No.443パリのニュイ・ブランシュ、今年は4つの星座コース

公開日 : 2018年10月02日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

前稿では、パリの姉妹都市京都で開かれるニュイ・ブランシュについて紹介しましたが、次は、本家本元のパリのニュイ・ブランシュについて紹介したいと思います。

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Samuel Trenquier, Nuit Blanche, 2018 - Nuit Blanche 2018, Ville de Paris, © ADAGP

白夜という意味のニュイ・ブランシュ(Nuit blanche)は、10月の第一土曜から日曜にかけて、一晩中催されるアートイベントです。2002年から数えて、今年2018年で17回目の開催となります。具体的に何があるかというと、美術館やギャラリーといった文化施設の無料公開。またパリの街のそこここで、一晩中パフォーマンスや展示が繰り広げられるという、まさに街全体が会場となるイベントなのです。

今年は、10月6日(土)から翌7日にかけての夜がこの「白夜」にあたります。

4つのコースに分かれるパリの白夜祭

2018年度版の特徴は、コンステラシオン(Constellation=星座)と呼ばれる4コースに分かれていること。

サン・ルイ島を中心に星が散らばるように、多くの場所がニュイ・ブランシュ会場となっています。サン・ルイ島のあちこちに、彫刻や絵画などで成る作品"Un titanic, reprise"を展示するのは、エドガー・サラン(Edgar Sarin)とマテオ・レヴィーヨ(Mateo Revillo)

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Edgar Sarin et Mateo Revillo, Un titanic, reprise, 2018 © sarin - revillo

また、左岸にあるコレージュ・デ・ベルナルダン(Collège des Bernardins)でも物理学と宇宙論にヒントを得たアブデルカデル・ベンシャマ(Abdelkader Benchamma)の作品"Echo de la naissance des mondes"が20時~3時まで鑑賞可能ですし、同じ場所で、18人のトロンボーン奏者による即興演奏も行われます。これは、メリック・オアニアン(Melik Ohanian)が2017年リヨンで発表した自身のビジュアル作品"Borderland"の音楽での表現を試みるものです。

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Abdelkader Benchamman, Neither the sky nor the earth -Biennale de Sharjah 2017 © Galerie du jour agnès b. et Isabelle Van Den Eynde

左岸のアンヴァリッドを取り巻く星々の中で、天の川のように目を引くのは、STUDIO UYO77による光のリボン"Mon Super Kilomètre"です。

アンヴァリッドからアレクサンドルIII世橋を通ってシャンゼリゼまで、黄金のリボンが走ります。

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Studio UY077, Mon super kilomètre, 2018 © Agence Eva Albarran

またアンヴァリッドにある軍事美術館でもコンサートが19時から1時まで開かれたり、アンヴァリッドの地下では、光と音を使った展示を19時から翌朝7時まで鑑賞できます。

北方のヴィレット近辺にも光輝く星がいっぱい。まず、フィルハーモニー・ド・パリでは、19時から朝5時半まで、音楽のマラソンが5つも開かれます。プログラムに並ぶのは、ドビュッシーからマーラー、アメリカンポップと色とりどり。

また球形のジェオードの外を画面にして音と光の作品で魅せるのは、アーティストTremensS。19時から7時まで鑑賞できます。

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TremensS Wardenclyffe, simulation 3D © TremensS

パリ東部、ヴァンセンヌの森の入り口にあるポルト・ドレ。この界隈では、パリ動物園内の人工の岩山をスクリーンにして、光と音のパフォーマンスが計画されています。時間は20時~4時まで。

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Philippe Quesne - Le secret du rocher © Nanterre-Amandier

また、メトロとトラムの駅ポルト・ド・ヴァンセンヌでは、車両が熱帯植物に覆われるというユニークなトロピカル作品も楽しむことができます。

他にも挙げればきりがありませんが、パリのニュイ・ブランシュは、その名の通り朝まで光が消えることなく、白夜を楽しめるイベント。繰り返しますが、参加はすべて無料です。この日パリへ繰り出す人は徹夜覚悟でどうぞ!

ニュイ・ブランシュの交通網

なお、ニュイ・ブランシュ当日は、公共交通機関も協力を惜しみません。

«メトロ» 

パリ右岸を東西に走るメトロ1番線は、朝の2時までは普段通りの運行。2時15分から5時半までは、次の駅だけに停車する無料運行を行います:Chateau de Vincennes駅, Porte de Vincennes駅、Gare de Lyon駅、Saint-Paul駅、Hotel de Ville駅、Louvre Rivoli駅、Tuileries駅、Champs Elysees Clemenceau 駅、George V駅

«トラム»

3a線は、2時まで通常運行。2時15分~5時半は、Porte de Vincennes駅とPorte de Charenton駅間のみ運行で、無料です。

3b線は、2時まで通常運行。2時15分~5時半も、全線(Porte de Vincennes駅からPorte de la Chapelle駅間)無料運行。

«Noctilien»

Noctilien線も、0時半~5時半まで運行します。

ハッシュタグは#nuitblanche

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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