マレシナ半島で過ごしたパスハ

公開日 : 2010年04月08日
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 ギリシャにおける最大の宗教行事、年の節目でもあるパスハ(復活祭、イースター)。同じキリスト教圏でも西方教会と東方教会で日付が異なり、毎年変動するのですが、ことし(4月4日)や来年(4月24日)は同じ日付。なんだかつい最近、去年のパスハの記事を書いた気がして、月日の経つのは早いなあと感じます。画像は部屋に飾ったイースターエッグ。他国では宗派によって色とりどりに染めたり、絵を描いたりしますが、ギリシャ正教では赤く染めるのが正統派。卵を染めて部屋に飾るとなんとなく春らしい気分が高まってきます。 

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 3月29日の月曜日からはキリストの受難週、聖なる1週間に入りました。普段、教会に行かない人々もこの週だけは教会へ何度か足を運びます。この日から学校は2週間ほど休みになり、暦上でも4月2日から5日は祝日で連休に。田舎に帰郷する人が多く、アテネ市内は渋滞や路上駐車が緩和します。

 この週の金曜日(ことしは4月2日)は聖大金曜日(メガリ・パラスケヴィ)と呼ばれ、十字架にかけられ亡くなったキリストがおろされ、棺に納められて埋葬された日。教会では朝からミサが行われ、キリストの棺を模した四角いテーブルのような形の枠に花をびっしりと飾って祈りを捧げます。これを「エピタフィオス」と呼び、夜になると更に多くの人が教会に集まり、エピタフィオスを担いで辺りを練り歩きます(下の画像)。ことしはマルーシに住む友人と食事をしたので、マルーシの教会のエピタフィオスを見学しました。宗教関係者はもちろん、マルーシの市長やその家族も参列していました。

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 キリストの復活は日曜日。土曜日の夜中、日付の替わる瞬間を目指し、キリストの復活を祝うため、皆、教会へと向かいます。ここ数年、パレオ・プシヒコのアギオス・ディミトゥリオス教会へ行っていますが、去年より人出が多かったような気がしました。日付が替わる15分前くらいに司祭たちが聖火を外へ運んできます。皆、手に持ったキャンドルに火を灯し、次々に隣の人から人へと移していきます(画像左下)。 皆のキャンドルに火が灯され、0時になったとたん、「フロニャ  ポラ!(おめでとう)」、「フリストス  アネスティ!(キリスト復活)」などと言いながら祝福し合います。このキャンドルにつけた火は消えないように家に持ち帰ります。花火も盛大に打ち上げられ、主に少年たちが張り切って爆竹をならし、宗教的で厳かな雰囲気から打って変わって、かなり賑やかな祝賀ムードとなります。

 帰宅するとマギリッツァというスープをいただきます(画像右下)。羊のレバーをアニソスという香草やお米などと一緒にコトコトと煮込み、アヴゴレモノ(卵とレモン)ソースで味付けをするこのスープ、私は大好きなのですが、好き嫌いがわかれる味。ことしはアニソスだけでなく、マラソスという香草も入れてみました。

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 さて夜遅く眠りにつき、朝、おきるといいお天気!ことしのパスハは中部ギリシャ地方、マレシナ半島のセオロゴスという村に別荘を持つお医者さんのご一家に招待を受けていました。山と海が近くてリゾートにもってこいの景勝地へ、アテネから片道約130kmのドライブ。広大な庭とプール付の素敵なおうちでした。庭の一角には木の上に可愛いログハウスが!お孫さんたちが隠れ家のように遊ぶために造られた、子どもしか入れないサイズの家!可愛らしくて夢があります(下の画像)。

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 炉で焼かれた子羊の丸焼き。羊の内臓を巻きつけて焼き上げるココレツィも一緒に焼かれています(画像左下)。ちょっとかわいそうなので、遠目のショット。なんていいつつ、ラム(ギリシャ語でアルニ)は本当に美味しいのでしっかり食べてしまうのに...勝手なものです。ココレツィは少し苦味のある味ですが、くせになる美味しさです(画像右下)。

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 焼きあがったラムの丸焼きをご主人、自ら解体してきてくれました(下の画像)。彼はオナシスクリニックに勤務しているお医者さん。オナシスクリニックは、20世紀最大の海運王アリストテレス・オナシスの遺産を継いだ息子アレクサンダーの名を掲げた財団によって建てられた病院。南欧において心臓疾患ではトップレベルの病院です。彼は有名な心臓外科医なのですが、ちっとも偉そうではなく、本当に優しくて気さくなドクター。できるだけゲストに楽しんでもらおうと走り回っていて申し訳ないくらい...。特に外国人の私にはいろいろ気を遣ってくれて、本当にギリシャ人のサービス精神には脱帽です。

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 他にも皆でバーベキューをしたズッキーニやキノコ、地元のホルタ(青菜)、ホリアティキサラータ(ギリシャ風サラダ)、メリジャノサラータ(なすのペースト状サラダ)やピッペリエス・フロリニス(赤ピーマンをローストして皮をむきオリーブオイルとビネガーなどで味付けた料理)、パスタとポテトのスフレなどなど。ギリシャの伝統的な野菜料理がたくさんで、野菜好きの私は食べまくりでした。この辺りのオーガニックの農家で生産された野菜なので、野菜の甘みと旨味がすごかったです。

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 左下の画像は玉ねぎの球根。百合根を思わせるようなちょっと不思議な味で美味しかったです。ホストはたくさんの料理を用意するためにてんてこまいだったと思うので、素晴らしいパスハのごちそうを堪能させていただき本当に感謝、感謝。

 いいお天気の中、野外で味わう食事は格別です。奥さんとお孫さんたちが嬉しそうに色づけした卵を運んできました。ひとりひとり卵を選んだら、お互いにぶつけあって、割れなかった方が勝ちというゲームをしたりします。家族や親戚が一同に集まって祝うパスハ。本当に温かい雰囲気に満ちていました。

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