サンダルウッドはインドの香り?
インドのお土産と言えば、お香やアロマオイルといった香りのするものがイメージの1つにある。そもそも香りというものはどのように作られているのだろうか。
今回は、ベンガルールにある香料メーカーを訪ね、意外な事実も知ってしまった。
取材に協力してくれたのは、ビジロム社のヴィジャヤ氏。
香料メーカーという商いを祖父の時代から受け継いでいる。第一次世界大戦前、インドがイギリスの植民地だった頃、祖父は港が近いチェンナイでイギリスやフランス、ポーランドから香水などを輸入し国内で販売していた。その当時、輸入していたという貴重な香料を見せていただいた。
ラベルの色はセピア色に変色しているが、レトロなフォントやラベルを見ているだけでタイムスリップしてしまいそうだ。そして、1947年イギリスから独立したインドでは、関税のかかる輸入品には頼らず、これまで輸入していたものも国内で生産しようという方針に変わっていった。香料もその一つだった。ヴィジャヤ氏は、1974年から2年半フランスで香料について学び、卒業後は大規模な香料メーカーで経験を積みながら自分たちで香りを作り出す技術を習得していった。1984年には、世界最大のスイスのフレグランス・フレーバーメーカージボダン社との合弁会社をバンガロールに設立したにもかかわらず1999年譲渡。2000年ビジロム社を設立した。現在、インドにおけるフレグランス業界No1である企業を譲渡したことについてヴィジャヤ氏は「当時は、若かったからね。譲渡したのは失敗だったよ。」と笑う。
(香料の定義)
香料とは、大きく分けてフレグランスとフレーバーがある。フレグランスは、化粧品やトイレタリー製品、香水に使われる香料であるのに対しフレーバーは、アイスクリームやガムなど主に食品に使われる香料である。高成長市場であるインド国内には、こういったメーカーがおよそ150社あり、そのうち10社は大規模メーカー。インドでは、国民の生活が豊かになったことや大型モールなどで商品を目にするチャンスが増えたこと、またインターネットで簡単に物が買える時代になったことで、香料メーカーの売り上げも毎年8~10%上昇しているそうだ。
(香料の原料とは?)
実験室のような香りの研究室。いったい香料は何から作られているのだろうか。原料には大きく分けて天然香料と合成香料とがある。
天然香料は、花や葉、樹皮、果実、種子などから抽出、圧搾、蒸留して取り出したもので450種類ほど。一方合成香料は、化学反応を利用した方法で作られた香料で、種類も3000を超えるが、世界市場で取引されているのはおよそ500種類と言われている。
液体タイプ。
パウダータイプなど様々。
この工場では、こういった香りの成分をインドネシアや中国、フランス、マダガスカル、スロベニアなどから輸入し、調合した香りを中東やアフリカなどに輸出している。
(サンダルウッドは今やインド産ではない?)
さすがにサンダルウッドは、マイソールが有名だから地元のものを使っていると思いきや、現在、サンダルウッドの植樹が伐採に追いついていないという深刻な事態になっているため、インドのサンダルウッドの数は激減しているのだった。現在では、インド政府により伐採や輸出に規制が課せられているほど。そんな中、インド産サンダルウッドの代わりとなるのがオーストラリア産のサンダルウッド。
プロなら香りをかぎ分けられるが、素人には全く分からない。
ダーウィンには、商業目的で大量に植えられたサンダルウッドの畑が1ミリオンヘクタールも広がっているそうだ。Made in Indiaと思って買っていたサンダルウッドの香りが、実はオーストラリア産だなんてなかなか信じがたいものである。地元のインド人に話しても「そんなことは、ありえない!」と否定するほどなのだ。私も信じられなかった1人である。
(香料の作り方)
香りは、メーカーの要望に合わせて調合し作り出していく。研究所には、香りの原料が瓶や缶に入っていて、それを20~60種類と混ぜてイメージの香りを作りだしていく。
メーカーは、何社かに要望を出しコンペティションで最終決定するのでこの作業が一番大事。そしてサンプルをメーカーに確認してもらい、OKが出ればそれを大量に生産する。
大きなドラム缶に原料とオイルを入れ3時間攪拌しあとは2日間置いておくだけ。完成したら缶に入れて納品。
(取材協力)
Vigirom Chem P. Ltd.
#55/A, Sakalavara Village, 17th K.M.,Bannerghata Road, Bangalore - 560083
営業時間:9:30~18:00
日曜定休
080-2783-7011
http://www.vigirom.com/
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