アール・ヌーヴォーとアール・デコを極めるビエンナーレ ④ 「怒り狂った歌の宮殿」
2013年の10月毎週末に開催されていた、アール・ヌーヴォーとアール・デコのビエンナーレ。今回は、「怒り狂った歌の宮殿 (Palais de la Folle Chanson)」という名前のアール・デコ様式で建てられた集合住宅をご紹介します。
曲線を多用し、使用する素材にもこだわったアール・ヌーヴォー建築は、第一次世界大戦を境に、その華美な装飾やデザインが時代遅れだと言われるようになります。そして、簡素で直線的でモダンなデザインであるアール・デコ様式の建築物が人気を集めるようになりました。
アール・ヌーヴォー建築を見学すると、内装が竣工当時から変えられた建物がいくつもあることに気がつくでしょう。これは、アール・ヌーボーは「ダサい」と言われるようになってしまったため、内装をアール・デコ調に変えたオーナーが少なくなかったからだそうです。
1928年に建てられたこの集合住宅は、当時のベルギー人の固定概念を大きく変えるものでした。当時、こういった集合住宅に住むのは貧しい証拠で、人々は一軒家を好んだそうです。当時の流行の最前線であったアール・デコ様式の建物を建てることで、流行に敏感な層を取り込もうとしたようです。
もう1つ、今からでは信じられない考え方ですが、当時、最上階(=屋根裏部屋)は家の使用人のための階であったため、この集合住宅の最上階(=ペントハウス)に住みたがる人がいなかったのだそうです。そこで、使用人の部屋が最上階に作られましたが、建物中心の丸くせり出た部分を、この集合住宅の住人がタバコを吸ったり、読書をしたりできる共有スペースとし、テラスをつけて、開放的な空間を作り出しました。最上階の居住スペースは実は価値があるのだということを、示すことに成功した建物でもあるのです。
この集合住宅を手掛けたアントワーヌ・クルテンスは、当時29歳。各フロアには2つアパートを作り、それぞれ玄関ホール、居間、食堂、台所、寝室4つ、バスルーム2つという構成になっているそうです。そして、随所に幾何学模様を使ったパターンを見ることができます。
Palais de la Folle Chanson
住所: Boulevard General Jacques 2, 1050 Ixelles
<お役立ちメモ>
この集合住宅の辺りには、他にもアール・デコ様式で建てられた集合住宅がいくつかあります。現在は一般住居として使われているので、中に入ることはできませんが、外観だけでも十分楽しめます。建築物に興味のある方は、晴れた日に足を延ばしてみてくださいね。
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