グアムにひとりしかいないマスター☆チャモロの伝統工芸

公開日 : 2012年01月31日
最終更新 :
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グアムに遊びにいらっしゃる方によく聞かれるのが、グアムでしか買えないおみやげは何?とか、グアムの民芸品のようなものってないの?ということ。

古くからのグアムの住人、チャモロ民族の文化は口承文化なので記録がとても少ないのですが、キリスト教布教と婚姻によって世界中を制覇していったスペインがグアムを植民地化してからは、スペインの影響を色濃く残し、記録が残されるようになっています。チャモロ語の単語の中にスペイン語に似ているものが多かったり、カトリック教徒が多かったりというのはまさに一例。

でもその後アメリカや日本に占領され、そして現在はアメリカ合衆国準州となり、先進国の便利な生活やアメリカ的ライフスタイルの影響で、グアムらしい伝統はずいぶんと鳴りを潜め、特にツーリストの方にとっては、今ではごく一部の場所でしか見たり体験したりすることができなくなってしまいました:(

そこで今回から4回に渡って、グアムの伝統文化についてご紹介したいと思います♪

*2012年2月2日 一部記事の誤りを修正しました。

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さて、みなさん。こちらの素朴な味わいがいい感じの道具、なんだと思いますか?

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このような三股にわかれた鹿のツノも使うのですが...。

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ヒントはこちら♪

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これで分かるかしら?

じつはこの道具、Wild Hibiscus(ワイルド・ハイビスカス)、チャモロ語ではPago(パゴ)という木の皮の表面をはぐと出てくる幹の中の繊維をよって、丈夫なロープを作るためのものなんです。

写真では細い紐を3つ束ねて太いロープを作っているところなのですが、三股にわかれた鹿のツノの股にそれぞれ細い紐を入れ、一番上の写真のように、端で取っ手をグルグル回すと紐がよれていくので、そこを三股のツノをつつつつつ~っと滑らせていくと、3本の紐がうまくよられて一つの太いロープになるというもの:)

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こうしてできあがったのがこちらのロープなのですが、木の幹の中の繊維なのに、左から2番目のロープで50キロほどの重さに耐え、これを3本束ねた一番右はじのものなら、大きくて立派な水牛くんをひっぱるのにも使えるほどだとか。

この道具を使うとそんなものがいとも簡単にできるので、やっぱり昔の人の知恵はすごいな~とあらためて関心:D

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次にあ、これなら見たことある~!と思われるかも知れない帽子や敷物など。おなじみの椰子の葉を編んで作られた小物たちです。椰子の葉はやわらかくて細工がしやすく、このような日常品をパパっと作るのにとても適しているんですよ。

ちなみにこちらの写真に写っている小屋はキッチンとしても使われるものですが、壁(横向きに渡してあるもの)に"Bamboo(バンブー / 竹)"、柱に使用しているのは"Tangantangan(タガンタタガン)"という丈夫な木を使っているそう(正確な綴りと発音はパソコンでは書けませんでした!)。また小屋の屋根の部分はちょっと椰子の葉のように見えるかも知れませんが、"Nipa(ニパ)"という植物でできています。椰子の葉よりも耐久性があるので屋根にすることもできるんですね。そのためGuam Historical Village at Gef Pa'go Park(ゲフ・パゴ公園内グアム歴史村)内の小屋の屋根の葺き替えは5年おきでいいのだそうですよ!

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次にこちら、上のものと同じように見えるかも知れませんが、やっぱり材質が違って、この素材を使って作品を作れるのは、もうグアムにはお一人しかおらず、まだ後継者が決まっていないというもので、"Pandanas(パンダナス)"の葉(写真下)から作っています。

この"Pandanas(パンダナス)"の葉はとてもとても丈夫らしく、その分加工が難しいとか。まず葉を洗ってからボイルして柔らかくしてからでないと、とても加工できないそうです。でもこれで作った敷物やマット、タペストリーなどは何十年も持つほど耐久性があり、しかも何度も洗って使えるらしいので、とても衛生的。

ちなみに上の写真に写っている金属でできた道具を"Si'i(シイ)"といい、"Pandanas(パンダナス)"の葉を加工するオール・イン・ワンの便利ツール!

長い辺を使って葉をなめし、おしりの部分で葉をカットし、とんがった部分で葉を裂くのですが、手を使わず、正確に裂きたい部分の幅を測ってからこの"Si'i(シイ)"できれいに葉を裂くのがプロフェッショナルの技だと力説して教えていただきました:)

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↑グアムの至るところで見られる"Pandanas(パンダナス)"の葉。

このような伝統文化を見せていただけるのは、グアムの南部の美しい村、Inarajan(イナラハン)村にある『Guam Historical Village at Gef Pa'go Park(ゲフ・パゴ公園内グアム歴史村)』。毎日365日、朝9時から12時までオープンしているのですが、残念ながら午後以降は自由に入場できるものの、園内を説明してくださる方はいなくなってしまいます。

ただお散歩するだけでもきれいな場所なのですが、説明を聞くとさらにチャモロ文化を楽しむことができるので、ホテルや参加されたツアー会社さんを通してLAM LAM TOURS(ラム・ラム・ツアーズ)さんの島内一周ツアーに申し込まれたり、レンタカーでドライブして行ってみるのがオススメです♪

ちなみにツアーの場合は時間制限があるので、2~3つくらいまでの文化を日本語で説明していただくことができます。またレンタカーの場合は11時過ぎくらいまでに現地に到着すれば、英語ですがすべての文化を見せていただくことができ、ちょっ~っとしたおみやげもつきますよ(運がよければ日本人のボランティアの方がいらっしゃって通訳してくださるかも知れません)。

また併設の売店は毎日朝9時からお昼の12時までオープンしていますよ。グアムでもここでしか手に入らない貴重な海塩やココナッツ・オイルを始め、椰子の葉で作られた小物や、先日ご紹介したグアムの有名なアーティスト、Judy Flores(ジュディー・フローレス)によるバティックから作った絵なども購入することができるので、ぜひお立ち寄り下さいね。

それでは次回はチャモロの食について、ちょっとしたレシピと一緒にご紹介しますね:)

*Guam Historical Village at Gef Pa'go Park(ゲフ・パゴ公園内グアム歴史村)で撮影した写真はこちらで御覧いただけます♪

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