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「家事は”異カーストによる共同運営”?」インドのサーバント事情 前編

カテゴリー:生活・習慣・マナー 投稿日:2007年9月20日

日本では「うち、サーバントを雇っているの」なんてフレーズ、ちょっとやそっとでは聞いた事もないですよね。

ところがインドでは「金持ち」とまで言われるほどの家庭じゃなくとも、ある程度の家庭ならば何かしらのサーバントは雇っているのが普通です。

むしろ「全くサーバントを雇っていない」となると「なんで?」と聞き返されるほど。

「日本では、一般家庭がサーバントを雇うなんていう事は皆無に近いよ」なんて言っても、文化や社会構造が全く違うインドの事。少なくとも、外国に行った事もないような人には、よく理解ができないらしいです。

■どのようなサーバントがいるの?

住込みサーバント、食事を作るサーバント、食器を洗いに来るサーバント、掃除だけをしに来るサーバント、子守用サーバント、ドライバー、洗濯屋、アイロン屋、などがいます。

【住込みサーバント】というのは、その名の通り、その一家の家に住んで朝から晩まで全般的に家事・雑事をこなすサーバントの事を言います。一緒に住むと言っても、たいていは屋上の非常に粗末な小屋や、家の間取りの端っこにあるごく小さな部屋をあてがわれてる程度。

住込みサーバントは食事作りから、皿洗い、掃除、留守番、ペットの世話、朝昼夕のチャイ入れ、野菜の買出し、その他あらゆる雑事などを全てこなす場合も多いですが、掃除は別の人が来るなどという例も時々見られます。

そういう場合の理由は、「掃除=もっと下層のカーストのやる事」といった「カースト別分業システム」である場合が多いのもインド独特です。

住込みサーバントは出稼ぎが大半。村から出てきた人や地方出身者が多く、特に首都デリーではネパール人も多いのが特徴。

一家で住み込んでいるサーバントもいますが、よく見られるのは単身の住込みサーバント。特に、十数年も同じ家に雇われているような単身サーバントの場合は、訳アリな事情の人などが多いです。例えば、知人の家の15年以来のサーバントは元イスラム教徒。夫の暴力に絶えられずに逃げて来て、そのままという女性(イスラム教では女性からの離婚は基本的にできない)。今はキリスト教に改宗し、ある意味、住込みサーバントとしてやっと安定した生活を得ているといった様子。

こうなってくると、訳アリサーバントにとっては唯一の拠り所がその一家となる事も多く、また、雇う側にとっても”問題を起こさず仕事をきちんとこなし、一家との折り合いもよいサーバントにめぐり合うのは至難の業”であるのが常なので「ぜひ、このサーバントでずっとやっていきたい」となり、お互いにニーズが一致する事になります。

このように、いろいろな理由や相性の問題を越えてズバリ両者が出会ってしまった場合には、その結果、親子二代に渡って何十年も同じ住み込みサーバントを雇っているとか、一家の外国赴任が決まるとサーバントごと赴任する、といった例さえ見られます。

最近では住込みを雇う家はやや減少しているようですが、それでも少ないとは決して言えません。

■住込みまでは雇わない場合は・・?

住み込みまでは雇う余裕のない家、住まわせるスペースもない家の場合は、状況に合わせて何人かのサーバントを使い分けるのが一般的。私が住んでいる地区は、わりと庶民的エリアなので、このタイプが多いです。

例えば、

【毎朝掃除をしに来るサーバント】・・・朝のだいたい決まった時間に来て、床を掃いて拭いて、家具などを整えます。ついでに前日の皿洗いもやる場合もあります。

【食事や身の回りのちょっとした世話をしに来るサーバント】・・・朝、夜のちょっとした時間だけ来て、食事を作ったり後片付けをしたり身の回りの雑事をします。働いている独身の人や、地方から出てきた学生などがこのような感じで雇っている事がよくあります。日本からの単身赴任者にも、このタイプがあてがわれる事が多いようです。

【食器洗い】・・・毎朝、食器だけ洗いに来させる場合です(掃除とセットの場合も多い)。

【子守り】・・・インドでは幼稚園や小学校に子供を送り迎えしているのは、大半がその家のサーバントです(貧困層でない限り)。学校が終わる時間帯になると、サーバントに手を引かれて家に帰る子供達を見かけます。住込みサーバントの場合もありますが、昼間だけ子守全般のために雇われているサーバントも多いです。学校への送り迎え、遊び相手、幼児の場合はおむつ替えから、子供とのお留守番まで。

私の家のとなり3歳くらいの男の子も、昼間いつも道路でボール遊びをしている相手は、昼間の子守(遊び相手)として雇われている40歳くらいのおじさんです。

【洗濯屋】・・・洗濯屋はドービーと言われます。ホテルのラウンドリーサービスのように、「どこかに持っていって仕上げて持って帰ってくる」というのではなく、たいていはその家のバスルームや外にある洗濯用の流しで洗濯をして、干して帰っていきます。まだまだ洗濯機が普及していないインドでは、貧困層でない限りは、ほとんどの家がドービーを雇っています。洗濯機がなかなか普及しない理由も、ドービーシステムがあまりに定着しているからだ、と言われています。

【アイロン屋】乾いた洗濯物はアイロン屋が持っていく場合もあるし、同じドービーがアイロン屋も兼ねている場合もあります。アイロンがけが終われば夕方や次の日に届けにきます。

【ドライバー】・・・会社への送り迎えや子供の学校への送迎など。その他、マーケットなどへ行きたい時も自分では運転せずにドライバーを使う人も多いです。夜の映画が終わった後などは、映画館の前でそれぞれの家のドライバーが映画館の外でズラリと待っていたりします。

【ペット犬の散歩と世話】・・・住込みサーバントがやっている場合も多いですが、犬の散歩だけさせに誰かを雇う場合もあるらしいです。

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このようにして、あらゆるカースト(カーストというのは、最終的には職業別に細かく分類されている)の人が出入りしながら、ひとつの家庭が運営されているのがインド。

インドでは家事は「異カーストによる共同運営」と言ってもよさそうな状況なのです。


〜後編へつづく〜

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冬野 花

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