【#rollidays】輝く珠玉の邸宅群!インスタ映えも抜群
2018年10月13~14日、ジェノバでは恒例のRolli daysというイベントが行われました。
Rolli daysとは、毎年春・秋に開催されている、ジェノバの世界遺産「新通りとロッリ制度の邸宅群」をPRするためのイベントです。
「ロッリ制度の邸宅群」とは、公設の迎賓施設を持たなかった16世紀のジェノバ共和国において、共和国を訪問する外国の賓客を滞在させる場所を確保するべく、市内の貴族たちの邸宅をランク分けして「ロッリ(≒登録簿)」に登録し、その中から賓客らの滞在場所を指定した制度です。こうした邸宅群のうち43の邸宅が世界遺産に登録されています。
これらの邸宅群は現在では店舗やオフィスなどに利用されている場合が多く、普段は一般公開されていないものがほとんどですが、Rolli daysではその一部を見学することができます。
今回のイベントでは、世界遺産登録されている20の邸宅に加え、世界遺産ではないもののロッリに登録されていた邸宅、ヴィラ、企業コレクションなどを含め全部で38の施設が特別公開されました。
本記事では、普段は見られない、ジェノバの街中に散在する珠玉の邸宅を一部ご紹介します。
<初公開>ジェノバ港をのぞむ"グロテスク"なヴィラ
今回のイベントで初めて一般公開されたのがジェノバ市内中心部から少し外れた港湾地区に残るヴィラ・ディ・ネグロ(Villa Di Negro-Rosazza)。有力貴族ディ・ネグロ家の邸宅として16世紀後半に建設され、現在はバレエ学校として使用されています。
(ヴィラの前を鉄道が走っているため、トンネルをくぐって屋敷へ)
特徴的なインテリアは「グロテスク様式」の天井装飾。建設当時の流行であった、人や自然をモチーフにした風変わりな曲線模様を描いた美術様式です。地元の画家アンサルドらの手により完成されました。
このヴィラではこうしたグロテスク様式のフレスコ装飾とジェノバでよく見られる"プロモントリオの黒い石"(ジェノバ市内西部で採掘された灰色~黒色の石材。20世紀に採掘場が閉鎖されている)を使用した彫刻の美しいコントラストを堪能することができます。
(奇怪な文様ながら、調和がとれていて上品)
(ミステリアスな人工洞窟もある)
かつてはヴィラの前面に港へとつづく広い庭園がありましたが、鉄道敷設により失われています。かつての有力貴族のヴィラの目と鼻の先を電車が走る光景も時代の流れを感じさせます。
Villa Di Negro-Rosazza
所在地:Piazza Di Negro 3, 16126, Genova
観光地ガリバルディ通りの隠れた至宝
ロッリの邸宅群がずらりと並ぶガリバルディ通りは言わずもがなジェノバの一番の観光名所ですが、実は普段から一般公開されているのは博物館となっている一部のみで、企業や公的機関が使用している関係でなかなか内部へ立ち入ることができない邸宅が多数あります(かつては銀行家の邸宅だった場所に、現在でもしばしば銀行が入っているのが興味深いところ)。そんな邸宅群のいくつかもこの機会には見学することができます。
トビア・パラヴィチーノ宮(Palazzo Tobia Pallavicino)は16世紀半ばに建設された邸宅です。各時代の所有者の手によるリフォームや修復を経て、現在はジェノバ商工会議所の座所となっています。この邸宅でひときわ目を引くのはジェノバに残るロココ装飾のうち最高傑作と言われるギャラリー。部屋中が鏡と金めっきの彫刻で飾り立てられた空間は豪勢ながらも上品です。
(圧倒的な華やかさに、脱帽)
Palazzo Tobia Pallavicino-Carrega-Cataldi(Camera di Commercio di Genova)
所在地:Via Garivaldi 4, 16124, Genova
その向かいに位置するレルカリ・パローディ宮(Palazzo Franco Lercari Parodi)は16世紀に建設された邸宅で、19世紀から現在に至るまでパローディ家の所有となっており、ペガソ電信情報科大学の校舎として使用されています。ロの字型の邸宅の上階へ上がると、華やかな天井装飾を見ることができます。多くは19世紀に修復を経たものですが、一部はルカ・カンビアーゾの手による建設当時の装飾を維持しています。興味深いのは大広間の天井画。この天井画は19世紀に全面を作り直されたもので、産業革命をモチーフにした一連の絵画が見られます。
(蒸気機関や鉄道が描かれている)
Palazzo Franco Lercari-Parodi
所在地:Via Garibaldi 3, 16124, Genova
路地の奥にも!隠れた名邸宅を探すのも楽しい
ロッリの邸宅群はガリバルディ通りなど「新通り」だけでなく、ジェノバの街中あちこちに散らばっています。
G・バッティスタ・チェントゥリオーネ宮(Palazzo Gio.Battista Centurione)もその一つ。カンポ通りの角地、フォッサテッロ広場に面して建つこの邸宅は、企業や団体のオフィスが入っているため普段は公開されていませんが、Rolli daysには見学することができます。
(高い天井の大広間。ジェノバの路地裏にはまだまだ宝が眠っている)
17世紀に資産家のチェントゥリオーネ家によって建てられた邸宅は17~18世紀の素晴らしい天井装飾を保持しています。最も注目すべきは17世紀後半のジェノバで最も人気だった画家ドメニコ・ピオラによる天井画でしょう。浮彫の装飾と一体化した迫力ある表現は写真では伝えきれないところです。その完成にあたり、建築、彫刻、絵画の3つの芸術を融合することを試みたというチェントゥリオーネ宮はジェノバ芸術最盛期のメンタリティを体現しているといってもいいかもしれません。
(ピオラによる天井装飾。立体的な表現が大迫力)
Palazzo Gio.Battista Centurione-Andrea Pitto
所在地:Via del Campo 1, 16124, Genova
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