イギリスのファーストフード「フィッシュ&チップス」
「地球の歩き方」海外特派員ブログに、月ごとのお題が設けられることになりました。今月6月のお題は「ファーストフード」。イギリスの街にも、世界各地でおなじみのファーストフードの店があります。
でも、やっぱり、イギリスの伝統的なファーストフードと言えば、フィッシュ&チップス(Fish & Chips)。今日は、世界のファーストフードの中でも、おそらく一番歴史が古いイギリス庶民の味フィッシュ&チップスをご紹介します。
上の画像のお店は両方なのですが、フィッシュ&チップス専門のレストランもあれば、「チッピー(Chippy)」という愛称で親しまれているテイクアェイのお店もあります。レストランでも、テイクアェイのお店でも、パブなどでも、それぞれの店の定休日以外は何曜日だろうと食べたい日に注文できるのですが、キリスト教の教えでは金曜日の肉食は禁じられていたので、伝統的には金曜日がフィッシュ&チップスを食べる日とされていました。
フィッシュ&チップスのフィッシュの材料は、コッド(cod)やハドック(haddock)と呼ばれるタラ科の魚。手のひら大か、それ以上もボリュームのある肉厚の白身魚にバター(batter)と呼ばれる天ぷら衣をつけ、揚げ油をはった水槽タンクのような天ぷらナベで豪快に揚げたものがフィッシュ。タラのほかにヒラメやカレイの類をおいている店もあります。つまりは、白身魚の巨大天ぷらなのですが、日本の天ぷらと違っているのは、そのサイズだけではありません。揚げ油は、牛脂など動物性の油脂と菜種油の混合。動物性油の方がコクがあって味がいいからなのです。ですが、健康志向の高まってきた近年は、植物油100%で揚げている店もあります。
フィッシュ&チップスのチップスの方は、指くらいの太さのあるボリュームたっぷりのフライドポテト。ちなみに、イギリスでは日本のポテトチップスはクリスプス(Crisps)と呼ばれていて、チップスと言えば、この極太のフライドポテトってことになってます。フィッシュ&チップスは、必ずしもいっしょに注文する必要はなく、フィッシュだけ、チップスだけでも注文できます。また、フィッシュ&チップスのレストランやテイクアェイのメニューには、フィッシュのほかに、ミンチ肉の代わりに魚が入っているコロッケのようなフィッシュケーキ(Fish Cake)、小エビ(または、ロブスターの尾)にパン粉の衣がつけて揚げてあるスカンピ(Scampi)、ソーセージやパイなどもあります。
画像には添えられていませんが、フィッシュ&チップスには、マロファットピーズ(marrowfat peas)と呼ばれる大粒のグリンピースを煮つぶし、少量の塩、砂糖、ときにはミントも加えて調味したものを添えて食べられることもあります。日本人にとっては、甘みのないゆるいうぐいすあんって感じのこの付け合せ、マッシーピーズ(mushy peas)と呼ばれています。
フィッシュ&チップスになくてはならない調味料は、麦芽を原料とする穀物酢モルトビネガー(malt vinegar)です。この褐色のお酢をパシャパシャとふりかけた上に、塩をパラパラとふりまいて食べるのです。
街かどを歩いていて、モルトビネガーと揚げ油が絶妙に混じり合った胃袋の底をくすぐられるような何とも言えない匂いがぷ〜んと漂ってきたと思ったら、テイクアェイのお店でフィッシュ&チップスを買い求めた人の姿が……。
包装はこのようなケースのほか、新聞紙に包んでくれたり、紙の箱の場合も。最近は、プラスティックのフォークをつけてくれる店もあるのですが、テイクアェイのフィッシュ&チップスと言えば、カップアイスについている平たい木のスプーンに1本切れ込みが入って先割れになったものが定番。実は、いささか食べづらいのですが、やっぱり、この先割れスプーンでないとテイクアェイのフィッシュ&チップスを食べているという感じがしないのです。
ところで、フィッシュ&チップス、スコットランドでは、「フィッシュ・サパー(Fish Supper)」と呼ばれています (「サパー」というのは、「チップス添え」という意味) 。イングランドでは、日本の英語の授業で習ったように「サパー(supper)」と言えば、「夜食」って意味なんですけどね。どのくらいのスコットランド人が夜食にフィッシュ・サパーを食べているのかは不明ですが、いやあ、それにしても、フィッシュ&チップスを夜食には、ちょっとヘビーすぎるような気がするんですけどねえ〜。
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