道で犬に出くわすとヘタレになって怯えていた、

そんな事も思い出しました。

ひとりハノイの風景の中にいると、

たかだか雨の夜に、

そんな記憶がポッと沸いて出てくる時間があります。

記憶の扉を見つけて

思わず開けてしまう。

そして、

記憶のループが壊れたように、

しばらく巡り続けます。

それがハノイという街の「不思議」なのだと思います。

らふすけ 犬のなまえ.JPG

ベトナムに限らず、海外では野犬やネコに

安易に触れないようお気を付けください。

また、近づかないよう注意をしてください。

ケガ、狂犬病などの危険があります。

☆ラフスケッチHanoiは気まぐれに更新中☆

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