ダルエスサラーム家庭の電気と水

公開日 : 2019年09月21日
最終更新 :
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(写真:タンザニアの玄関、ジュリアスニエレレ新国際空港が2019年8月1日、ついにオープン。

後方右手にわずかに見えるのが旧国際空港です。)

2019年の夏も九州や千葉県を中心に台風被害が発生しました。

日本では夏場の台風に加え、年間を通して地震や津波も心配されます。

そんな日本と比べると、ダルエスサラームでは日々災害と隣り合わせという感覚は

ありません。

確かにダルエスサラームでも、かつて津波警報が出たことはありますし、2016年9月

にはタンザニア北西部でマグニチュード5.9の地震も発生しました。

しかし、日常的に災害を意識する必要がないため、筆者がタンザニアに来た当初は、

日本なら地震で落下することを警戒してモノを置かないような場所に、平気でモノが

置けてしまうことに幸せな違和感を感じたものです。

台風(サイクロン)の心配もまずありません。

ダルエスサラームは強風が吹くこと自体とても稀(まれ)な、穏やかな気候です。

雨季は大雨が降るとすぐに道路が冠水するということはありますが、ダルエスサラー

ムでは日常の範囲内。人々は淡々と対処するのみです。

さて、日本では大規模災害でつきものの停電や断水。

今回は、ダルエスサラームにおける電気・水の状況をご紹介していきましょう。

●●●電気

電力需要が少なかった以前は停電などまずなかったものですが、現在のダルエスサラー

ムの暮らしでは停電は日常茶飯事です。

けれど災害によるものではないので、何日も停電が続くということはありません。

10日~2週間程度の旅行で訪れるなら、うまくすれば体験することもないでしょう。

停電時間は数時間から長くて半日といったところ。

不便ではありますが、かろうじて冷蔵庫の食品を腐らせることはありません。

パソコンも携帯電話もきちんと充電できていれば、切れる前には復旧するのが

常です。そのため、タンザニア生活ではこまめな充電習慣が欠かせません!

中流以上の家庭では自家発電用の発電機を備えている家は珍しくないし、スーパー

マーケットで買物中に停電が発生しても即座に自家発電に切り替わります。よくある

ことなので慣れたものです。

携帯電話の充電や室内の照明に使えるコンパクトな太陽発電システムは農村部でも

広がってきています。郊外の未電化エリアでは、太陽発電システムを持っている人は

携帯電話の充電サービスを収入源の一つにしている人もいますよ。

なお、タンザニアのエネルギー構成は、天然ガス45%、水力42%、石油13%、

農村部においては65%が太陽光発電(2016年・タンザニアエネルギー鉱物省)と

なっています。

さて、停電が長引いてウンザリして来たら、タンザニアの電力供給公社である"TANESCO

(タネスコ/Tanzania Electric Supply Company)"に問合わせれば、復旧状況を

教えてくれます。ちゃんと対応してくれていることが分かるだけでも、とりあえず

安心できるものです。

●●●水

日本で断水が発生したら、その日から一大事ですが、タンザニアではそう慌てる必要は

ありません。なぜなら、どこの家でも必ず大きな貯水タンクを持っているからです。

日本で断水が長引くと給水車が出動し、人々は列をなしてペットボトルやポリタンク

などに水を入れてもらう光景が報道されますね。しかし実際のところ、それでは生活

には足りないし、使うにも大変不便です。

ダルエスサラームに行ったら一般家庭の敷地を眺めてみてください。

黒い大きなタンクが1つ以上見えるはずです。

それらは貯水用タンクで、1000L~5000Lなどの容量が白字で書かれています。郊外に

向かうときは、道沿いに様々なサイズの設置用ポリタンクを販売している店を見かけ

るかもしれません。

タンクは家の屋根の上や、庭に建てた数メートルほどの鉄塔の上に設置されていたり、

地面に作った土台に置かれていたりします。埋没式であれば、一般家庭でも容量1万

リットルのタンクがある場合もあります。

タンクの水はパイプを通して家庭内の蛇口まで繋がっているので、たとえ断水があっても

いつも通り蛇口やシャワーの水を利用できる点、大変使いやすく不便を感じさせません。

井戸水が出るところだと、水を売って収入を得る人たちもいます。値段は交渉次第で

大きく変わるので、買うときは近所の人や知り合いに相場を聞いておくと良いでしょう。

タンクのサイズが大きいほど単価が安くなります。

●●●貯水タンクの利用管理方法

ダルエスサラームでは"DAWASCO(ダワスコ/Dar es Salaam Water and Sewerage Cor-

poration)"という上下水道供給公社がきれいな水道水を供給していますが、水道管

は直接蛇口に到達しているのでなく家庭の貯水タンクを経由しているのが特徴です。

各家庭では水道栓は通常閉めておき、「定期的に水道栓を開いて貯水タンクを満たす」

という作業を行います。水栓を開くと、水は使用量を計るメーターを通って貯水タンク

に到達します。

水道を使う家ではタンクは通常2つ以上保有しているので、日常的にかなりの量を貯水し

ていることになるわけです。タンクのサイズと使用量によるものの、数週間からひと月

以上は水に困ることなく暮らせるので安心です。ただしそのためには、こまめに水栓を

開いて常に貯水タンクを満たしておく必要がありますがね。

なお、自宅のパイプにバイパスが付けられて他所の家に水をタダで供給してしまっている

なんてケースも珍しくありません。工事などのキッカケがないと発覚しにくいですが、

月当たり使用量の相場を知っておくことも大事かもしれませんね。

ところで、電気・水道はじめ、ダルエスサラームでの様々な公共料金の支払いはどんな

仕組みになっているのだろうと興味が湧きませんか? 

ので併せてご覧ください!

筆者

タンザニア特派員

西東たまき

2012年より東アフリカ・タンザニアのダルエスサラーム在住です。様々な側面から垣間見るダルエスサラームをレポートします。

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