ロンドン郊外、グリニッジ区に佇むエルサム宮殿
こんにちは! また少し間のあいた更新となってしまいましたが、ギルフォード特派員の吉村です。
さっそくですが、今日取り上げるのはロンドン南東部にあるエルサム宮殿について。ロンドンの宮殿というとウェストミンスター宮殿やハンプトンコート宮殿、それからロンドン塔が有名ですが、エルサム宮殿も見所満載の場所となっています!
1930年代に再建された部分が根幹になっている屋敷は、現代風の造りが特徴的。それでも中世に作られた大ホールを残していたりと宮殿の歴史を感じさせる部分もあり、現代と中世の融合が興味深い場所となっています。そんなわけで、今回はその歴史と魅力に注目していきたいと思います!
◆エルサム宮殿の歴史◆
宮殿としての歴史が始まるのは1305年のこと。ダラム(Durham)の主教だったAnthony Bekによって再建された屋敷が、のちのエドワード2世に寄与されました。それから増築や改装を経て、14世紀の初めのうちに、よく使用される宮殿のうちのひとつとなります。
それから色んな王に愛される王宮となり、ヘンリ4世は王となってからの13回のクリスマスのうち10回をエルサム宮殿で過ごしたとか。そしてエドワード4世の時代(在位1461-70, 1471-83)には大ホール(Great Hall)が作られました。このホールはいまでも残っています。
ヘンリ8世も、幼少の頃には多くの時間をエルサムで過ごしたと言います。しかし1530年代になると、ハンプトンコート宮殿に比重が移るようになり、また、エルサムよりもウェストミンスターから水路でアクセスしやすいグリニッジの宮殿のほうが好まれ、その後のエリザベス1世も、エルサムには偶にしか訪れなかったそう。17世紀を通じてメンテナンスはあまりされず、エルサムは衰えていくこととなりました。
それからエルサムは王宮としては使われなくなり、賃借されることとなりました。そして1933年、ロンドン中心部に簡単にアクセスできる物件を探していた富豪の夫妻Stephen CourtauldとVirginia Courtauldが99年間の借地契約をし、大規模な改装をして、ほぼいまの、「エルサム宮殿」の姿となりました。
そんな以上の情報は、イングリッシュ・ヘリテージの公式サイトに載っていますので是非ご覧になってくださいね!
◆エルサム宮殿に行こう 行き方・チケットの買い方◆
行き方は幾つかありますが、一番徒歩の少ない経路は、地下鉄でNorth Greenwichの駅まで行き、そこから132番のバスに乗って20分、Eltham Church Well Hall Roadで降り、エルサム宮殿まで6分歩くというものになります。
宮殿に到着すると、上の写真の左右に入り口が。右の入り口が屋敷に通じるものですが、チケットを持っていない場合には、左の入り口を入ってVisitor Centreまで買いに行く必要があります。エルサム宮殿はイングリッシュ・ヘリテージのひとつでもあるので、イングリッシュ・ヘリテージのパスを持っている人はチケットを買う必要がありません!
左側の入り口、下の写真の場所を入っていくと、Visitor Centreは結構遠い。
奥に見えてくる、カフェ兼おみやげ屋さんのなかに、チケット売り場もあります。
地図とリストバンドを手に入れ、これでお屋敷とガーデンに入ることができます!
元来た道を引き返し、入り口の場所まで出たら、今度は右側の入り口から橋を渡って屋敷へ入りましょう。
◆エルサム宮殿の魅力◆
アールデコのデザインに、1930年代の技術の盛り込まれた屋敷。かつて飼われていた「マージャン」という名前のキツネザルの話に、19エーカーの広さを誇るガーデン。エルサムは魅力の詰まった場所ですが、ここには4つのお薦めポイントを書いていこうと思います。
見所1:当時最先端の技術がふんだんに盛り込まれたお屋敷
トイレやお風呂は勿論のこと、内線の電話システムやガス暖房など、当時としてはかなり画期的な技術が屋敷の至る所に盛り込まれています。上の写真の部屋は、この屋敷を改装したVirginia Courtauldの寝室。照明が隠れるようなデザインになっていますね! また、この部屋にある電話は外部と繋がるものだったそうです。
見所2:中世の面影を色濃く残す大ホール
モダンな作りのお屋敷に繋がっている、中世の大ホール。20世紀のデザインと中世の要素の融合がしばしば語られるエルサム宮殿ですが、その象徴的な場所になっていると思います。そしてなんと、このホールの地面にも床暖房(!)が。近年の修理で新しいものに取り換えられたそうですが、1930年代の改装の時からあったそうです。
じつはこの真ん中の浮彫りは彼らのペット、キツネザルの「マージャン」なのだとか。写真は少し見辛いですね(汗)
見所3:ロック・ガーデン
このロック・ガーデンは、屋敷の窓からも覗くことができます。川も流れている景色は、さすがお屋敷といった感じの素敵な景色。そしてこの岩は、当時珍しくもフェイクではなく本物が使用されていたそうです。いまは季節柄、桜の花も咲いていました!
見所4:図書室
落ち着いた内装のこの部屋は、Stephen Courtauldの図書室として使われていました。幅広い蔵書を備えていて、よく見てみるとH. Vere Redman著のJapan in Crisisといった本も! とても興味深いです。
他にも、地下空間や応接間など、見どころはたくさんありました。特に地下空間は、第二次世界大戦下に空襲から逃れるためのシェルターとして使用されたという歴史も。そしてそんな見所を分かりやすく解説してくれる、カラー画面の音声ガイドもエルサム宮殿観光の魅力のひとつです。無料で借りることができます。(屋敷に入る前の場所で受け取ることができます。)
英語のみですが、美術品の解説や順路の説明までとても丁寧。また、在りし日のビデオ(屋敷をいまの形に改装したStephen CourtauldとVirginia Courtauldのもの)なんていうのも幾つかあったりします。
以上、エルサム宮殿についてでした!
ロンドン中心部からは少し離れた場所となりますが、訪れてみるのもお薦めです。
―――――
エルサム宮殿情報
■料金
大人:£15
子供(5~17歳):£9
学生・シニア:£13.5
家族(大人2、子供3):£39
■開館・閉館(2018年夏期間)
月、火、水、木、金、日:10:00-18:00
土:閉館
※5月1日・2日は撮影の関係で、5月1日はガーデンのみの入場となり、2日は完全に閉館とのことです。
※2018年10月以降の予定は公式ページのほうでご確認ください
■公式サイト
詳細はぜひ、公式サイトのほうでもご確認をお願いします。
【記載内容について】
「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。
掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。
本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。
※情報修正・更新依頼はこちら
【リンク先の情報について】
「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。
リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。
ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。
弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。