トップ > 北米 > アメリカ > ボルチモア特派員 > 米国最古の現役通勤鉄道網~カムデン・ラインに乗って

アメリカアメリカ/ボルチモア特派員ブログ

米国最古の現役通勤鉄道網~カムデン・ラインに乗って

カテゴリー:交通・鉄道・航空 投稿日:2021年10月17日

【新型コロナウイルスが世界各地で猛威をふるっていますが、事態が収束し、皆様が安全に海外へ出られるようになってから訪れてほしいおすすめのスポットを紹介します。】


アメリカの旅客鉄道網は、長距離が主体のアムトラックのほか、地域ごとにさまざまな通勤列車があります。メリーランド州とワシントンDC間で現在運航されている通勤列車網の中で、最も歴史の古い路線である、MARCのカムデン・ライン Camden Lineについて紹介します。

Camden-1.JPG
▲カムデン・ラインの機関車

■MARC・カムデン・ラインとは

MARC(Maryland Area Regional Commuter:メリーランド地域通勤鉄道)は、メリーランド州を走る通勤列車網で、首都ワシントンDCの鉄道の玄関口であるユニオン駅Union Stationへつながる3路線(ペン・ライン、カムデン・ライン、ブランスウィック・ライン)を有しています。


最も利用が多く、運行本数も多いのがペン・ラインPenn Lineで、ボルチモア市のペン駅(Penn Station)やBWI空港駅を経由して、メリーランド州北部のペリービルPerryvilleまで結んでいます。ブランスウィック・ラインBrunswick Lineは、メリーランド西端にあるハーパース・フェリーを経由して、ウェストバージニア州のマーティンスバーグまで延びています。


カムデン・ラインは営業キロとしては最も短いですが、ペン・ラインとは別のルートでボルチモアのカムデン駅までを結んでおり、また、カムデン駅はMLB(メジャーリーグ)のカムデン球場の目の前という大変便利な立地にあります。
Camden-2.jpg
▲カムデン・ラインのボルチモア側の始発駅:カムデン駅


カムデン・ラインの前身は、ボルチモア・オハイオ鉄道のワシントン支線で、1830年に開通しました。これは現在も運航している旅客鉄道網としては全米で最古だそうです。初期は通勤電車というより、沿線の農場の収穫物を運搬するものがおもな目的だったようです。


ボルチモア・カムデン駅からワシントンDCのユニオン駅までは約1時間の乗車で、運賃は$9です。ペン・ラインと線路を共有しているアムトラック(長距離旅客列車)を利用した場合、ユニオン駅からボルチモア・ペン駅まで当日購入で時には$34もかかることもありますので、かなりお得感はあります。カムデン駅、ユニオン駅ともに切符はMARC専用自動券売機で購入できます。


Camden-3.jpg
▲乗車券はこんな感じ。


■実際に乗車してみます


カムデン・ラインで使用されている列車はおおむねふたつのタイプがあり、ひとつはMARC主流のペン・ラインでも使われる2階建て新型客車、もうひとつは1階建ての旧型客車です。


旧型客車は座席が2~3席の配置で、真ん中を分け目にシートは進行方向と逆方向それぞれ固定されています。網棚はありますが、アムトラックのような各座席のコンセントやテーブルはありません。
Camden-4.JPG
▲旧型客車の車内


客車も4両だけで片側には大きなディーゼル機関車が連結されています。運転席は機関車と反対側(客車の先頭)にも運転席があり、カムデン駅からワシントンDCへ向かうときは、機関車がボルチモア側(最後尾)の位置になるため、客車の運転席で運転士が列車を操作し、動力は後ろからディーゼル機関車が列車を押す形になります。
Camden-5.JPG
▲旧型客車最後尾は折り返し時の運転席になっている


途中の駅はどれもプラットホームの短い小さな駅で、実際、4両の列車でも全車両のドアが開くことはありません。車内アナウンスを注意して聴く必要があります。先頭車両か2両目あたりのドアだけが開閉され、ホームと列車のドアの高さに高低差があるところは車掌が踏み台を用意して乗客の乗降をサポートします。


Camden-6.JPG
▲途中駅は小さなプラットホームのみ


Camden-7.JPG
▲高低差のあるプラットフォームで踏み台を使う例(写真の客車は2階建て新型車両)


■平日ダイヤしかない


ワシントンDCへの通勤がおもな利用であるためか、カムデン・ラインのタイムテーブルを見てみると、運航は平日(月曜から金曜)のみ。カムデン駅発が朝の通勤時間帯(午前5時~午前8時)に5本、夕方の通勤時間帯に2本で、午後6時15分発が「終電」となります。ユニオン駅発の下り列車は同じく朝に4本、夕方に6本運行があり、午後7時45分発が最終列車です。土日の運航があればもっと観光利用に便利になるのにと思いますが、現在の乗車人数の少なさを見るとなかなか増便は難しそうです(※ペン・ラインの方は土日の運航ダイヤがあります)。


古い鉄道路線だけに、車窓の景色も歴史を感じる家々や町並みを見ることができ、車内も少しレトロなインテリアと雰囲気を味わうことができます。


MARC(MTA Maryland Transit Administration内)公式ホームページ・
・URL: http://www.mtamaryland.com/services/marc/serviceInformation/MARC_General_Information/


MARCタイムテーブル公式ページ
・URL: https://www.mta.maryland.gov/schedule?type=marc-train


カムデン駅Camden Station所在地
・住所: 301 W. Camden Street, Baltimore, MD 21201(地図参照)
この場所をGoogleMapで確認する

記事の商用利用を希望される際はコチラからお申し込みください。

ベスト加島 聡子 さん

アメリカ・ボルチモア特派員のベスト加島 聡子 さんが現地から北米地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

最近の画像

画像一覧へ

カテゴリーから記事を探す

月別記事一覧

特派員プロフィール

アメリカアメリカ/ボルチモア特派員
名前:ベスト加島 聡子 さん

ベスト加島 聡子 さん

神奈川県出身。在米歴約20年。高校時代の初渡米以来、ホームステイ、出張、海外キャンプ、インターンシップ、語学学校、大学院留学、そしてアメリカ移住とあらゆるスタイルでの滞米経験を積む。ペンシルバニア州、バージニア州在住を経て、現在メリーランド州で菜園と家の修繕をしながらクラフトアートにいそしむ、晴耕雨読の日々。 DISQUS ID @disqus_x7WrP8x3oO

ボルチモア特派員トップにもどる

その他のアメリカの特派員

ボルチモア(メリーランド)を旅する

その他のエリアから探す

特派員募集中!

日本国内、海外を問わず特派員は随時募集しております。ご興味のある方はぜひご応募を!

ボルチモア特派員トップにもどる

トップ > 北米 > アメリカ > ボルチモア特派員 > 米国最古の現役通勤鉄道網~カムデン・ラインに乗って

PC版で表示

運営会社と個人情報保護について