台湾初の国際フードイベント[International Chefs Summit Asia 2017] Part 2
番外編:台湾に世界のアジアのシェフが集合、International Chefs Summit Asiaには、日本、シンガポール、タイ、フィリピンなどから10人のシェフが集まり、9月19日〜22日の期間中、6つのコラボレーションイベントが行われました。私はその中から3つのイベントにお邪魔しました。
コラボレーションは、前半はThe Landis Taipei Hotel、後半はMandarin Oriental Taipei Hotelと2箇所に分かれて行われました。
3日目の9月21日には、各国からのシェフが全員集合する日。
ステージでは、シンガポールからはJAANのKirk Westawayシェフ、タイからはLe Du のThitid Tassankajohnシェフ、The Dining Room at The House on SathornからはFatih Tutakシェフ、地元台湾からは、MUMEの Richie Lin, Long Xiong, Kai Wardの3人のシェフが、SHOUN RYUGIN からは稗田良平シェフがシグネチャーメニューを披露しました。
2番目のコラボとしてお邪魔したのは、会場をMandarin Orientalのイタリアンレストラン、Bencottoに変えて。9月22日のランチタイムに行われた、ドイツ出身の双子のシェフ、Thomas Suhring とMathias Suhringのレストランで、アジアのベストレストラン13位のSuhringと、同じくアジアのベストレストランで14位、世界のベストレストランでも99位にランクインした、東京の川手寛康シェフ率いるFlorilegeのコラボレーション。(メニューはSがSuhring、FがFlorilege、MはMandarin Oriental Taipei)
コラボレーションに先立って、提供されたカトラリーの中には木のお箸。割り箸ではなく、SuhringとFlorilegeの刻印がしてあり、思わずお土産に持って帰りたくなるようなパッケージに入っています。白木の心地よい使い心地を感じながらも、リユースが考えられています。最後にお箸を拭って持って帰ってください、という意味で、小さなおしぼりも添えられていました。
まずは一品目
Oyster, Caviar of Caviar House & Prunier, Shiso (F)
フランス産のキャビアに、サワークリームという安定感のある組み合わせに、牡蠣と酸味の効いた赤紫蘇のゼリーを合わせて新しく。サワークリームがこの次のSuhringのモダンジャーマンキュイジーヌへの橋渡しになりそうなスタートです。
Frankfurter Grune Sobe, Smoked eel (S)
2週間前にバンコクでいただいたのと同じメニューでしたが、サイドに添えられたスモーク鰻のプレゼンテーションに変化が。前回はスモークした鰻がそのままお皿に乗っていたのですが、今回はふんわりしたムースの上に乗っています。
フランクフルト風の、ディルやナスターチウムを使った緑のソースのムースの下には、スモーキーなハムの入ったポテトサラダ。クルトン、バーネットなどをたっぷり盛り付けて。スモークしたうなぎの下には、ミルクとアニスワイン、フェンネルのムース。
Baked sardines, Raisins, Pinenuts, Orange, Fennel salad (M)
ホテルの厨房から提供されたのは、オーブンで焼いたイワシに、オリーブと松の実、レーズンのクランブルを添えて。フェンネルの根の下には、相性のいいオレンジの実を忍ばせて。
Ayu, Shitake (F)
カリッと香ばしく焼いた鮎は、カリカリの頭も身も、全部食べられるようになっています。この時期ならではの、卵を持った子持ち鮎。サイドにはバターで焼いた椎茸、その下には柔らかな茶碗蒸しに、百合根のもっちりとしたピュレ。茶碗蒸しの上にかけられた椎茸の出汁が、どうしても口の水分を奪われる焼いた鮎の特性を補い、茶碗蒸しがカリッとした鮎の食感と滑らかな対比に。鮎のレバーのソースが、ちょうどカスタードプリンとカラメルのような感じで、あっさりとした茶碗蒸しにコクとほのかな苦味を加えています。川手シェフは来年夏をめどに台湾へ2号店の出店を考えているそうです。椎茸の出汁は台湾でよく口にしたのですが、このやや甘めの椎茸の出汁は、台湾の人たちも大好きじゃないかな、と思いました。
"Spatzle", Allgauer mountain cheese, Black winter truffle (S)
ドイツのパスタは、前回いただいた時よりも少し控えめなポーションで、ソースが多め。ドイツ南部のAllgau地方の山のチーズAllgauer Bergkaseを使ったクリーミーでコクのあるソースに、たっぷりのウィンタートリュフをかけて。
イタリアのパスタと違い、柔らかくてふわふわした食感の麺は、卵が多めのゆるい生地なので、打って伸ばして切るのではなく、刀削麺のように鍋の上で削って作っているのだとか。
Beef jerky (F)
牛肉のお茶漬けのような印象のこちらは、炊いたご飯に味噌を塗っておこげを作り、その上からやや甘めの牛のコンソメ、ぬめりのあるツルムラサキや酸味のあるバーネットを乗せて。フロリレージュといえば、経産牛を使っていることで知られています。以前東京でお邪魔した時には火を通すと硬くなるということで、生ハムのように塩漬けにしたものをいただきました。今回は、牛肉のスライスは、塩につけたものではなく、コンソメで火を入れる形で半生で。
Hungarian duck breast & liver, Onion, Sweet Potato, Citrus (S)
こちらも、前回と同じメニューなものの、リースリングワインに1週間浸けたというレバーのピュレを別添えして、焼いた身につけながらいただきます。
ピュレにはバターが練りこんであるのか、軽い口溶け。ワインがすすむ味です。そして、1週間ドライエイジングしたというハンガリー産の鴨は、前回より皮目がカリッと仕上がっていて、心地よい焼き加減に仕上がっていました。
Pinapple Paradise (M)
台湾で愛されているパイナップルをドライやソルベに仕立て、サブレの下にはクリームとともにコンフィにしたパイナップルが入っています。
コラボ終了後に、川手シェフが来年夏をめどに台北に新しくオープンする予定、というレストランについて少しお話させていただきました。
台湾の大手企業の傘下に入ったFlorilege2号店という形ではなく、自らオーナーという形で、リスクをとってやっていくということ。「店名も、地元の人に愛してもらえる中国的な名前にする、もっとシンプルに、台湾の食材の魅力をまっすぐに出した攻めた料理を作っていく、凛とした日本の良さを、料理で表現していきたい」とのことでした。そして、もう1つこだわるのは温度感。熱々の美味しさ、というのも、料理の魅力の1つ、ということでした。肉の火入れについての本も出している川手シェフ、新しいお店がどんな形になるのか、とても楽しみです!
<DATA>
■International Chefs Summit Asia 2017
Hiroyasu Kawate (Florilege) x Thomas and Mathias Suhring (Suhring)
イベント日時:2017年9月22日(金)12:15〜(終了)
■Bencotto (Mandarin Oriental Taipei)
営業時間:ランチ 12:00〜14:30、ディナー 17:30〜22:00 (無休)
住所:158 Dunhua North Road, Taipei 10548, Taiwan
TEL:+886 2 2715 6868
筆者
シンガポール特派員
仲山今日子
趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。
【記載内容について】
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