台湾初の国際フードイベント[International Chefs Summit Asia 2017] Part 1

公開日 : 2017年10月20日
最終更新 :

番外編:台湾に世界のアジアのシェフが集合、International Chefs Summit Asiaには、日本、シンガポール、タイ、フィリピンなどから10人のシェフが集まり、9月19日〜22日の期間中、6つのコラボレーションイベントが行われました。私はその中から3つのイベントにお邪魔しました。

コラボレーションは、前半はThe Landis Taipei Hotel、後半はMandarin Oriental Taipei Hotelと2箇所に分かれて行われました。

お邪魔した最初のイベントは、2016年のアジアのベスト女性シェフに選ばれた、フィリピンのMargarita Fores シェフを招き、The Landis Taipei Hotel内のレストラン、Paris 1930のClement Pellerinシェフとのコラボレーションという形で行われました。

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(メニューはCがClement Pellerinシェフ(写真左)、MがMargarita Foresシェフ(写真右))。

Cocoa&Co (C)

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まずは、台湾南部で獲れるカカオ豆を割って、その上に軽いココナッツのムースに包まれたチョコレート。カカオ豆を発酵させて作ったアルコールと共に。

Caviar Black on White (C)

同じく、ココナッツのフォームの上に、ランプフィッシュのキャビアが乗っています。

Tofu Mille feuille (C)

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そして、スターアニスなどの中華スパイスのグレーズを塗ってカリカリに焼き上げた湯葉でミルフィーユ仕立てにし、味噌のソルベと豆乳と生姜のフォームを添えたという面白い一皿。

Dry Sinigang of Mackerel in Miso Batwan (M)

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どこか日本の鯖の味噌煮を思わせる味。実は、2年前に天皇陛下がフィリピンを訪れた際に召し上がったメニューなのだとか。フライパンで焼き上げたアジに、現地のスープ、シニガンをイメージした日本の味噌を加えたスープ、ミニトマトとフィリピンの酸味のある果物、Batwanを加えてアクセントに。スープに酸味を加えるのがシニガンらしいアレンジ。ちなみに、フィリピンにも味噌があり、このようにスープに加えるそうですが、こちらは日本の味噌を使っています。味噌と酸味の組み合わせは意外でしたが、さっぱりといただけました。上にはツルムラサキの花芽と、現地では薬草として使われているという、Pancit-pancitanという胡椒の仲間の芽を使って。ほのかに酸味があり、パセリの葉のような独特の香りが印象的でした。Margaritaシェフが、実は自宅の裏庭から取って来て、台湾まで持って来たものだとか。

Bamboo, Foie gras, Pecan Nuts, Lavender (C)

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フォワグラに、台湾のタケノコの漬物、ピーカンナッツとラベンダーを合わせて。タケノコを乳酸発酵させた独特の香りは、豆腐ようなどにも通じるものがありますが、フォワグラのコクのある滑らかな口当たりを豆腐に見立てて、そんな風にアレンジしたのかな、と感じました。

Water Spinach Crab Ravioli, Calamansi Cream and Crab Fat (M)

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淡水の沼にいるとても小さなカニ、talangka を使ったラビオリ。イタリア料理を学んでいたMargaritaシェフは、ヴェニスでシーフードラビオリを食べて、いつか自国の食材でオリジナルのラビオリを作ってみたい、と思っていたそう。ラビオリの中にはフラワークラブの身、下にはカラマンシークリームのソース、上にはこのtalangkaを潰して混ぜたトマトソースがかかっています。

Burnt Coconut, Scallop, Panang Curry, Tapioca, Pandan (C)

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こちらは、帆立貝の表面だけを炙って半生に火入れをし、タピオカとパンダンリーフのソース、ココナッツミルクカレーのソースを添えて。何よりも面白かったのが、ココナッツの器の内側に、薄くココナッツミルクのゼリーがまとわせてあったこと。

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ココナッツを割ると、その内側の果肉を食べるものだけれど、結構取りづらかったりするもの。その代わりにゼリーの層を作っておく、というのが新しい印象。

Balsamico Lamb Shank Adobo, Cambozola and Atchara (M)

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ここまでのポーションは普通だったのですが、とっても大きな子羊のアドボ。酢などに漬け込み、柔らかく煮た肉。カラマンシーやグアバ、batwan、センダンの仲間の果物、santolを加えて煮てあり、とてもフルーティーな味わい。黒胡椒の辛味が甘みとの良いバランスになっています。最近はグルテンフリーの料理も色々と考案しているということで、フィリピン産の大麦のリゾットを添えて。この大麦は、ヘルシーな食材としてフィリピンでも注目されているのだとか。食物繊維が多い大麦は、肉との食べ合わせも良いもの。

Black Queen Whisky, Fermentation, Aging, Tasting (C)

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最後のデザートは、台湾中部で作られているウィスキー、Omar Single Malt Whisky Cask Strengthを使ったもの。ブラック・クイーングレープワインの樽で熟成されたというウィスキーです。このウィスキーにオークのチップを漬け込み、さらに香りを移していただきます。

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ウィスキーのクリームの入ったキャラメルメレンゲタルト、サイドにはウィスキーの製造工程と同じく、ライ麦を発酵させたアイスクリームにスペルト小麦のパフを添えて。

イタリアでの修業を終えて、1986年にフィリピンに帰って来たというMargaritaシェフ。最初はケータリングを行なっていたそうですが、1997年に自身のイタリアンレストラン、Ciboをオープン。エストラダ大統領の娘の結婚式の料理を任されるなど、フィリピンを代表する女性シェフとして活躍しています。フィリピンで、独自の食材や食文化が注目されるようになって来たのは、8年ほど前からだそう。そして今は「世の中が伝統的な手法に回帰しようとしている今、古典的な手法しかない、と考えられて来たフィリピン料理はむしろ最先端と言える」、と考えているのだとか。今は、フィリピン各地にある薬草などの食材を研究している最中だとか。「まだ様々な地域があって、私たちフィリピン人でも知らないことがたくさんあるの。勉強することがたくさんあるわ」と笑います。

台湾の南の端はフィリピンに接しているため、文化的な共通点もあるという両国のコラボレーション、今回会場になった台湾だけでなく、フィリピンも、最近観光やガストロノミーにも力を入れているエリア。どんな形になっていくのか、これからが楽しみです。

<DATA>

■International Chefs Summit Asia 2017

Margarita Fores (GRACE PARK) x Clement Pellerin (Paris 1930)

イベント日時:2017年9月19日(火)18:00〜(終了)

■Paris 1930 (The Landis Taipei Hotel)

営業時間:ランチ 12:00〜14:30(週末のみ)、ディナー 17:30〜22:00 (火曜〜日曜)、月曜休

住所:41, Sec.2, Min-Chuan East Road, Taipei 104, Taiwan

TEL:+886 -2 2597-1234

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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