スコットランドの小悪魔たちの来襲にもめげず
スコットランドはハイランド地方サウスウェストロス(South West Ross)とスカイ島(Isle of Skye)歩きも、早4日め。なのに、今日の天気予報も、相変わらずくもりとにわか雨。やっぱり、高い山にのぼっても、まわりの雲以外何も見えそうにもないので、昨日と同じく800メートルほどの山にのぼることにしました。やってきたのは、昨日と同じ峡谷グレンシール(Glenshiel)の西端、昨日のぼったSgurr an Airgidとは峡谷をへだてた向かい側のSgurr Mhic Bharraich。(発音は、こちらのサイトのタイトル「Sgurr Mhic Bharraich」の右にあるスピーカーのアイコンをクリック)
昨日の駐車場からそう遠くないキャンプ地の駐車場に車をとめたのですが、5つ、6つばかりテントがはられているものの、人影はなし。と思ったら、遠くにとまっていた1台の車から目の部分だけに穴のあいている帽子をかぶった女性が出てきたのです。「ここでキャンプをするっていうのはどうだい?」 ニタリと笑いながら問う夫イアンは、すでにわたしの答えは百も承知。
ほらほら、そう言いながらウォーキングブーツにはきかえているあいだにもわんさか集まってきましたよ。羽音もうなりもたてずにひそかに飛来するスコットランド名物の小さな吸血鬼たちが。(その吸血鬼たちの正体は、こちら)なもので、くだんの女性ほどではないですが、長袖のシャツに手袋、首には綿のマフラーをまいて、耳あてつきの帽子をかぶり、わたしも考えられるかぎりの防御策をほどこしています。
昨日までの場所は、大風や大雨だったので吹き飛ばされたり、飛べなかったりだったのですが、今日の駐車場は風のないせせらぎぞいにあって、いかにもミッジの生息に適していそうな環境。そのうえ、ウォーキングコースはしばしそのせせらぎにそってのびているのです。ちくちくちく、ああ、やられた~。ちくちくちく、ああ、また、やられた~。ま、ここはスコットランドですからね。仕方ありません。と思える境地にたっするまで、いったい何年かかったことでしょう。
せせらぎは左手に見おろす場所に遠のき、ひと息。まあ、油断は大敵ですが......。
このような景色の場所までくると、ころよい風が吹きぬけてくれるので、ほぼ、もうだいじょうぶ。せせらぎは川幅を広げ、ゆったりとした流れに。
その対岸(写真中央)に、動くものが......。
なんというのどかさ~。でも、あの馬たち、絶対、ミッジの餌食になってますよ。川ばたであんなにのんびりしていていいのかなあ。それとも、かまれてもかゆくないのかなあ。そんなはずはなかろうに。かゆくてもかけないんだろうなあ~。
ゆるやかな道はこのあたりで終わり。道は右手へカーブして谷間から尾根へとのぼっていきます。
ふわふわとした緑のベルベッドを敷きつめたような山肌に目をうばわれていると、
行く手に、岩山が姿をあらわしました。
湖水をうかいし、そのあとののぼりはますます急に。
そして、空が白くけむりはじめたかと思うと、ミストが流れこんできて、
ふり返って見おろす風景が幻想的な雰囲気につつまれはじめました。
正面にむき直ると、
写真に撮ってみるとそんなふうには見えないのですが、てっぺんの岩場は大波が頭の上におおいかぶさってくるかのよう。草地の斜面も正面まっすぐにはのぼれないほど急角度なので、足場を見つけながらジグザグにのぼっていきます。こうして、ようやくのぼりきってみると、
まっ白。
山頂は、もう少し先だったのですが、こりゃ、もう進んでも何も見えないわ。ということで、ここらあたりでお昼にすることに。ところが、スコットランドのお天気の境界線は何とも、はっきりくっきり。てっぺんのある岩場から左手に見ながら、のぼってきたのとは反対側へむかうと、
昨日のぼった山のと、その山から見おろした地上の風景が見おろせました。
しかも、こちら側にはごうせいな青空までのぞいているのです。いやはや、まったく、
スコットランドの空と風景は、一瞬ごとに姿をかえる百面相。
帰りは、再び、来た道をひき返します。来たときには、ただよっていたミストも晴れて、
空には青空が。
すると、風景は目にしみるような美しさをまとうのです。
ああ、こんな景色を目にすることができてしあわせ。
ああ、こんな景色のなかを歩くことができてしあわせ。
まあ、でも、このあと、空はまたたくまにかきくもり、帰り道は、また、雨になっちゃったんですけどね~。でも、そのせいで、帰りは、ミッジの集団に襲われることなく無事車へとたどりつけたのでした。めでたしめでたし~。
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