世界でも珍しい活版印刷博物館【Museum Plantin-Moretus】

公開日 : 2022年02月05日
最終更新 :

こんにちは。アントワープ特派員のマユミです。
ベルギーの新型コロナウイルス状況ですが、今週・来週がピークと予想されていた通り、感染率などの各数値の伸びが著しい。実際、身の回りにも感染者が増えています。
さて、今回は世界でも珍しい、活版印刷の博物館【Museum Plantin-Moretus】を紹介します。新型コロナウィルスが収束したら、訪問ください。今回の写真はすべて美術館内になるため、【Museum Plantin-Moretus】の承認を事前に得ています。

■Museum Plantin-Moretus(プランタン・モレトゥス博物館)

アントワープに数多くあるMuseumのなかで、個人的に1、2を争うぐらいに好きな【Museum Plantin-Moretus】。その理由は、やはり特徴が際立っていること。書籍や印刷物、特に活版印刷に興味がある方には、特におすすめです。
創業者のChristophe Plantin(クリストフ・プランタン)は1555年に印刷業を始め、1576年に現在のMuseumのあるVrijdagmarktに拠点を移します。ここは仕事場であり、住居でもありました。1605年にはここからヨーロッパ初の活版印刷の新聞が発行されました。1867年まで実際に使われていたこの場所は2005年、ユネスコの世界遺産に選ばれました。世界で初めに登録された博物館になります。一流貴族の家である、何世紀も前の印刷所。そして125年以上にわたるすばらしい博物館としての実績が評価されました。

Museum Plantin-Moretus
住所
Vrijdagmarkt 22, 2000 Antwerpen
電話
032211450
営業時間
10:00〜17:00
休業日
月曜日
入館料
€12

■Christophe Plantin(クリストフ・プランタン)

【Museum Plantin-Moretus】の原点となる印刷業の創業者。
1520年にフランスで生まれ、印刷と装丁の技術を学んだ。家族とともにアントワープに引越し、1555年に印刷出版の工房を作り、アントワープで1番の印刷工房になりました。1570年には20台前後のの活版印刷機を持ち、80名以上の職人がいる、ヨーロッパいち規模が大きい活字印刷所となり、やがて"王御用達の印刷業者"となって地位と名声を得ました。
16世紀後半には"世界中で最も重要な印刷と出版の商人"、"西洋文明の開拓者"とも評価されました。

■印刷物 

Plantin-Moretus印刷所の印刷物、当初は知識層の読む専門書が主でした。さらに当時から国際都市であったアントワープの地の利を活かし、多言語に対応した印刷物を手がけていきます。
しかし、最も大きな飛躍のきっかけは、中流階級向けの聖書の印刷でした。Christophe Plantinはベルギー王国を統治していたスペンイン王のフィリップス二世を説得しました。その結果、多言語の聖書作成のための投資契約を取りつけ、出版が可能になったのです。
当時は今世紀最大の活字印刷プロジェクトとも言われたそうです。
さらに地図やカレンダーも代表的な印刷物になります。

■ Christophe Plantinファミリーについて 

1576年にVrijdagmarktに移転した印刷所と家屋。Christophe Plantinの家族はそこで働き、9世代にわたって300年間暮らしました。その間に、彼らはそこを美しい貴族の家に拡張しました。
Christophe Plantinには5人の娘がおり、次女のMartine Plantinと結婚したのが、Jan Moretus(ヤン・モレトゥス)でした。
Christophe Plantinと義理の息子Jan Moretusは革命的なデュオでした。彼らは最初の工業規模の印刷業を発展させました。
Jan Moretusの跡を継いだBalthasarⅠMoretus(バルタザール・モレトゥスⅠ)はルーベンスと幼なじみでした。Balthasarがルーベンスに絵を依頼し、彼は"Jan Moretusの肖像"など、12点の絵を【Museum Plantin-Moretus】のために描きました。
最後の所有者である9世代目のEdward Moretus(エドワード・モレトゥス)は、1876年にアントワープ市に家を売却しました。

筆者

ベルギー特派員

マユミ・スティーブンス

ベルギー第2の都市アントワープに移住して4年目になりました。旅好きで、これまでに28カ国への滞在経験があります。

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