ジェノバの隠れた魅力、路地裏探訪してみませんか?

公開日 : 2018年09月16日
最終更新 :
筆者 : 浅井まき

秋の行楽シーズンとなり、今の時期過ごしやすいヨーロッパへ旅行される方も多いのではないでしょうか。どこの都市に行っても主要なモニュメントや街歩きを楽しむのが定番ですが、メインストリートを外れた狭い路地裏というと、静かで暗く、治安が悪いなど、あまりいいイメージはないかもしれません。

ジェノバを訪れるのであれば、誰でも「新通り」と呼ばれる世界遺産のガリバルディ通りなどの名所は必ず通るはずですが、その一歩後ろの路地へは立ち寄らない方がほとんどのようです。しかし、これら「新通り」は道そのものが整備された16~18世紀当初から、「外国の賓客を接待する」ためにつくられた、いわばジェノバの"外面"です。ジェノバの真の姿は一歩踏み込んだ路地裏にあると言っても過言ではないでしょう。

ただ、やはり、狭くて暗い路地は少し怖いですよね。ジェノバはイタリアの大都市にしては治安のいい街ですが、場所によっては少々不安です。そこで、本記事では観光客でも安心して探訪できるジェノバの路地裏スポットの一部をご紹介します。

ジェノバの旧"メインストリート"は道幅2m!?

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(バンキ広場。奥へ続く通りがサン・ルーカ通り)

ジェノバの旧港からサン・ジョルジョ宮の横を通ったところにあるバンキ広場。"広場"と呼ぶには少々狭い気もしますが、ここはジェノバ共和国(~1797年)時代、商取引や金融業が行われていた市の経済の中枢でした。よって、この近くの地域というと、古くから有力貴族やブルジョワたちが密集していたエリアでした。

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(昼間のサン・ルーカ通りはかなり往来が激しい)

16世紀に新興勢力が台頭してくると、この広場を境に旧勢力と新勢力が別々の路地に"ナワバリ"をつくりにらみ合いをする様相を呈してきました。このバンキ広場から海岸線と併行に伸びるサン・ルーカ通り(Via San Luca)はスピノラ家を筆頭に旧勢力が闊歩していた通りです。

サン・ルーカ通り沿いには小さな商店や飲食店などがずらりと並び、道幅2mほどの狭い路地にもかかわらず、昼間はかなり人通りが多いです。通りの中ほどにあるサン・ルーカ教会は小さいながらも見事な内装で一見の価値ありです。

路地裏に隠れたサンタ・マリア・デッレ・ヴィニェ教会

今度はバンキ広場から海と反対側へ続く通りを上っていきます。

ここはサン・ルーカ通りよりも道幅が広く、創業200年を超える老舗の菓子店からTezenisやKiko Milanoといったイタリアではおなじみのショップまでさまざまな店が並んでいます。

賑やかな通りから案内表示の出ている一画をほんの少し路地に入ったところに、静かにたたずむ教会がサンタ・マリア・デッレ・ヴィニェ教会(Basilica di Santa Maria delle Vigne)です。

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(サンタ・マリア・デッレ・ヴィニェ教会の内部)

小さな広場から中へ入ると、バロック様式の見事な装飾に圧倒されます。この教会自体は12世紀には存在していたものですが、17世紀に新興貴族ドゥラッツォ家出身の枢機卿により提唱され、この周辺の貴族らの出資によって完成された内装はその財力を象徴するかのように豪華絢爛です。

なぜこんなに狭い路地だらけなのか...

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(スピノラ宮国立美術館の近く、ポスタ・ヴェッキア通り)

旧市街の中心部には道幅が殆ど2mもないような路地が網の目のように入り組んでいます。なぜこんなに所狭しと住宅が建っているのかというと、その所以は中世にまでさかのぼります。

当時市内で力を持っていたのは商業などを営んでいた私人たちであり、彼らは互いに激しく対立していました。やがてより大規模な事業を行うためにグループを構成するようになり、「アルベルゴ」と名乗る組織を形成します。このアルベルゴの構成員たちは市内各地にそれぞれ"ナワバリ"を作って集住していました。城壁に守られた狭いエリアにこうしたナワバリがいくつもひしめき合った結果、複雑で入り組んだ都市構造となったのです。

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(カステッロ地区に建つエンブリアチ塔)

ジェノバはヨーロッパの中でも特に市内での抗争が激しかった都市で、中世にはナワバリの周囲を監視するための塔が多数建っていたようです。こうした塔のうち現在も残っているのはエンブリアチ塔(Torre Embriaci)のみです(これだけ狭い路地ばかりだと、屋根しか見えないんじゃないか...と突っ込みたくもなります)。

とくに中世後期頃には、近くの家と家の間を移動するために道に降りるのも危険ということで、ナワバリ内の建物間をつなぐ渡り廊下があったそう。それでも、これだけ狭い道なので、向かいの家同士で窓から槍でつつきあうこともあったと言われています。

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