これは不味いっ!? 飲んではいけないハノイ名物"エッグコーヒー"
カテゴリー:レストラン・料理・食材 / 生活・習慣・マナー 投稿日:2017年4月10日
今週もハノイからお届けします。
「長所は何ですか?」
と、聞かれたら
なんでも美味しく食べられるほどの食い意地です。
その様に、どの国の何を食べても
大抵美味しく感じてきた私ですが、
ごくシンプルなはずのこの飲み物だけは
"二度は飲めまい"
そう、感じました。
その名は、エッグコーヒー。
☆ ★ ☆ ★ ☆
ベトナム名物にエッグコーヒーというものがあります。
エッグコーヒーというのだから、
卵が入ってるのだろう、とは推測していました。
しかし、どんなコーヒーかはよく考えず
「名物ならいつか飲まねば」
ただそれだけで、
ふらりとドマイナーなローカルカフェに座り、
気分とノリで注文して後悔しました。
まさか、生卵が入っているとは。
一瞬、カプチーノのようにてっぺんが泡立ったコーヒーが出てきます。
でも、その泡立ち方がなんか妙です。
よーく見ると泡が黄色っぽくて
ちょっとつややか。
そして、
口に運ぶ前に気が付きます。
これは、生卵...... 。
あの、むわんとした独特の生臭さが
無邪気に鼻にまとわりつきます。
冷たくもない、温かくもない、
リアルな生卵的温度の
エッグコーヒーを一口すすって
無言、無表情でカップを置いてじっと考えていると
後ろからカフェのギャルソンが迫ってきて
混ぜて!!
もっと、よく混ぜてよ!!!
と、情熱的なジェスチャーで攻めてきます。
イヤイヤぐるぐるとかき混ぜて
濃くて、ものすごく甘いベトナムコーヒー汁に
中途半端に泡立てられた、
常温の卵黄がしっかりと混ざるまでかき混ぜ続けました。
ギャルソンが、よし、それでいい。
と、満足気な表情に変わり、
じっと見られたら、
飲まないわけにもいかないプレッシャーに負け、
ズズッとふたくち目を飲みました。
すると、いやな記憶がよぎりました。
それはタイ・プーケットで
高級ホテルに泊まりながらも、
半熟卵のカルボナーラを食べ、
飛行機に乗れないくらいの
ひどい腹痛に襲われた友人のこと。
または、
同タイ・サムイ島でのバカンスの最終日、
うっかり気が緩んで、
朝食に半熟卵の目玉焼きを食べ、
バンコクへ向かう飛行機で腹が激痛。
トイレのおこもり僧になってしまった
別の友人のこと。
今日はこの後、家まで無事到着できるのか、
それが気になることしきり。
海外で卵を甘く見てはいけません。
すると、驚くようなタイミングで
卵売りの行商が目の前に。
若いベトナム女性がビルから出てきて
さっそく幾つも購入しておりました。
きっと新鮮でおいしい卵なのだと思います。
そう思うほどに
気分が黄昏てきてしまいました。
★ ★
それでも、すこしずつ飲みながら
なぜベトナムの人は、
コーヒーに生卵を入れて飲むようになったのか。
この不味い飲み物の理由を考えました。
すると、昔、
オロナミンCに生卵を入れて飲むのが流行った、
昭和の日本を思い出しました。
確かに見回せば、多くのベトナムの人たちはスリムでおられます。
すこしでも滋養の良いものを、
手軽に摂取する知恵だったのかもしれません。
日本だって同じです。
栄養第一だった昭和の飲み物が懐かしくも浮かび、
今の東京の食はどれだけ洗練されてしまったのかと、
反省しているうちに飲み終えました。
これが本当かどうかはわかりませんが
「ベトナムで牛乳が不足した際に、乳製品の代用品として卵黄を使用(ウィキペディアより抜粋)」
という説もある様です。
食の工夫は"愛"ですね。
★ ★ ★
エッグコーヒーの発祥はこのハノイ。
でも、無名のローカルカフェで飲んだので
本格的とは言い難く、
もっとおいしい店があったのかもしれません。
しかし、海外での生卵は用心が必要。
飲まないに越したことはありません。
皆さまがエッグコーヒーを"どうしても"飲むときは、
安全と思われる店を選ぶこと。
体調やご自身のお腹を過信しないこともアドバイスに入れておきます。
後日談:
その後、出会ったハノイ人20人に"エッグコーヒー"について尋ねてみました。
結果、ひとりも飲んだことがないという実態が。
理由は、
「聞くだけで気持ち悪い」
「生卵はお腹を壊すから危険」
そして、全員が口をそろえて言ったのは
「なんで、あれがハノイ名物なのかわからない」
見事なまでの満場一致に!
「ベトナム人は半熟卵も危険だと言って食べないから、あれは絶対にありえないよ」と、誰もが爆笑、失笑。
それが、現代ハノイっ子の常識の様です。
エッグコーヒーは、
"ハノイ人が絶対飲まないハノイ名物"
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