石油の安定供給のために〜白島国家石油備蓄基地&白島展示館

公開日 : 2019年12月08日
最終更新 :
筆者 : Duke

こんにちは。「地球の歩き方」福岡特派員のDukeです。師走に入りいよいよ寒さも本格的になってきましたね。

さて、日ごろなじみのない言葉ですが「国家石油備蓄」って知っていますか? 実は、わが国は緊急事態に際しても一定期間石油を安定的に供給するため、日本の経済や私たちの生活を守るエネルギー安全保障の一環として国家事業として石油備蓄を行っているんです。今日は、国内に10ヵ所ある国家石油備蓄基地のひとつである白島国家石油備蓄基地と、その見学・体験施設である白島広報展示館を紹介します。写真は、若松区響町(埋立地)にある白島展示館です。

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展示館は最上階(3F)の展望室、2階の映像ホール、1階展示室の3フロア構成。エレベーターで3階に上がり、順次降りてくるという順路です。

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石油備蓄事業は、国の直轄事業として実施している国家備蓄(約4,954万kl)と、民間石油会社等が法律により義務付けられて実施している民間備蓄(約2,983万kl)、産油国と連携して行っている産油国共同備蓄(約167万kl)に区分されます。合計すると約8,104万klがいざという時のために保管されているわけで、備蓄日数に換算すると約208日分(2017年3月末現在)に相当するそうです。

さっそく3階展望室に上ってみました。広報館の正面は、海に面した公園になっています。向こう側の丘の上から響灘を眺めるのも気持ち良さそうです。

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長く伸びる防波堤の先に見えているのが、左から六連島、馬島、和合良島。さらにその右側には、関門橋や対岸の山口県下関市が見えますね。

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白島(「しらしま」と読みます)は、北九州市若松区沖8㎞の響灘上に浮かぶ無人島。男島(右)と女島(左)の2島を合わせた総称で、石油備蓄基地があるのは右側の男島の方です。

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左側(西)を見ると、響灘北緑地(埋立地北岸)に響灘風力発電所の風車がずらりと並んでいます。ここは北九州市が推進するエコタウン事業や次世代エネルギーパークが集積する地区で、この風力発電施設もその一端を担っています。

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映像ホールを中心とする2階も周囲が見渡せるよう一面ガラス張りとなっています。

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1階展示室は、グラフィックや模型、マルチメディアを通じて、白島国家石油備蓄基地の全体像や仕組み、石油と人との関わりなどについて楽しみながら理解を深められる情報体験型のコーナーです。

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1996(平成8)年、世界でも珍しい原油の洋上備蓄を開始した白島国家石油備蓄基地(1/250スケール)。浮遊式の貯蔵タンク(貯蔵船またはメガフロートともいいます)8基の容量は560万klで、国家備蓄の約11%がここで備蓄されています。

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国内の国家石油備蓄基地は全部で10ヵ所。このうち長崎県の上五島備蓄基地(白島より早く1988年稼働)が白島と同じく洋上備蓄方式を採用しています。

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LPガス、ガソリン・ナフサ(ペットボトル等の材料)、灯油・ジェット燃料、軽油、重油・潤滑油・アスファルトなど、原油を精製する過程で抽出されるさまざまな石油製品。このほかにも興味を惹く展示がいろいろありました。

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展示館の周囲には、二十殻構造の貯蔵船(カットモデル)や消波ブロック、一次防油堤などが屋外展示されています(すべて実物大)。

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展示館エントランスで配布されたパンフレット。白島国家石油備蓄基地の概要や貯蔵船の仕組みなどについて説明されています。

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続いて、展示館3階から見えた響灘北緑地にやってきました。思ったより広々としていますね。

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風車の高さはブレードの先端まで100m。それぞれの風車の距離は250m。風車は全部で10基ありますが、港湾地区で運用される風力発電所としては、わが国最大級だそうです。前の記事で紹介した響灘ビオトープはここからすぐ近くですが、この狭いエリアに日本最大級の施設がふたつもあるなんて知りませんでした。

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現在の響灘北緑地のさらに海側を埋め立てて、新しい廃棄物処理場を作る計画があるようです。

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この護岸の北側を新たに埋め立てるんですね。

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先ほど、石油備蓄は国家備蓄と民間備蓄、そして産油国共同備蓄の3本建てと書きました。このうち、民間備蓄は民間企業が在庫を多めに持つ方法で、原油や石油は随時入れ替えられているのに対し、国家備蓄は原油のまま備蓄基地に封印保管するもので、経済産業大臣の指示がない限り手をつけることはできません。ちなみに過去、湾岸戦争や米国のハリケーン・カトリーナ、東日本大震災に際して民間備蓄は放出されましたが、国家備蓄を取り崩したことはないのだそうです。

この日は、響灘ビオトープに続いて白島展示館に立ち寄りました。白島国家石油備蓄基地だけではなく、私たちの日常生活に深く関わっている石油全般について楽しみながら学べるほか、響灘に面した展示館からの景色を眺めることもできます。週末もオープンしていますので、お子さんと一緒に家族で立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

国道495号線を釣り具のポイントから海側に北上し、響灘大橋を渡ってすぐのところに響灘ビオトープ。その道をもう少し進んだところに白島広報展示館があります。小さいながら案内板が掲示されていますので迷うことはありません。

北九州市のエコタウン事業や次世代エネルギーパークも見学可能ですので、いずれ稿を改めて紹介したいと思います。

【白島展示館】

〇場所:北九州市若松区響町1-108

〇開館:10:00~16:00

〇休館日:月曜日、第4火曜日(月曜が祝祭日の場合は開館)、12月29日~1月3日

〇入館料:無料

〇駐車場:無料

〇問合せ:093-752-1460(白島石油備蓄株式会社 北九州事業所総務課)

筆者

特派員

Duke

縁あって福岡県北九州市に落ち着いて、はや15年。県外の方はもちろん、地元の方にも楽しんでいただけるよう、福岡・北九州の旬な情報を発信していきたいと思っています。

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