郊外の小さな宝石箱!ノーヴィ・リーグレ
皆さまメリークリスマス!
ジェノバの街にも「アウグーリ!(おめでとう)」という言葉が飛び交い、お祭りムード真っただ中です。
さて、私はジェノバのあるリグーリア州を飛び出しお隣のピエモンテ州にお邪魔してきました。今回の記事ではピエモンテ州アレッサンドリア県に属する郊外の街ノーヴィ・リーグレをご紹介します。
小さな宝石箱のような美しい街
(お洒落で素朴な街並)
ジェノバからトリノ行きの電車で約45分。トリノからは1時間少々なので、丁度ジェノバとトリノの中間あたりに位置するノーヴィ・リーグレ。人口3万人に満たない小さな街です。
駅を降りてすぐに旧市街に入ります。素朴で可愛らしい建物が所狭しと軒を連ねる街並みは趣があってイタリアらしい雰囲気です。しかし、少し散策すれば素朴な風景の中にぽつりぽつりと豪奢な宮殿が姿を現します。入り口に出ている看板を見ると、「アドルノ宮」「ドゥラッツォ宮」「スピノラ宮」...どれもジェノバでよく目にする名前です。ピエモンテなのに、なぜでしょう。
ピエモンテの"ジェノバ都市"?異色の歴史
現在はピエモンテ州に属するノーヴィ・リーグレですが、「リーグレ(=リグーリアの)」という語がさすとおり、ジェノバの影響が非常に強かった街です。
歴史をさかのぼってみると、ミラノやジェノバなど強国の狭間にあってあちこちから支配を受けてきたことがわかります。そしてジェノバ共和国の領土となったのが16世紀前半のこと。ジェノバ支配下において、ノーヴィ・リーグレは重要な発展を遂げることとなります。
(手形取引市場が置かれていた建物の一つ)
17世紀初め、莫大な富をもって当時のヨーロッパの金融界で絶大な影響力を行使する立場にあったジェノバ人たちは手形交換の中心市場を自らの統治下に引き入れようと画策します。こうしてノーヴィ・リーグレに市場が置かれたのが1622年。ここから17世紀末にかけて小さなノーヴィ・リーグレの街はヨーロッパ中のカネの流れを支える中心地として機能しました。
出張版・ロッリの邸宅群!
(ネグローニ宮(右)のフレスコ装飾が見事)
ジェノバ支配下で手形の中心市場が置かれていたこともあって、ノーヴィ・リーグレの街は大きく発展し活気づきました。当然首都ジェノバからも多くの有力者が屋敷を構え、足しげく通います。そのため、街の中心部にはジェノバ貴族の邸宅が数多く残っているのです。
ジェノバ市内で「ロッリの邸宅群」といわれる豪華絢爛な邸宅を建てていた当時のジェノバ人ですから、ノーヴィ・リーグレでも負けず劣らずの邸宅を建てました。まさに出張版「ロッリ」といった様相ですが、素朴な街並みとも齟齬のない上品で趣ある館の数々です。とくに旧市街の中心に位置するネグローニ宮(Palazzo Negroni)は鮮やかなフレスコ画に彩られた外装が目を引きます。
徒歩でも半日程度でぐるりと一周できる小さな街。静かで美しい郊外の街でのんびり過ごすにはお勧めです。
ジェノバより、よいクリスマスを!
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