No.346アレシャンスキ展フランスではまだまだ続きます
No.339でも軽く触れましたが、先週の12/8までBUNKAMURAでは、Pierre ALECHINKSY(ピエール・アレシャンスキ)展を行っていました。
実は、このアレシャンスキ氏、同時にオランダとフランスでも展覧会を出していました。日本のものは終わってしまいましたが、フランスとオランダはまだ開催しています。オランダは1月まで、フランスのマティス美術館のものは、3月までとまだまだ続きますので、冬休みフランス北部を通る方は、ちょっと思い出してみてください。フランスの展覧会は、特に本の装幀にアクセントを置いたものですが、キャリアを振り返るにふさわしい各年代の作品も、かなりな数、展示されています。
ル・カトー・カンブレジのマティス美術館
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こちらの記事に詳しく書きましたが、アレシャンスキ氏は、若いころ日本へ書道を学びに行ったことがある人物です。前衛書道家たちと交わった経験が、その後の画風にも大きく影響していると、専門家は分析しています。
個人的に心惹かれた作品、Pierre, Alechinsky, A ciel ouvert (1990)
1955年の訪日の際、アレシャンスキが出会った書道家の中には、今も100歳を越えて現役である篠田桃紅がいました。ちなみに、篠田桃紅コレクションは、岐阜現代美術館で見ることができます。
アレシャンスキ氏の作品は絵だけでなく、陶器や、版画などさまざま。常にいろんな表現方法を試してきたアーティストなのだなぁ、と分かります。
Pierre Alechinsky, Après nous (1980)
先月アレシャンスキ氏にインタビューする機会を得ましたが、いろいろ話してくれた中で、画家の孤独について語った言葉が心に残りました。「画家っていうのは、四面を壁に囲まれてね、描くしかないんだよ」。それはそれは孤独だよ、という気持ちが込められているように思いました。
また、「頭の中には1955年の日本が残っているから、日本へはもう行きたくないんだ。日本だけじゃない、ブリュッセル(氏の出身地)にだって、もう行きたくないよ。まるっきり違う町になっているだろうからね」という言葉には、室生犀星の詩「ふるさとは遠きにありて思ふもの、そして悲しくうたふもの...」を思い出したりしました。
ピエール・アレシャンスキ氏
その一方で、こっそり「日本で、篠田(桃紅)さんに会ったときねぇ、実は、随分年寄りだなーって思ったんだよー。だって、僕は27だったからねぇ。40の女性なんて、ずいぶん年寄りだと思っていたんだよね」と茶目っ気たっぷりに話してくれたのには、笑ってしまいました。
Bunkamuraで放映されていたアレシャンスキのアトリエ風景のヴィデオには、2016年最新作の円型の作品「A Contrario」が写っていますが、これは、いまル・カトー・カンブレジのマティス美術館に展示されています。(ヴィデオのリンクはこちら)
Pierre Alechinsky, A Contrario, 2016
マティス美術館の公式サイトはこちらから。
会期は3月12日まで。
火曜は休館。また12/25, 1/1も閉館しています。
時間:10時-19時
週末(土・日・祝)のみ、パリ北駅からMaubeuge行きインターシティがあり、ル・カトー・カンブレジに停まるようですが、年末年始は変更もありえるので、駅で事前にお調べください。
車で行かれる場合は、無料駐車場が隣接しているので、そちらをご利用ください。
(冠ゆき)
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筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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