ドイツ四季便り第27号:秋の楽しみフェダーヴァイサーを求めてツェルへ!
もうすっかり秋も深まりフェダーヴァイサー(Federweißer)の時期は過ぎてしまいましたが、10月の第1日曜日にフェダーヴァイサーを飲みにふらりと出かけたモーゼル川沿いの町、ツェル(Zell)についてレポートします。
川とワインの関係は深く、モーゼル川(Mosel)もワインの産地として有名です。 個人的に、モーゼルワイン(Moselwein)の辛口リースリングが美味で好みです。
ツェルのワイン造りの歴史は古く、ケルト系住民の間で紀元前500年頃からワインが造られていたと言うのですから驚きですネ。 その後ローマの領土となってワインの需要が急激に増え、ワイン造りが盛んになっていった様です。
その様子を伝えるお洒落な壁画をツェルの町の中心に見つけました。 最高にフォトジェニック!
今回一緒に同行した友人の小2の娘ちゃん、ドイツの民族衣装ディアンドルを着てきてくれたのですが、この前に立ってもらったら、あまりにもキュートで思わず連写しちゃいました。
中心地は小さな町なのですぐに周れてしまうのですが、こんなステキな壁画があったり、町の至る所がブドウの木で飾られていたり、ステキな雰囲気を醸し出しているワイン屋さんがあったりとぶらり町歩きがとても楽しいステキな町でした。
町の建物の多くがブドウの木で覆われています。 町全体がワイン畑のイメージです。 背後には、斜面一面にブドウの木が整然と美しく植えられたブドウ畑が見えます。
雰囲気のあるワインバーを梯子してゆっくり飲んだり、試飲しながらお気に入りのワイン探しをしたりするには、やはりお泊りで来ないと... 「今度は、ゆっくりとワインを楽しみにお泊りで来てみたいなぁ~」
実は、このツェルですが、モーゼルワインの中でも黒猫ラベルのワインで有名な町なのです。 町にある噴水にも、樽の上に乗って毛を逆立てて威嚇する(黒)猫の像が...
町の至る所にこの町のシンボル、樽に乗った黒猫を見つけることができます。
ツェラー・シュヴァルツェ・カッツ( Zeller Schwarze Kat)と呼ばれるツェルのブランドワインの意味はツェル(村)の黒猫。
このブランド名ですが、ツェルの町に伝わる歴史に由来します。
1863年アーヘンの商人3名がモーゼルワインを買い付けにツェルにやって来ます。 様々なヴィンテージのワインを試飲し、3つの樽にまで候補が絞られますが、どうしてもこの3つの中から1つを決めることができません。
硬直状態を打破するため、醸造主が食事を申し出ます。 醸造主の奥さんが食事をケラーに運び込む際、家の黒猫が一緒にケラーへ忍び込みます。
美味しい食事を終えた商人たちが、再び候補に選ばれた3つのワイン樽の前に立つと、この黒猫が、1つの樽の上に乗って、毛を逆立てて威嚇しているのが目に飛び込んできました。
「これは、一番美味しいワインに違いない!」と即決、その樽を買って行き、しばらくすると、黒猫伝説がとても評判だと言ってまたワインをたくさん買いつけに再訪したということです。
そこから、ツェルの黒猫ラベルのブランドが始まったということです。 ステキなエピソードですね。
ツェルの人たちがどれほど黒猫伝説を愛しているからは、町を歩いていると伝わってきます。 どこもかしこも樽に乗った黒猫で溢れていますから。
さぁこ肝心の目的、フェダーヴァイサーを紹介します。 ツェルのフェダーヴァイサー祭りと聞いて訪れたのですが、町の中心地にちょっとしたスタンドとテーブルに生演奏のステージがあっただけで、とてもこじんまりとしていました。 お決まりの玉ねぎケーキ、ツヴィーベルクーヘン(Zweibelkuchen)と共に乾杯です。
お目当てのフェダーヴァイサー、さすがはワインの産地だけあってフレッシュでした。 あまりにフレッシュすぎて、発行途中間が半端なく、少々飲みにくい感も。 まっそのくらい旬のフレッシュなものということですね。
このスタンドのグラスにも、樽の上に立つ黒猫と裏にはZellの名前が...
当然、デポジット(Pfand)分を返却せず、この可愛いグラスは記念にお持ち帰りしました。
日曜日にふらりと出かけたツェルの町、美味しいモーゼルワインも3本お持ち帰りして気分も上々!
天気が良ければ、モーゼル川ももっと奇麗だったに違いありません。
ネコ好き、ワイン好きの方におススメしたいツェルの町です。
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