ミシュラン二ツ星、Fernando Arellanoシェフ来星!
地中海に浮かぶ美しい島、スペイン領マヨルカ島。その、ミシュラン2ツ星レストラン、Zaranda RestaurantのFernando Arellanoシェフがシンガポールにやって来ました!11月8日、9日と2日間に渡って7皿の特別なディナーメニューコースを提供するということで、一足早く、ランチタイムのメディアイベントにお邪魔して来ました。
(Fernandoシェフ(写真左)と、Esquina の Carlos シェフ)
Fernandoシェフはバルセロナの出身ですが、マヨルカ島にリゾートホテルをオープンするという現在のオーナーに誘われて、2010年にZaranda Restaurantをオープン。以来7年間、島の豊かな自然の中で料理をして来ました。
マヨルカ島は、真珠の養殖でも有名。そんな島の文化へのオマージュとして作り上げたのがこの一皿。
"Majorica" Oyster
牡蠣の上には小さな黒真珠のような球体、イソマルトの殻の中に、牡蠣のエッセンスが詰まっています。その横にはその黒真珠を小型にしたような、Kaviariのイタリア産オシェトラキャビアが。
スライスしたビーツをコロネ状に丸めた中には、ビーツのピクルスのピュレが入っています。
牡蠣の塩分はノルマンディのものほど濃くありませんが、海水のにがりのようにも感じるミネラルたっぷりの旨味がはっきり残り、食べた後もとても余韻が長いのが印象的でした。
Marinated Black Angus Beef Dumpling
続いては、生のアンガス牛を塩漬けにして、生ハムのように軽くスモークをかけたもの。実はマヨルカ島では豚肉も名産で、よく使うそうですが、シンガポールにはムスリムがいることも配慮して、今回はメニューに加えなかったそう。
キャラメリゼした玉ねぎのクリームソースを塩漬け牛肉のスライスで巻いて、その上から、松の実を一粒、パルメザンチーズのスライス、パルメザンチーズたっぷりのホロホロのサブレを添えて、旨味のボリュームを上げたところにトリュフのジュース、香り高いトリュフバターで仕上げ。ルッコラが清涼感を加えています。
"All I Pebre"
元々は、ヴァレンシア地方の伝統料理で、通常は鰻で作るのですが、タコに置き換えて。カタルーニャ地方のニンニクとパプリカを使ったシチューをベースにしたフォームを使った上に、モザイクのようになったタコを飾っています。
以前いただいた「赦しの扉(Puerta del Perdon)」をモチーフにした料理を思い起こさせるこの
タコのモザイク、どんな風に作っているのか気になって元々は、ニンニクを炒めた鍋に水と丸ごとのタコを入れて40分ほど煮込み、まだ熱いうちにその足の部分をまとめて棒状に成形して冷ますと、タコそのもののゼラチンで自然に固まるのだとか。
タコを柔らかく仕上げる方法をお聞きすると、鍋で3/4火を通し、残りは余熱でゆっくり入れるようにするのがポイントとか。ちなみに、「家でやるんだったら、圧力鍋に入れて6分間圧力をかけるとちょうどいいよ!」とのことでした。
その煮汁に、足以外の残りの部分やジャガイモを刻んで入れ、再度温めて作ったタコのラグーを一番下に、その上にニンニクとパプリカのシチュー、そしてスライスしたモザイク状のタコの足と小さなタコの足をバーナーで炙って、香ばしい焦げを作ります。
元々は1つの鍋から作ったというだけあって、当然ながら料理全体としてのまとまりがよく、タコの出汁がしっかりと溶け込んだ味わいは、海の恵みを感じる一皿になっていました。
そして、個人的にFernandoシェフが一番気に入っている料理で、2011年からずっと作り続けているのが、こちら。
The Black Egg
黒い卵のように見える卵白の部分には、実は全く卵白は使われておらず、コウイカとホタテを各35%、コウイカの出汁30%で作ってあります。この生地に、卵黄とコウイカの足、内臓、パン、アーモンド、ニンニク、キャラメリゼした玉ねぎ、サルタナレーズンなどで作ったラグーをラップで包み、62度で12分間茹で上げたもの。タピオカはコウイカのイカスミと内臓で作った出汁で煮込んであります。
その下には、白玉ねぎにオリーブオイルと塩をほんの少し加えただけのとても甘みのあるピュレ。
黒い卵白の部分は、西洋風の柔らかい真薯のよう。そこに、濃厚な卵黄と海の香りが凝縮したラグー、そして同じく、コウイカの出汁をたっぷりと吸い込んだタピオカ。たくさんの要素があっても、バラバラの印象にならないのは、同じ食材や出汁で統一感を出しているからのように感じました。ちなみに、玉ねぎとイカ、玉ねぎと卵黄はクラッシックな組み合わせなのだそう。
ワインのペアリングもいくつかいただきました。
次の的鯛の人さらに合わせてサーブされたのは、
Godello, Les 3 Amis Audacia, Valdeorras, 2013
スペイン・ガリシア地方のGodelloという種類のブドウを使った白ワイン。
樽は使っておらず、ミネラル感とフレッシュな印象があり、とてもドライでクリーンな印象。ソーヴィニョンブランに近い感じがしました。
Atlantic John Dory
Fernandoシェフが強火のフライパンで焼き、火からおろして焼き上がりにオリーブオイルをかけて仕上げた大西洋産の的鯛は、半生でなく、ごくごくわずかに水分を残してかなりしっかり火が入っていて、火は通っているけれどパサつかず、筋肉質のプリプリした身質が活きていました。
カタルーニャ地方の伝統的なソース、ロメスコソースは、トマトとニンニクをオーブンで焼き上げて、パプリカやヘーゼルナッツ、酢を加えてブレンダーにかけたもの。以前食べたことがあるものよりも、しっかりと酸味が効いていたのが印象的でしたが、しっかりと量のある的鯛と合わせているので、これ位の酸味がちょうどよかったです。
Lamb "Mandala"
メインディッシュはシグネチャーの子羊。
肩肉の部分を、一度しっかりと蒸し煮にしてから、182度のオーブンで、何度も表面に肉汁をかけながら焼き上げ、内側のゼラチン質の質感を保ちつつ、表面をカリッと仕上げてあります。
サイドは曼荼羅をイメージした、パプリカのローストと酢に、クミンなどのアラビアのスパイスを入れたソース。
その中央には、子羊と相性の良い、甘めのナスのゼリーの球体が置かれています。ヨーグルトのソースのドットの上には、ミントの葉とざくろの粒が飾られています。
デザートには、10年もののポルトワインのペアリング。
10Y White Port, Quinta do Portal, Portugal
完熟したぶどうの香り、チョコレートやバニラのような味わい、
Seasons Of The Almond
デザートは、マヨルカ島特産のアーモンドとその四季を表現したもの。左から、春夏秋冬を表しています。緑色の柔らかい果肉のついた春のアーモンドの実は、チョコレートで表現。中には、アーモンドと水、砂糖だけで作ったパンナコッタに、ミルクで柔らかく煮た小さなアーモンドが入っています。その隣の夏は、やや大きめのミルクで煮たアーモンド。そして、秋にはアーモンドプラリネフィリング入りのミルクチョコレートで表現。冬になるとアーモンドの殻は堅くなり、収穫してお菓子になる、アーモンドそのものを表現した飴がけのアーモンド。そして、横にはアーモンドの花の代わりにジャスミンの花が添えられています。その下はアーモンドの粉、卵と砂糖という、伝統的なアーモンドケーキ、gato。
海のそばが好きだというFernandoシェフ、リゾート地のマヨルカ島では、11月〜2月は店を閉めて、世界中を旅して回っているのだとか。今回は持ってくることはできなかったけれども、マヨルカ島の魅力は海産物。「カンパチやアマダイ、的鯛、カサゴ...名前を挙げるとキリがないよ」とFernandoシェフ。
料理のみの料金は$148。Fernandoシェフの料理は、現代的なプレゼンテーションと、ストーリー性で地元の良さを表現しつつも、味そのものは、シンプルに素材の味を引き出すことで旨みを作り上げるスタイル。スペインの食材の良さを知っているからこそできる引き算の贅沢だと感じました。
スペイン二ツ星の味、ぜひこの機会に味わってみてくださいね!
<DATA>
■Esquina Takeover With Fernando Arellano
日時:2017年11月8日、9日、18:00〜、20:30〜の二回転制
■Esquina
営業時間:ランチ 12:00~14:30 (平日のみ)、ディナー 18:00~22:30 (日曜休)
住所:16 Jiak Chuan Rd, Singapore 089267
TEL:+65 6222 1616
URL: http://esquina.com.sg/
アクセス:MRTアウトラムパーク駅から徒歩9分程
筆者
シンガポール特派員
仲山今日子
趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。
【記載内容について】
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