いまのアテネの市民生活

公開日 : 2010年05月14日
最終更新 :

 5月の初め、ポセイドン神殿のあるスニオン岬の近くのフィッシュタヴェルナに行った際に早速、初ビーチ。5月も半ば。ギリシャはすっかり夏の気候です。ことしは暑くなるのがちょっと遅くて4月でも朝夕、肌寒い日もありましたが、今週は街を歩く女性たちの装いもノースリーブのワンピース姿などが増えてきました。

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 数年通い続けているフィッシュタヴェルナで海の幸をたっぷり食べて大満足。その後、気候がよかったので、近くのビーチへ。もう早速泳いでいる人もいました。太陽は力強い陽射しを放っていますが、でも水はまだ冷たいので、波打ち際で足をつけたり、ビーチで寝そべったりしただけですが、アテネを離れてキラキラと青く澄んだ海を眺めてリラックス。デモやストが相次ぐアテネの都心とは同じ国とは思えないほどです。

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  しかしいま緊縮策で引き上げられたガソリンの高さにはまいります。55リットル入れて85ユーロ!先月は80ユーロ、12月ごろは75ユーロでした。ちょうど1年前の昨年の5月は55ユーロ。なんと1年で30ユーロも急騰してしまったわけです。これに伴い、輸送費などコストがかかるので、肉屋、八百屋、スーパー全ての店で価格高を引き起こし、以前に比べて3割くらい値上がりしています。お気に入りの雑貨屋、セレクトショップ、食材店など、小売店が続々と店じまいしていくのは本当に悲しいことです。

 スニオン岬までのドライブにしても自宅から約70km、往復140km。10kmにつき、約2ユーロだから、約30ユーロもガス代がかかるということ!アテネ市内ではクルマ通勤をやめる人が多く出ています。でも7月からガソリンは更にアップします。なんと税率23%になるのです。

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 政府の財政赤字は慢性化していたとはいえ、ギリシャのGDP成長率では2000年ごろから今に至るまで、ドイツよりも伸びを見せていたくらい。だから国民にも、突然の政府の財政破綻寸前発言は、寝耳に水だったわけですが、ここにきて緊縮策によるリストラがすごくなってきたようです。市役所からは派遣社員などが一気に解雇され、ビザの申請などもすごく遅くなっていると聞きます。幸い、私の周りにリストラされた人はいませんが、大学や大学院を卒業した優秀な人が職を見つけられないケースはたくさんあります。現在、失業している人は605000人。失業率は前回の調査の9.1%から12.1%に一気に跳ね上がりました。今後はもっと悪化していくかもしれません。 

 青い海とポセイドン神殿の見える美しい光景はアテネの殺伐としたデモの風景とは別世界のよう。しかしデモに参加している人の中には、物価高に文句を言っているだけではすまない人も多くいるでしょう。ギリシャのデモはいつものこととはいえ、今までと勝手が違うのは、世界中から注目を集め、市場が反応すること。でもこの人たちは投資をしてあぶく銭を稼ぐ余裕もありません。収入が激減して家庭崩壊の危機にさらされているからです。

 ビジョンのない政府関係者や国の金を盗んだ政治家たちは「困ったなあ〜」と言いつつ、エーゲ海を臨む豪邸でワインでも飲んでいるのでしょうか。忽然と消えた巨額な政治資金の追求なしに、そのツケを払わされるのはごめんだと国民が叫ぶのは当たり前です。一番あおりを受けるのはいつも社会の底辺の人たち。デモに乗じて破壊活動をする暴力集団とは違い、ただ窮状を訴える人たちの中には明日の200、300ユーロの支払いができない人もいるだろうと思います。

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