ヤンゴンのパンクバンドを追ったドキュメンタリー映画「My Buddha is Punk」(バンコクで見るミャンマー) 

公開日 : 2017年03月13日
最終更新 :

バンコクにいると、コンビニやレストランの店員、建設現場の労働者など、ミャンマー人を見ない日はないほど、ミャンマー人はタイ経済に欠かせない存在ですが、アートや音楽など現在のヤンゴンのシーンはもちろん、彼らの伝統的な文化などがタイで紹介されることは、残念ながらほとんどありません。

そんな中、めずらしくタイの一部でも話題になっているミャンマーのドキュメンタリー映画「My Buddha is Punk」。先日、バンコクでアジア初上映が行われ、多くのメディアの注目を集めました。

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「My Buddha is Punk」は、2012年にドイツ人の映像作家Andreas Hartmann氏がヤンゴンのパンクバンドThe Rebel Riot Bandと出会ったことがきっかけで、撮影が開始されました。ストーリーは、ヤンゴンのSule Pagoda近くでパンクファションやグッズを扱う露店を営みながら、バンドのボーカル・ギタリストとして活動するKyaw Kyawを中心に進み、ブッダの教えとパンクを結びつけた独自の考えや、メンバーや若者との対話や葛藤を記録しています。

公式予告ムービー

他の大多数のミャンマー人と同じく仏教徒のKyaw Kyawがバンドメンバーやパンクになりたての10代に、本当のパンクとはなにか、本当の意味でのブッダの教えとはなにかを語りかける様子は問答のよう。また、民主化や世代間の問題や、ロヒンギャ問題などにも触れ、現在のミャンマーの内情が垣間見える作品となっています。

首都のヤンゴンでさえ、現在も民族衣装に身を包む人が多数派の中、全身パンクファッションに身を包む若者は特異な存在です。情報統制や表現活動に制限がされていたこの国に、パンクが持ち込まれたのは、1990年代。世界中を周っていたミャンマー人の船乗りが、Sex Pistolsやハードコアバンドのテープをヤンゴンに持って帰ってきたのがきっかけで、若者を中心にパンクが広がりました。軍事政権時は、歌詞にも規制が入り、反社会的なパンク自体が取り締まりの対象だったことも。ファッションとして憧れる若者も多いようですが、アクティビストとしての側面も強く、The Rebel Riot Bandのメンバーも週に一度ホームレスに食べ物を無料で提供する活動「Food Not Bombs」などの活動行っています。

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今回は、Bangkok Underground Film Festivalの一環で上映され、The Rebel Riot Bandによるライブも行われました。主催者側の予想を遥かに超えた400人ほどのパンク好きなタイ人の若者やアート・メディア関係者が集まり、立ち見客が続出。会場は熱気に包まれました。多くのタイ人はかつてはタイの敵国だったミャンマーに興味を持たない中、とてもめずらしいー夜となりました。

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作品中では、残念ながら、本作ではあまりミャンマーの音楽事情やアクティビストとしての活動には触れておらず、上映後のQ&Aで分かったことも多かったです。今後、日本などで上映されることがあると思いますが、ぜひ観る前にいくつか記事を読みことをおすすめします。

Vice - Meet the Burmese Punks Feeding Their Country's Homeless

i-d - how punk found a new voice in burma's politicised youth

The Rebel Riot Band fb.com/therebelriot/

My Buddha is Punk fb.com/mybuddhaispunk/

Food Not Bombs - Myanmar fb.com/fnbmyanmar/

リトルミャンマーのような場所もいくつもできるほど、バンコク居住者にとって、より身近な存在になりつつあるミャンマー。これから、バンコクでも、もっとミャンマーのこと知る機会が増えればと思います。

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