グアムを語るなら、これは外せない!

公開日 : 2012年12月09日
最終更新 :
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グアムといえば、真っ先に思いつくのが青い空、ターコイズブルーの海、白い砂浜...。ダイビングなどのウォーター・アクティビティにトレッキング。他にもブランド品を中心としたショッピングや、射撃なんていう方もいらっしゃるかも知れませんね。

でも意外とグアムの文化・風習的なことを思い出される方は少ないのかも知れません。

これはいわゆるツーリストの方が2泊3日くらいのご旅行ではなかなか時間を取らないと行かれない場所に文化的なことを体験できる場所があったりとか、タイミングが合わないとローカルの行事などに遭遇しないなどの理由があると思うのですが、そういう機会に恵まれていたとしても、現在のグアムやチャモロを理解しようと思ったら外せないのが宗教のお話。

300年以上スペインの植民地だった歴史から、グアムにはとても多くのカトリック信者の方がいらっしゃり、16世紀以降のグアムを理解するには欠かせない要素でもあるのですが、ツーリストの方たち、特にキリスト教徒人口が全人口の1%にしかならない日本の私たちにとって、なかなかとっつきにくいことかも知れないですね。

でも12月8日はグアムでもとても大きなカトリック信者によるイベントが行われ、グアムを理解するにはとても貴重な機会でもあり、また実際一見の価値があるほどとてもきれいなので、是非ご紹介させてくださいね。

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まず12月8日が何の日かというと、聖母マリアが原罪の汚れなくイエス・キリストを宿されたことをお祝いする"無原罪の聖マリアの祝日"のになります。

グアムでは毎年"Our Lady of Camarin Day(聖母カマリンの日)"として、"Dulce Nombre de Maria Cathedral-Basillca(アガーニャ大聖堂)"で盛大なごミサが行われるんですよ。

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もともとこの"無原罪の聖マリアの祝日"はカトリック教会の大祭日なのですが、なぜグアムでも特に盛大なパレードが行われるのかというと、伝説によると300年以上も前にひとつのマリア像が2匹の金色のカニの背に乗って運ばれているところを、Merizo(メリッソ)、チャモロ語でMalesso(マレッソ)村の漁師に発見されたとか。不思議なお話ですが、実際これまで数々の天災や戦火、盗難を免れてきたようで、この大きな冠を被っている聖母マリアは、"レディ・カマリン"という愛称で島民たちに親しまれ、グアムを護る守護聖人として崇められているんですよ:)

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ちなみに首都Hagatna(アガーニャ)にある、この"Dulce Nombre de Maria Cathedral-Basillca(アガーニャ大聖堂)"に祀られている上の写真の像が、300年以上前にやってきた本物の像とされていて、これを模した石像が、以前ご紹介したようにエメラルド・グリーンと真っ青な海が美しいMerizo(メリッソ)の海岸沿いにある、"Santa Marian Kamalen shrine/park(聖母マリア・カマリン公園)"という小さいけれどとてもきれいな公園に佇んでいるので、ぜひドライブの途中で立ち寄ってみてください。

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"Dulce Nombre de Maria Cathedral-Basillca(アガーニャ大聖堂)"では数日間に渡ってさまざまなごミサが行われていましたが、12月8日当日は午後3時半からロザリーという、ロザリオの祈りを唱えるごミサのひとつが始まり、大きな大聖堂は人で溢れかえっていました。

その後大聖堂横に集結した数千人のカトリック信者の方たちが、各村ごと、カトリック学校や神学校ごとなどに順にパレードを始めます。

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村人皆でお揃いのTシャツを着ている方々や、こうして子どもたちに白いドレスの正装をさせたり、思い思いでてんでバラバラだったり(笑)、それはそれはチームごとにさまざま。

眺めていると、村ごとに人数にだいぶばらつきがあるので、元々の人口格差によるのはもちろんのこと、カトリック信者の方が多いのか少ないのか、などもなんとなく読み取れます。また全体的にほとんどがチャモロ人の方たちでしたが、村や学校などによってはアジア系やフィリピン系の方の割合が比較的多いところもあったりして、小さな島グアムの更に小さな村々ですが、それぞれの地域の特徴を見ることができますよ。

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ちなみにグアムで最も優秀で高額な学校と言われている学校上位2校は、ふたつともカトリックではなく、キリスト教新教に当たるプロテスタント系。1番グレードが高いとされるSt. John's School(セント・ジョーンズ・スクール)はアメリカがイギリスから独立した時に宗教的にも独立させた米国聖公会で、2番目に有名なHarvest Baptist School(ハーベスト・バプテスト・スクール)が流派の多いプロテスタントの中でも多くを占めるバプテストになります。

とはいえ、スペインの植民時代が長かったグアム島民の多くはカトリック教徒で、特に昔ながらの民族である伝統的なチャモロ人の多くがまだまだ敬虔なカトリック信者です。

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多くの島民が集まり、盛大に行われる年間行事のひとつとして一番に挙げられるのが7月21日の『Liberaion Day(リバレーション・デイ)』で、さすがに数万人の人が集まるのですが、真珠湾攻撃の2日後から31ヶ月間にわたった日本軍の占拠からアメリカ軍が解放してくれたことをお祝いする祝日なだけに、さまざまな面でアメリカ軍の比重が大きく、実際のところこれが現代グアムと言われればまさにそうなのですが、いわゆるグアムらしいかというとちょっと疑問を感じないわけでもないところ...。

では他のキリスト教関係の祝日、たとえばクリスマスやイースターはどうかというと、これはキリスト教的にはとても大きな祝日ですが、皆が自分の地元の教会に集うため、これだけ多くの島民が島中から一堂に会するという意味では、このパレードに並ぶものはないのではないかと思います。

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こうして各村人たちがパレードを始めたあと、一番最後にあの"レディ・カマリン"の像が出発するのですが、その先導を務めるのがさまざまな制服で正装をした方たちや神父さま、そしてかわいらしく着飾った女の子たち...。

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そしていよいよ"レディ・カマリン"が白いバラで飾られた美しい山車に載せられて出発。

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その後もさまざまな制服の方たちや司祭さまに神父さまが続いていきます。

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まず、アメリカ軍の制服以外でグアムの方たちが制服というものを着ているところを見たことがなかったので(学校の制服は別!)、こんなに格好がいいなんてとびっくり!

またグアムの方たちがこれだけ秩序だって衣装を決め、動きが守られているのを見るのも初めて!グアムの新たな面を見た思いです...(笑)。

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最初のごミサにいらしている日本人ツーリストの方を二組ほどお見かけしましたが、きっと呪文のようにお祈りを繰り返すロザリーが何がなんだかわからなくて途中で帰られてしまっていたのが残念。

確かに何が起きているのか、なんのためのどのようなものなのかがわからないよりわかる方がいいのですが、16世紀以降のグアムの歴史や文化、風習などを理解する上でもとても重要な上に、パレードそのものもとてもきれいで、グアムのイベントの中では一番美しいのではないかと思うので、もし機会があればぜひ、毎年12月8日に行われる『Santa Marian Kamalen Procession(サンタ・マリアン・カマレン・プロセッション)"を見てみてくださいね。

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ちなみにパレードの様子をもっとご覧になりたい方は、昨日撮影した写真をこちらからご覧いただけます:)

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