高校卒業のお祝い♪

公開日 : 2011年06月30日
最終更新 :
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ん!?なになに!?

6月下旬。街を歩いていると、どこからともなく大音量の音楽、人びとの喝采、そして車のクラクションが聞こえて来ます。その仕掛人は、この車!この人たち!そう。高校の卒業生たちなのです!デンマークでは、6月に最終試験を終えた高校卒業生が、大型車1台を貸し切って、誇らしげに盛大にお祝いをします♪彼らは大音量で音楽を流し、車の荷台で大騒ぎ。それに気がついた他の車は、クラクションを鳴らして彼らの卒業をお祝いするのです!

ここでデンマークの教育システムを簡単に説明させていただきます☆

デンマークには小学校・中学校という区別がなく、7歳から義務教育として9年間同じ学校に通うのが通常です。面白いのは、学校通いに慣れるため、6歳から任意で0年生(幼稚園クラス)に進学できたり、9年生を修了した後、任意で10 年生にも進学できることです。

その後、学生たちは、3年間の普通高校、商業系の専門学校、工業系の専門学校などに進学します。普通学校に通う高校生は、3年生の5月~6月にさまざまな科目の卒業試験を受け、晴れて合格すると、赤いリボンがついた学生帽をもらって卒業することができます。また、専門学校の場合にも、分野によって色分けされたリボンつきの学生帽をもらって卒業します。

高校卒業試験には、筆記試験のほかに口頭試験があり、だいたい半分くらいの科目で口頭試験が行われます。そして、普段の成績と卒業試験の成績を合わせて、総合成績が算出されます。デンマークには、いわゆる日本のような大学入学試験がないので、高校卒業時の成績が大きな意味をもちます。その成績によって、進学できる専攻が変わってくるのです。(但し、基準に満たない成績をとってしまっても、仕事などの「経験」でポイントを稼いで、最終的に希望専攻に進むことはできます。)

話がそれてしまいましたが、つまり高校3年生は5~6月の卒業試験にけっこうな力を注ぎます。また、彼らのほとんどは、卒業後そのまま大学に進学「しません」。高校を卒業すると、ほとんどの学生は約1年間の休暇をとるのです。そして、アルバイトをしたり、フォルケホイスコーレ(別名、国民高等学校。全寮制の学校で、通常は数ヶ月ごとにコースが組まれている。自発性を重視した「生きた教育」を行う学校なので、テストは一切ない。)に通ったり、海外旅行をしたり、自分がしたいと思うことを思う存分します。この高校卒業後の約1年間の休暇は「自分がしたいことをじっくり考える貴重な時間」として、社会的にもポジティブに受け入れられています。そんなわけで、高校卒業時には、次にしなければならない何かがないので、嬉しさ200倍なのです。

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卒業式当日とその翌日、卒業生たちはクラスで大型車1台をチャーターします。最初の写真にあったようなゴツイ車もあれば、こんなふうにかわいい車もあります。風船をたくさんつけるのは共通のようです。そして、車に乗って大音響の音楽をかけながら街を走り回るのですが、ただ走り回るのではありません。

なんと、クラスメートの家を1軒1軒訪問するのです!

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こちらは訪問先の1軒。卒業生の親は、息子・娘のクラスメート全員分の食事・デザート・ドリンクを用意して待機しています。そして、大型トラックが自宅前に到着すると、全員を迎え入れ、彼らの卒業を祝福するのです。この写真は、庭で卒業生たちが食べ物・デザート・ドリンクをとっているところ。クラスの人数にも寄りますが、1軒あたりの訪問時間は約30分。食べたいだけ食べ、ドリンクを飲みたいだけ飲み、騒ぐだけ騒いで、まさに彼らは台風一過のように去って行きます。

※デンマークでは18歳から飲酒OK。卒業生は18~19歳なのでアルコールも存分に飲みます。

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1軒訪問後は、また大型車に乗って移動し、別のクラスメートの家を訪問します。

2日間にわたって、それを繰り返し、クラスメート全員の自宅訪問を達成します!

いかがでしょうか!?

クラス全員+クラス全員の親を巻き込んだ高校卒業のお祭り騒ぎ...。文化の違いとはなかなか面白いものです。

しかし...。高校卒業してからの「社会的に認められている約1年間の休暇」かぁ...。いいな~!と叫びたくなりますが、そういう発想はとてもデンマーク的だなぁと思います。きっと、彼らはこの約1年間の休暇で、自分がしたいことに思い切りして羽を伸ばし、「自分が本当にしたいこと、学びたいこと、仕事にしたいこと」を見つけ、それに向かって突き進んでいく将来の土台をつくるのでしょう。

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