白熱するオランダ Referendum(国民投票)

公開日 : 2016年04月05日
最終更新 :

こんにちは!相変わらず太陽はまだまだ本調子じゃないですが、段々と冬用のコートが必要なくなってきたオランダです。先週末は何と19度!ひゃっほ~~!一生懸命働いて疲れたのか、月曜日からは時々日が差し、時々にわか雨が降っています。もうちょっと日本の太陽を見習ってほしいものです。太陽まで国民性を表しています!!日陰や風はまだ冷たいので今からこちらに来る方はやはり用心してインナーを薄着にしてコートは暖かいほうがいいでしょう!

さて、4月6日(つまり明日!)、オランダとウクライナとの間の政治上、経済上、また文化上の交流促進を目的とした合意に賛同するかどうかの国民投票( Referendum レフェレンドゥム)が行われます。最近のテレビ二ュースはこの話題をしきりに話しています。もともとEUとウクライナの間にはこの合意はすでに成り立っているのですが、オランダでは<EUの決めたことに黙って従うだけでなく、オランダ一国としての国民の意思を問うべき。>と言う団体が多く、民主主義の名のもとにこの国民投票が開かれることになりました。かつて、EUがEU憲法を成立させようとした際にEU各国の国民投票で最初に<NO!!>の結果を出したオランダらしく、自国の方針は自分達で独立して決めるべきだと考える人が多いのは確かなようです。もともと、オランダの教育方針では<自律性>を重視しており、子供達の独立心、選択の力を養おうとしているので、このような社会状況は当然だといえます。

この合意に賛成派の人達の意見としては、オランダは基本的に農業国であり、土壌が豊かで乳製品や麦など、農業製品が豊富なウクライナとの協力関係はオランダの輸出入事業を考えた場合、得になるという考え方の方たちが多いようです。また反対派の人達が掲げているEUからの離脱を考えた場合でも小国であるオランダが他のヨーロッパ諸国と対等に渡り合えるようにしていくには協力国を作っていくことが有利であると考えています。

下記のYoutubeのビデオはウクライナ出身の私の友達である、Alla Vasnyova(アラ  バシニョワ)がウクライナ出身の仲間たちとこの国民投票を成功(合意に賛成)させようと作成したものです。(残念ながらオランダ語のみ)

このビデオで語られていることを簡単に要約すると、<ウクライナとヨーロッパ諸国は昔から婚姻関係などを通じて歴史的に見ても関わりが深い。ウクライナには500以上のオランダ企業が進出しており、農業関係に従事している会社もある。この合意が成立すればこれらの会社にも有利になり、両国の経済発達にも大いに貢献する。この合意を、将来的なウクライナのEU及びNATO加盟へつなげることになると心配して反対票を投じると言っている人達がいるが、それは全くのお門違いで別の話である。そうなるには別のプロセスを踏むことが必要である。>

先述しましたが、この合意に反対する人達はEUからの離脱を望んでいる人が多いようです。その多くは自国の自律性がなくなることを危惧している人、自分達のアイデンティティーがなくなり、言論の自由が無くなるのを危惧している人が多いようです。またこの合意がウクライナのEU及びNATO加盟を促進させ、多額の支援金がウクライナに流れることも反対している一理由であると言われています。またニュースでは、ウクライナは政治的、経済的不正がいまだに完全に払拭できていないため、そのような国と協力関係を構築することは問題があると言われています。しかし、ウクライナとしては、そのような不正を正そうと取り組んではいますが、なかなかうまくいかないため、ヨーロッパという外からの監視によって払拭させたいという願いもあるようです。

オランダ人は一般的に政治的な意見をあまり公に話すことはほとんどなく、今回も賛成か反対か、何も意思表示せずに過ごしている人がもちろん大多数ですが、大都市では反対派の人達がこの合意が成り立った場合に、オランダが被る不利な点をトイレットペーパーに書いて街頭で配ったりしています。トイレットペーパーに書くところが悪意を表していると言えるでしょう。またこのような行動は大都会だけかと思いきや、私の田舎町でも先日このようなポスターが張られていました。

DSC07408.JPG

実はこのポスターを張っている柵の中の芝生は、飼い犬が散歩の際に用を足してもいいようにと市役所によって作られた一角なのです。ポスターに書かれている意味は<反対票は3倍(賛成票より)マシ!>という意味です。

私見から言わせてもらうと、オランダ人が政治的な決定にこれほどまで真剣に反対するのって見たことがありません。政治家が庶民にとってバカげた政策を作るのは今や常識みたいになっている昨今(笑)で、なぜ今回だけこんなに熱が入っているんだろうと逆に不思議に思います。オランダ国内の大都市では明日の4月6日までは色んな場所でデモ集会や決起集会が行われているでしょう。

私はオランダ国籍を持っていないため、選挙権がないのでここは公平な立場からお互いの言い分をご紹介させてもらいました。

選挙はいよいよ明日。どうなるのでしょう。。。。

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