デリーの酷暑

公開日 : 2007年07月04日
最終更新 :
筆者 : 冬野 花
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夏の間中、インド全土で最も暑いのが北インドの平野部。デリーはまさにそこに位置しています。

毎日の天気予報を見ても常に、最も暑いのがデリー。その暑さ、尋常ではありません。

最も暑いのは5月と6月ですが、連日40度超は当たり前です。それどころか、45度の日も少なくはなく、48度や49度になる事もあります。

今年の5月は例年よりも雨が多かったので、「おや?今年はそんなに暑くないかも?」なんて思わせました。(といっても日本の感覚で「雨が多い」と思ってはいけません。デリーは砂漠気候に属しているだけあって、年間通しても数えてしまえる程にしか雨なんて降らないのです)。ところがどっこい、6月に入って連日の酷暑。もう1週間も45度とか46度。48度の日もすでにありました。

皆さん、想像できますか?連日45度超。真夜中でも38度以上はあります。夜は外に出て涼もう、なんてそんな夢のような話、一切許されない。そして家の中は夕方から夜中にかけてが一番暑いのです。なぜならば、壁がじゅうぶんに熱されるから。

一番上の階に住んでいる場合は室温すら、夜でも40度。最上階の友達は、その室温を利用して納豆を作った程です。

昼間、オートリキシャ(三輪の、ドアのないタクシー)に乗っている時にあたる風は、ドライヤーの風そのもの。インドではエアコンのないローカルバスは真夏、窓を閉め切って乗るんです。その方が「熱風」がこなくてまだマシだからです。

更に、インドでは水は家々の屋上の小さなタンクに溜めて使うのですが、その水がいやおうなしに灼熱の太陽に熱されて、完全なお湯となります。長い長い夏の間、一切の「水」にはありつけないという地獄。蛇口から出る「お湯」の温度も40度はあり、日本だったらまさに、お風呂にちょうどいい温度。夜でもです。熱され続けた体に水も浴びれず、家の中ものは全てが体温より熱い。体の熱の逃げ場がなくて、毎日毎日、意識が朦朧としたまま過ごす感じです。

そのうえ、デリーというのは深刻な電気不足問題を抱えていて、夏は停電が多発。少なくて一日1〜2回で1回30分、多ければ一日合計7〜8時間の停電に見舞われっぱなしです。電気がなければ天井のパンカー(ファン)すら回りません。常に全速でヘリコプターのようにブンブン回っているあの天井のファンが止まるとどうなるでしょう・・・。

玉汗がドバ〜っと流れ続けて、鎖骨には水たまりが出来、着ているものは汗で「湿る」のではなく、ズブ濡れになります。そうして、いつ来るかわからない電気を漬物のようにクタクタになりながら待っていると、なぜこの国で「瞑想」などというものが発達したのか、分る気すらしてきます。

ここまでコテンパンな目に見舞われながら暮らすのは、全ての欲を捨て去って、何が起きてもひたすら感情を荒立てず、内観内観・・・・、という境地にいたるんです。怒っても一人芝居で終わるんですから。

ある意味、プチ悟りですね(笑)。

さて、停電だったらもう、寝るのは無理なのですが、では、かろうじて電気は来ていて天井のパンカーは回っているとして、夜でも38度を越すような日々はどうやって寝るのでしょうか?

こうやって寝ます。

服を着たまま水を浴び、雨の日の野良犬のようにズブ濡れになり、そのままパンカーの真下に寝ます。時にはシーツにも水をまきます。そうすると・・・、服が乾くまでの間だけ、かろうじてウトウトすることができる感じです。乾くと暑さで目が覚めて、またバスルームへ行き、そのまま水を浴びて・・・・を繰り返します。

「先進国」なはずの日本で生まれた私がなぜこんな事をしているのだろう・・・・、と呆れの境地で薄ら笑いが浮かびますよ(笑)。インドではエアコンの事を「エースィー(AC)」と言うのですが、ACはまだまだお金持ちだけのもの。他の物価に比べて電気代がかなり高いので「ACは買えても、使えない」、という皮肉もよく語られます。

それに、例えACがあっても停電のせいで満足にACを使う事すらできないのがデリー。

まだまだ暑い日が続く事に思いをはせると、やはり、プチ「悟りの境地」に至ります。

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