オペレッタ観劇&夏の芸術祭プログラム

公開日 : 2009年04月07日
最終更新 :

 先週、ギリシア国立劇場(歌劇団)のオペレッタを観てきました。第一次世界大戦直後のアテネが舞台のオペレッタで、1921年に作曲家ニコス・ハズィアポストルによってかかれた歌劇です。以来、何度も上演されてきた人気の舞台で、1930 年に映画化、1950年にも再び映画化されています。貧しいけれど逞しくしたたかに日々を生き抜く主人公のコンスタンディノス(コスタス)を中心に、その仲間たちやフィアンセのティティカ、お金持ちの令嬢ヴェラなどが巻き起こすラブコメディーです。

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 メトロのパネピスティミオ駅近くのアクロポールシアターで上演されており(4月12日まで)タイトルは「イ アパヒデス トン アシノン」。直訳すると「アテネの貧しい人々」。大戦後はどこの国もそうですが、一部のお金持ちを除いて皆、貧しく下町の人々は助け合って生きていました。戦災孤児などストリートで生活する若者も多く、そんなストリートボーイズを束ねるコスタスは、身寄りもないけれど明るさを失わず、危ない橋を渡りながらもしたたかに生きる青年。頭の回転が速く、リッチな人々からうまくお金を巻き上げては貧しい仲間にも分け与えるリーダー的存在。皆に英雄扱いされ、プリンス(ギリシア語でプリンギパス)と呼ばれています。

 舞台は5月1日の花の日のシーンから始まり、人々はピクニックに出かけ花を摘んでリースをつくったりして楽しんでいます。上流階級の人々もピクニックにやってきてサイクリングやゴルフに興じています。その中心は美しく大金持ちの令嬢ヴェラとその父親。一家はパリに住んでいるのですが、たまたま婿探しにアテネに帰ってきたのです。機知に富むプリンスはヴェラと結婚したいお金持ちの青年たちにうまく取り入り、後日開催されるパーティでその青年がヴェラの父親を説得できるよう計らうことを約束します。しかし王子になりすましたコスタスはヴェラと恋に落ちてしまい、フィアンセのティティカにそれがバレて…という典型的なラブコメディーですが、わかりやすい内容なので、美しい歌声と舞踊を生演奏の音楽と共に楽しむことができました。

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 ギリシア色の濃いオペレッタなので、時代背景を踏まえた上での風俗考察としても面白いですし、冒頭シーンのピクニックの野原がパティシアだったことは驚きました。現在は比較的都心に近く、建物が密集している地域なので、当時はあの辺りが一面野原だったというのはつくづく都市の変遷を感じます。幕間には実写で当時のアテネの都心、パネピスティミウ通りの様子なども映し出されました。馬車や路面電車が走っている通りの様子も興味深かったです。

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★セアトロ アクロポール(イポクラトゥス9−11 TEL 210 3643 700)

 そういえば、もうそろそろ夏の芸術祭のプログラムが発表になる頃だなあと思い、調べてみたら発表されていました。以前にもご紹介しましたが、毎年、夏が来るとギリシアの音楽、演劇シーンは主に野外へと移ります。アテネのイロド・アティコス音楽堂やペロポネソス地方のエピダヴロス古代劇場などの遺跡の劇場を中心に、メガロ・ムシキスやリカヴィトス劇場など数々の会場で様々なジャンルの音楽、演劇、オペラ、ダンス、展示会など芸術全般のフェスティバルが開催されるのです。ギリシア国内の劇団だけでなく、国外からも一流のアーティスト、劇団、バレエ団、オーケストラなどがやってきます。

 イロド・アティコス音楽堂にはここ数年、足を運んでいて、オペラやジャズコンサートなどによく行っていましたが、ことしの演目はクラシック音楽が多いようです。ハイドンのコンサート(6月8日)やベートーヴェン、ベルリオーズのコンサート(6月29日)、バレエ「白鳥の湖」(7月6、7日)あたりでどれに行くか悩みそう…。エピダヴロス古代劇場はまだ行ったことがないので、ことしこそはと思っています。エピダヴロス古代劇場の演目で注目しているのはアイスキュロスの「ペルシア人」(7月31日、8月1日)、エウリピデスの「トロイアの女」(8月7、8日)、シェークスピアの「冬物語」(8月21、22日)などです。いずれも有名な演出家、舞台監督によるものです。まだ詳細は書いていないものもありますが、下記のサイトからチェックすることができます。ギリシアの美しい月夜、ぜひ遺跡の劇場にお出かけください。

★アテネ・エピダヴロスフェスティバル(英語サイトあり)      http://www.greekfestival.gr/   

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