アントワープとブリュッセルの間【メッヘレン】の魅力を探ろう

公開日 : 2022年04月10日
最終更新 :

こんにちは。アントワープ特派員のマユミです。
ベルギーの新型コロナウイルス状況は、感染率など微増減を繰り返しています。
今回はアントワープとブリュッセルの間に位置する【メッヘレン】を紹介します。小さな町ながら、ベルギーの良さがギュッと詰まっています。安全に旅できるようになったら、訪問ください。 

■市庁舎とグローテマルクト 

メッヘレンの街の中心は市庁舎のあるグローテマルクト。その市庁舎の中心となる部分は繊維産業で躍進を続けていた1370年に建てられました。美しい正面入り口の前に広がる広場がグローテマルクトです。市庁舎からグローテマルクトを挟んだ反対側には大きくそびえ立つ、聖ロンバウツの塔があり、どこにいても見ることができます。また、グロートマルクト周辺の建物は、16世紀のルネッサンスや、18世紀のロココを含む、さまざまなスタイルを楽しませてくれます。
毎週土曜日の朝はマーケットが開かれ、町は活気づきます。

Grote Markt
住所
Grote Markt, 2800 Mechelen

■ロンバウツ大聖堂と塔

メッヘレンのランドマークは、何を置いても聖ロンバウツ塔になるでしょう。その塔の足元には聖ロンバウツ大聖堂があります。
13世紀から約300年をかけて建設されたゴシック教会は重厚な輝きがありました。ベルギーを代表する画家、ヴァン・ダイクの「十字架のキリスト」の祭壇画があることでも知られています。
また、メッヘレンを訪れる多くの観光客が、ロンバウツ塔登りに挑戦していて、人気があります。高さ97m、約500段の階段は容易ではありませんが、塔の上から見る大パノラマは格別です。100〜150段ごとぐらいに、休める場所があります。各所展示があるので、塔建設やカリヨンの歴史も学べます。間近に見る、カリヨンの鐘はとても迫力があります。所要時間は1〜1時間半。

ST-ROMBOUTSKATHEDRAAL(ロンバウツ大聖堂)
住所
St Rumbolds Tower, Onder den Toren 12, 2800 Mechelen
営業時間
毎日 8:30-17:30
ST-ROMBOUTSTOREN(ロンバウツ塔)
営業時間
毎日 13-18(土曜のみ10時開始) *20分ごとに最大25名までが入場できます。最終入場時間17時、
休業日
1/1,12/25
入場料
8ユーロ

■カリヨン文化と王立カリヨン学校 

みなさんはカリヨンをご存じでしょうか?メッヘレンには世界で最初に創立された王立カリヨン学校があります。
カリヨンとは、教会の塔などについた調律された鐘を手動で演奏する楽器です。23個(2オクターブ)以上の鐘があるものをカリヨンと呼び、それ未満はチャイムと呼ばれます。
スタンダードのカリヨンは4オクターブあり、鐘の内部のハンマー(打つ部分)がワイヤーで木製の鍵盤部と接続されています。重い低音部は足鍵盤に接続されており両手両足を使って演奏します。
カリヨンの原型は1500年頃に開発され、オランダ・ベルギーを中心に発展し、1999年にベルギーにある32の鐘楼はユネスコ世界遺産に指定されました。2014年にはオランダ・ベルギーのカリヨン文化は、無形文化遺産としても登録されています。こうした歴史あるカリヨン文化を後世に継承し、奏者を育てているのが王立カリヨン学校です。
これまでのカリヨン文化を守るだけでなく、現在では活動範囲は広がっています。例えば、他の楽器とのコラボレーション、クラシックや西洋音楽だけにとらわれず様々なジャンルをカリヨンに取り入れるなど。そして、新たなカリヨンファンを増やしています。

王立カリヨン学校

カリヨンについて調べていく中で、メッヘレン在住のカリヨン奏者、ヴァンダーポールテン文子さんにご協力いただきました。ここでは、彼女へのインタビューをもとに、カリヨンや奏者についてお伝えします。
文子さんの出身は滋賀県。京都で現在の夫となる、ベルギー人で当時留学生だった彼と出会い、2年の交際ののち結婚。その後、彼の就職先であるベルギーに2007年に移住しました。
カリヨンの音を生活の中で聴くようになり、身近になったものの、カリヨンを始めたきっかけは、自発的なものではなかったそう。夫氏の絶大なすすめがあってのものでしたが、習い始めてからの文子さんはカリヨンの魅力や奥深さにはまっていきました。やがて、プロの奏者を目指すようになったそうです。
では、プロのカリヨン奏者への道のりは?
国や地域によって違いがあるそうで、文子さん(ベルギー)の場合をお教えいただきました。
初級3年(実技)、中級3年(実技+和声/編曲+鐘学)、上級3年(実技+和声/編曲/作曲+即興+鐘学)、最終学年の卒業試験には1時間のコンサートプログラム(自作曲の作品と課題曲を含む)の実技演奏と卒業論文の発表をし、合格と共にカリヨン奏者のディプロマが得られます。内容的にも時間的にも、全てオランダ語で理解する必要があることも、大変だったと思います。卒業後さらに学びたい卒業生のための特級(2年制)もあります。

最後に現在の活動と将来への展望をお聞きしました。
文子さんは2019年に卒業されましたが、現在も特級でレッスンを受けながら演奏技術向上に励んでいます。仕事としてはメッヘレンを中心に定期演奏会の代奏者としてフリーランスで演奏活動をされており、ベルギーやオランダ各地でカリヨンコンサートにも出演されています。
今後の展望としては、フランドル地域で活躍する実力のあるカリヨン奏者の先輩達に続けるよう、地道にこの地域での演奏実績を上げていきたい。そして、数少ない日本人奏者として日本でのカリヨン文化の周知広報の一端を担える事ができればと思っている・・・とのお話でした。
今回、文子さんには一緒にロンバウツ塔に登ってもらいました。プロのカリヨン奏者の解説付きだなんてとても贅沢。深くは知らなかったカリヨンにも俄然興味が湧きました。メッヘレンでは、町を歩いているとカリヨンの演奏が聞こえてくることがあります。ロンバウツ塔の上階にあるカリヨンは練習にも使われているのです。ただし、演奏できるのはプロもしくは上級クラスの奏者に限られるそう。
少し掘り下げた内容になりましたが、メッヘレン、またベルギーには他にも塔に登って鐘を見られる場所がいくつもあります。旅先として訪れた時、知っているとより楽しめると思い、紹介しました。

日本カリヨン演奏家協会

筆者

ベルギー特派員

マユミ・スティーブンス

ベルギー第2の都市アントワープに移住して4年目になりました。旅好きで、これまでに28カ国への滞在経験があります。

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