水郷柳川の雛祭り さげもんめぐり
こんにちは、「地球の歩き方」福岡特派員のDukeです。もうじきひな祭り、桃の節句ですね。この時期になると、福岡県でもひな祭り関連イベントを行う地域が多いです。佐賀県との県境、水郷の町 柳川もそのひとつで、2月11日から4月3日までの期間、「柳川 雛祭り さげもんめぐり」が行われています。
「さげもん」は、紅白の輪に吊るした7本の糸に、縁起がいいとされる鶴や亀をはじめ、うさぎやひよこ、這い人形などの布細工を飾る吊るし雛の一種で、柳川地方では女の子が生まれた家の初節句に、子供の健やかな成長を願い、ひな壇と一緒に色とりどりのさげもんを飾って盛大に祝う風習があります。
こちらは、日本初の雛のぼり・姫武者幟、長尺さげもん絵巻と野外さげもん展示が行われている「沖端舟溜り」と呼ばれる広場です。手前の4本の幟(のぼり)が雛のぼりと姫武者幟、さげもん絵巻と野外さげもんは、その後方に展示されています。
掘割に浮かぶどんこ舟。水郷の町 柳川では随所にお堀がめぐらされています。
「御花(おはな)」の愛称で親しまれる旧柳川藩主立花家のお屋敷。この時期、例年なら人や車でいっぱいなのですが、コロナ禍の今年はやや寂しく感じられます。福岡県では今日2021年3月1日から緊急事態宣言が解除されましたので、これから少しずつにぎわいが戻ってくることでしょう。
明治43年に立花家の迎賓館として建てられた西洋館。鹿鳴館様式の流れをくむ造りで、明治の面影を今に伝える貴重な建築物です。
西洋館は立花邸の表玄関に相当するもので、当時は要人を招いて園遊会が催されていたそうです。いまは結婚式場ややパーティ会場として使用されています。
高い天井が印象的な100畳敷の大広間。廊下には、立花家に伝わる金箔押桃形兜(きんぱく おしももなり かぶと)がずらりと掛けられています。
掘割の水を引き入れた池を約280本のクロマツが囲い、立体感のあるつくりとなっている松濤園。
柳川藩主、明治以降は伯爵となった立花家に伝わる華麗な雛飾り・さげもんの数々が飾りつけられた御役間。立花伯爵家の華やかな暮らしぶりが伝わってくるようです。
紅白の輪に吊るされる7本のさげもん飾り。それぞれの糸に7つ、計49個の縁起物が飾られます。これに加えて、中央に大きな柳川まりを2個吊るして51個にするのは、人生50年と言われた時代にあって、少しでも長生きしてほしいという親の願いを込めたものと言われています。
御花の敷地内にある立花家史料館。柳川藩主時代から伯爵家時代にわたる立花家の史料や美術工芸品を展示しています。
立花宗茂は、戦国大名で初代柳川藩主。柳川市では、宗茂のNHK大河ドラマ招致に取り組んでいるそうです。
宗茂が使用した「鉄皺革包月輪文最上胴具足」
こちらも宗茂所有の「脇差 銘 貞宗」
武具や甲冑などだけではなく、雛人形や雛調度も展示されています。
柳川は、明治を代表する詩人 北原白秋生誕の地。生家は江戸時代から続く商家で、白秋の父の代は筑後地方有数の酒造業を営んでいました。
入口を入ると、造り酒屋らしく酒樽と一升瓶が並んでいます。北原家が醸し、柳川藩御用達だった酒を復活させた「潮」という名の日本酒は、白秋生家・記念館で購入できます。玄関の左手は茶の間、勘定部屋。
お座敷には、代々北原家に伝わる雛人形やさげもんが飾られています。
鮮やかな色あいの糸で巻かれた柳川まり。旧柳川藩主立花家に仕えていた腰元たちの嗜みとして作られていたもので、七色の草木染め糸を用いた草木まりが原型と言われています。
~からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ~
土蔵の前に植えられたからたち。白秋の「からたちの花」が浮かんできますね。
これは、作曲家 山田耕筰の少年時代のエピソードを基に、白秋が詩を書いたものだそうです。
生家の奥には北原白秋記念館があります。白秋の詩集や歌集、柳川の風物などとともに、詩人北原白秋と作曲家山田耕筰の人生を描いた映画『この道』の印象的なシーンの写真も展示してありました(主演:大森南朋さん、EXILE AKIRAさん)。映画の最後では、EXILE ATSUSHIさんが「この道」を静かにしっとりと歌いあげます。白秋の詩や短歌、童謡のファンだけではなく、EXILEファンにとっても見逃せない映画だと思います。
さげもんめぐりに関連する各種イベントのスケジュールは柳川雛祭りさげもんめぐり観光案内ウェブサイトをご覧ください。
筆者
特派員
Duke
縁あって福岡県北九州市に落ち着いて、はや15年。県外の方はもちろん、地元の方にも楽しんでいただけるよう、福岡・北九州の旬な情報を発信していきたいと思っています。
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