【お家から演奏会】ボローニャ音楽院の試演会@Zoomの報告レポート&オンライン授業情報
前回の記事
でご紹介しましたが、昨日5月7日(木)は副科チェンバロのZoom試演会でした。
今回の記事では、試演会の流れ、実際に参加してみた感想をご紹介いたします。
また、記事の後半からは、オンラインレッスンでの出席の取り方、暫定的な試験の方法なども紹介しています。
ボローニャ音楽院でよく演奏会をする、
「サン・コロンバーノ」という博物館のチェンバロです。
Zoom試演会の流れ
1. 先生からZoomのミーティング招待
中国に帰国している生徒の時差に合わせて、イタリア時間の12時(日本時間の19時、中国時間の18時)から試演会開始です。
一時間前に先生からミーティングの招待リンクが送られてきました。
2. Zoomのアプリを起動させ、開始を待つ
早く入ると、「ホストがこのミーティングを開始するのをお待ちください」と出ます。
この間に、PCのオーディオテストをしたり、Zoomの背景を変えたりできます。
一応、マイクの音割れ防止のためにスピーカーとマイクのレベルを半分にしておきました。
鍵盤まで緑になってしまいましたが、緑背景がなかなか好評でした。
この背景はもともとZoomに入っています(自分で背景の追加もできます)。
3. 時間になり、先生の挨拶
「この新型コロナウイルス時代に、小さなコンサートをする試みに参加してくれて、ありがとう」
との挨拶でした。
参加者は中国人4名、イタリア人1名、日本人1名(私)。
今回は実験的だったため、とくに演奏者以外は招待せずに行いました。
4. 演奏
それぞれ、曲名を言い、演奏をしていきます。
演奏をしない人は、ビデオとマイクをオフにします。
演奏の音量に問題がある場合は、先生がすぐに止めます。
ちなみに、みんな家から演奏しているので、ピアノ、あるいは電子ピアノでの演奏でした。
5. 演奏が終わったら拍手をする
ミュートを解除して、みんなで演奏者に拍手をします。
6. 先生の挨拶
質問など、少し雑談をしました。
ZOOM試演会に参加した感想
オンライン上とはいえ、みんなに自分の演奏を聴いてもらうため、練習に身が入りました。
演奏する人以外はビデオとマイクをオフにするよう気をつけ、少人数だったこともありますが、思ったよりスムーズにみんなの演奏も聞くことができました。
また、自分の演奏時は「聞かれている・見られている」状況にとても緊張しましたし、演奏後に拍手をもらえてとてもうれしかったです。
2ヵ月以上、コンサートなどの活動ができないなか、このようにみんなで音楽を楽しめたのはいい経験でした。
歌の先生も今回のチェンバロ試演会に興味を持ってくださったので、今後このような【オンライン演奏会】が増えないかと期待しています。
オンライン授業の情報
何かの参考になればと思い、小さなことですがツイッターでのやり取りにて、話題になったことをまとめます。
盛りだくさんになってしまったので、気になる項目をクリックしていただければ、その項目へジャンプします。
1. 出席の取り方
ボローニャ音楽院では、先生が授業の最初に点呼を取っています。
普通に学校へ通っていたときは、出席簿にサインをしていました。
オンライン授業では、とりあえず先生が出席したかどうかを記録し、いずれ学校が開いたときに、時間数分のサインをするというシステムになっています。
単位を取るには、3分の2の出席が必要です。
2. 大人数の授業で入れなかった場合
ボローニャ音楽院ではなく、ボローニャ大学の話です。
ボローニャ大学は、Microsoft Teamsを使用しています。
ただし、ボローニャ音楽院とは比べ物にならない生徒数なので、人気の講義は定員オーバーになることも......
(Microsoft Teamsは、250名までしか参加できないなど、制限があるようです)
そこでボローニャ大学では、入れなかった生徒には、YouTubeでもリアルタイムで公開するという対策を取っていました。
リアルタイムで先生に質問できないのがネックですが、授業をあとからでも聞けます。
私も大人数の授業はアプリが落ちてしまいがちですし、あとから授業をもう一度聞きたいと思うときがあるので、YouTubeにアップしてもらえるのは、うれしいですね。
3. 【暫定情報】試験について
ボローニャ音楽院は、5月、6月が夏学期の試験期間です。
5月に理論の試験がオンラインでスタートし、6月には実技試験や卒業試験が学校で始まる予定です。
《オンラインでの試験》
今現在では、「試験中はビデオを撮って記録する」、という方向になっているようです。
テストに向けて、オペラ実習の先生がスカイプのビデオ機能のテストをしていました。
ただ、短い試験ならいいですが、対位法など4時間掛かる試験も......?
先生が、不正がないかビデオをチェックしなければ単位にならない......?
(学校に通っているときは、学校の個室で受けるシステムになっています)
試験中のビデオ撮影に反対している先生や、学校が開く可能性があるので秋学期に試験を延期したいという先生も多いです。
私も、できるだけ試験は秋学期に先延ばしにしようと思います。
《学校での試験》
学校での試験は、少人数、時間差を空ける、消毒をするなど感染対策をし、行われる予定です。
ただし、あくまで予定。
イタリアは5月4日に外出規制が解除されて人が外に出るようになったため、新型コロナウイルスの潜伏期間を加味した「2週間後にどうなるのか」が注目されています。
このまま2週間後も感染が落ち着くのであれば、学校で少人数の試験ができますし、そうでなければ学校での試験はなしになります。
また現在イタリアでは、ほかの州への移動に制限があるため、
「ボローニャのあるエミリアロマーニャ州以外に住んでいる生徒は、6月に音楽院の試験を受けるために州の外へ出られるのか?」
という点も、問題になっています。
何せよ、この2週間後の状況次第です......。
4. 【暫定情報】学校の再開は?
ボローニャ音楽院は、9月まで学校での通常授業は行わない予定です。
オンライン授業のみとなります。
また、入試も一応9月に予定されていますが、「新型コロナウイルスの状況次第で延期される」とされています。
5. 教育の平等・設備問題について
日本の大学では、PCやWifiなどの設備がみんなにそろっていないことから、「オンライン授業がなかなかスタートしない」という問題があると聞きました。
私の周り(ボローニャ音楽院、ボローニャ大学)では、教育の平等、対策の問題はあまり出ませんでした。
その理由は、日本と違ってイタリアは、感染が爆発してしまい、オンライン授業が「待ったなし」の状況だったからだと思います。
2月24日にエミリアロマーニャ州の命令で学校が閉鎖されましたが、ボローニャ大学は2月27日の時点で、
「3月2日よりオンライン授業を開始する」
と発表しました(ボローニャ大学がオンラインで授業をすると表明した動画は、こちらで見られます)。
なかにはボローニャ音楽院とボローニャ大学の両方に所属している生徒もいるため、グループWhatsApp(イタリアのLineのようなアプリ)で「オンライン授業しよう!」と音楽院の先生に発言している生徒もいました。
そういう点から、オンラインへの切り替えが早かったのだと思います。
6. 【体験談】まずはオンライン授業はやってみることで、解決策が見つかることも
確かに日本の私立音楽大学だと学費が高いですし、なかなか「教育の平等」の問題がクリアできないとスタートしにくいということもわかります。
私はバロック歌のオンラインレッスンのとき、アカペラで歌うのがとても苦手で、オンラインレッスンの最初の週はとても苦労しました。
音楽院に通っているときは、いつも伴奏の先生がいるか、先生が弾いてくださっていたので......。
そこで、自分でレッスン前に伴奏を録音し、歌うようにしてみました。
そのアイディアが歌の先生に採用され、伴奏の先生は校長先生と仕事の契約をし、クラス全員の伴奏録音を送ってくださるようになりました。
自分の勉強に役立つことはもちろんですが、練習室が閉まり、ピアノもキーボードも持っていなくて、スマホの鍵盤でしか音がとれない状態だった生徒の勉強にも、役立つようになりました。
そんな私の小さなエピソードですが、やっていくことで問題がわかり、解決策が見つかることもあると思います。
7. 【便利グッズ】「タブレットアーム」を購入
チェンバロ試演会には間に合いませんでしたが、「タブレットアーム」を購入してみました。
これがあれば、手元を写したり好きな角度にタブレットやスマホを固定できます。
動画作成やレッスンに役立つかもしれません(寝っ転がってオペラのストリーミング配信を見ることも......!)。
Amazonなどのウェブサイトで「タブレットアーム」と探すと、いろいろ出てきます。
買う際は、自分の家に固定できるかもチェックしたほうがいいです。
私は「ちょっと思ったより固定する金具が下に長いな......」と感じました。
以上です。
また新しい情報や、役に立ちそうなことがあれば、シェアします。
この新型コロナウイルスの影響下の生活は誰にとっても未知のことなので、工夫と改善が大切かと思います。
前向きに、今できることを頑張っていきます。
筆者
イタリア特派員
望月 唯
ボローニャ在住のメゾソプラノ歌手です。ボローニャ生まれのピアニスト・マルコと一緒にボローニャの歴史や裏話を紹介します。
【記載内容について】
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