番外編:ミシュランが今年上陸、バンコク食ツアー、Gaggan

公開日 : 2017年09月17日
最終更新 :

Asia's 50 Best Restaurant で3年連続1位に輝いたGaggan Anandシェフによる、プログレッシブインド料理、Gaggan。

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以前シンガポールでのコラボレーションでお邪魔したものの、本店にお邪魔するのは初めてです。

2階はラボと呼ばれる10席ほどのシェフズテーブル。その他はテーブル席になっています。

大通りから細い路地を抜けると現れる、郊外の美しい一軒家。

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私はラボにお邪魔しました。コの字型のカウンターで、キッチンを取り囲むように座ります。

現在は18時の回と21時の回と、2回転式になっています。お任せコースのみ、5000THB(約1万5000円ほど)。

ここからが、26皿の "Emoji" 絵文字コースのスタート。☆以下はメニューにある絵文字です。

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☆スイカ

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ピンク色の岩塩に乗ったのは、スイカ。

牡蠣を模したという、イソマルトにココアバター、グルコースを混ぜたという、カリカリの殻。海塩のゼリーに、エルダーフラワーのキャビア、スイカのグラニテが乗っています。

☆爆弾

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続いては、チャートマサラ・エクスプロージョン。

ミントやクミン、ブラックペッパーなどが加わったヨーグルトをアルギン酸ナトリウムで固めたもの。一口口に入れると、まるで甘くないラッシーを飲んだ時のような感覚です。

☆舌

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そして、ロックバンド、KISSのLick it upという曲とともに、提供されたのがこちら。キッチンスタッフがスマホで曲の名前と写真を見せてくれます。

曲のタイトルは、生姜やコリアンダーを使ったグリーンマサラピュレ、手前はマッシュルームの旨味の効いたピュレです。

カトラリーは提供されず、実際に皿を舐めて食べる!という驚きの食べ方。子どもが美味しいものを食べる時のように、あるいはカトラリーが使われる前の原始の時代のように、料理を味わってほしいという意図があるように感じました。

☆海老

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フリーズドライにした甘エビの殻に、ほんのり甘いチュイルをまとわせて、トムヤムクンの冷たいクリームを詰めたもの。

☆花

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ターメリックとグリーンカルダモンのクランブルの上に、花の形のインドのスナック。生地はココナッツミルクとココナッツシュガー、小麦粉で水分の多い生地を作り、型につけて揚げたもの。立方体の滑らかでクリーミーなものは、実はヤギの脳みそのカレー煮込みに、ビートルートの粉をまぶしたもの。

☆茄子

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エッグプラントを焼いてモルトデキストリン、と一緒にフリーズドライにし、クッキーの形にしたもの。玉ねぎのチャツネが間に挟まれていて、ふんわりとした落雁のような食感。

☆唐辛子

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ホワイトチョコレートでコーティングされたボールの中身は、マスタードシードの効いた野菜カレー。じっくりとローストしたパプリカのような味わい、唐辛子の辛味は、本場インドで食べた野菜カレーそのもの。意外な組み合わせでしたが、ホワイトチョコレートの甘みと油分とのバランスが良くて驚きました。

☆ご飯

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インドの蒸しパン、イドリをイメージさせるふんわりとした生地は、米粉と炊いたお米のピュレ、卵をサイフォンに入れて作った生地を、電子レンジにかけて作ったスポンジ。口に入れるととろけるような柔らかな食感に、フリーズドライにしたカレーリーフが乗っています。

☆バナナ

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島バナナのような小型のバナナをむくと、中の半分は甘さ抜群のバナナ、残りの半分はチキンレバーのパテ。間には黒ごまのペーストが挟まっています。バナナとレバーを合わせるとフォワグラの味になる、と聞いたことがありましたが、まさにそんな組み合わせ。

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☆魚

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地元産のシーバス(スズキの一種)を細かくほぐして甘く煮たでんぶのようなフロスを、グラノーラバーをイメージしたバーに。レーズンやナッツを入れて固め、表面を焼き、むっちりとした食感に仕上げてあります。

☆カクテルグラス

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ディルの葉をフリーズドライにした粉で作ったチュイルをジントニックに漬け込んだきゅうり、ジントニックのゼリー、ホースラディッシュのアイスクリームと合わせたもの。今は時期的に北海道のムラサキウニで、キュウリもしっかりとジントニックがしみ込み苦味が効いていたので、前回いただいた時よりもすっきりと仕上がっていました。

☆寿司

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サクッとした米粉に日本の出汁を入れたメレンゲに香ばしいライスパフの粒を混ぜ込み、食感のアクセントに。炊いた米の重さを無くし、米の香りで寿司をイメージさせるという構成。北海道の本鮪の大トロは出汁醤油につけて、カボスの皮を散らしたもの。間には本わさびが入っています。

九州に進出予定のGaggan、日本に進出した際のプロトタイプがもうこんな感じで出てきているのかな?と思わせられました。

☆人参

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人参のワッフルは、人参ジュースにイソマルト、グルコースや砂糖を加え、55度のディハイドレーターで一晩乾燥させたもの。間にフォワグラのムース、甘みと酸味のバランスを取る、ゆずとマンゴーのジェルが入っています。

☆お茶

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棗に入っているのは、アスパラガスのパウダー。そこに、鉄瓶に入ったキュウリとセロリ、青リンゴの冷たいジュースを入れて、茶筅であわ立てます。

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抹茶をイメージしているけれど、抹茶ではない。この、日本の茶道というのが一つ、ファッションのようにかっこいいものとして海外の人の目には写っているのかもしれないと感じます。

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☆肉

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イベリコ豚の子豚を使ったVindalooというカレーを詰め込んだカツにしています。

感じたのは、Gagganはインドの味を表現したくてこの絵文字メニューを始めたのではないか、ということ。インドにはカレー一つとってもたくさんの種類があるし、全部が普通のカレーのコースにしてしまっては、ガストロノミーとしては成り立たない。広大なインドの料理を綺麗なプレゼンテーションの一口サイズに詰め込んで、全部食べてもらいたい、ということではないかと感じます。

☆ココット鍋

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北海道産のホタテを、昆布とごま油に漬け込んで、チリオイルとカレーリーフオイル、ココナッツミルクのアイスクリームを乗せたもの。

焙煎のあまりされていないごま油を使っているのか、ゴマはほんのり後味に香る程度。

これは南インドのゴアのカレーをイメージしているのかな?と感じた一皿。シーフード、ココナッツ、カレーリーフ、唐辛子。

☆ホットドッグ

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「インドのホットドッグ」と提供されたのは、ラムのシシカバブ。

スターアニス、唐辛子の効いたラム肉の自家製ソーセージを、マンゴーチャツネを乾燥させて作ったリーフで包んでいただきます。

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ゼリーのような食感の葉ですが、特にゼラチンなどを加えているわけではなく、マンゴーに含まれているペクチンでそのまま固めているよう。

☆鶏

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カリカリの鶏の皮に、カフィライムが香るグリーンカレーのムース、しめじにマッシュルームのパウダーをかけたもの。

☆炎

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突然ライトが消えたので、一瞬停電?と思ったら、炎の演出。キャンプファイヤー、誕生日のろうそくなど、炎にはワクワクさせる力があるもの。タイやインドでは、魚をバナナの葉で包んで蒸し焼きにする習慣があるそう。シーバスにGagganのお母さんのレシピのマスタードマサラを乗せて、蒸し焼きにしてから、杉の経木に包んで焼き上げます。前回の脂の乗った金目鯛より、脂や身質がスズキの方がこの料理にあっている気がしました。

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☆爆弾

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オープン当初からのメニューで、5年になるシグネチャー。灰のようなものは、焦がした生姜。

中は日替わりだそうですが、この日はシャキシャキしたレンコンともっちりとしたそのピュレ、フェネグリークなどのカレーに使われるスパイスを合わせたものでした。

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☆タコス

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サモサ、との説明が。カナダ産のロブスター、生のマンゴー、ココナッツの果肉、コリアンダーなどを、柔らかいドーサに包んでいただく。濃厚な野菜の旨味とあいまったマンゴーは、チャツネのイメージ。

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一つ前のホットドッグもしかり、エスニックフードというカテゴリーで捉えられがちなインド料理を、現代料理というスタイルにするためには、西洋料理や世界で一般的に知られる料理に置き換える文法で語る必要がある、そう考えている気がしました。

☆薔薇

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本の形の箱を開くと、薔薇が登場します。どこか、オノ・ヨーコの作品の「天井の絵」を思わせるような、本の中には美が隠れている、というような演出。常に、新しい扉を開くというのは、勇気とプラスアルファの努力が必要なもの。開いた扉の先には、美しい薔薇があってほしい、という願いにも、ジャンルを問わず、これから新しい扉を開いていこうとする挑戦者たちへのエールにも受け取れました。

トンカビーンズマシュマロ、パウダーでできた花びらは、トンカ豆独特のキャロブのような甘い香り。上にはビーツのパウダーが乗っています。下にはチョコレートとシュレッドココナッツの入った土台のサブレ。

☆シャンパン

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ミルキーな味わいのマスカットの香りのスノースキンの月餅の中に、レーズンのアイスクリームが入っています。

☆ミニヨン

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中は柚子とわさびのアイスクリームで、シャキシャキした霜柱のような印象。どこかインドのアイスクリーム、クルフィを思わせます。「味わいがあるから」と、日本のクリームを使っているそうです。

☆桃

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下の生地は、ghewarというインドの伝統菓子で、ミルクとギーで作ったゆるい生地を油に落として揚げていきます。上に、角切りの桃と、桃のゼリーを乗せ、さらに丸く切った桃のスライスを乗せて。

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ユニバーサルな料理。絵文字というのも、言葉を介さずにコミュニケーションが取れる手段。料理にも同じことが言えそう。そして、料理というのはもっと根本的な欲求につながっているものなのでは、ということを表現しているような気がしました。

ちなみに、バンコクは渋滞がひどいので、BTS Chit Lom駅までBTSで行って、Soi Lang Suanに入ってからタクシーに乗ることをお勧めします。私はChit Lom駅そばのCentral World Mallからわずか2キロほどの距離をタクシーに乗ったら、40分以上かかりました。また、タクシーのドライバーは場所を知らなかったり、地図でも英語だとわからないと言われることも多いので、あらかじめホテルなどでタイ語で住所を書いてもらったり、あるいはレストランなど目的地に電話して直接ドライバーと話してもらう方がスムーズです。

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営業時間:18:00~23:00、無休

住所:68/1 Soi Langsuan, Ploenchit Road, Lumpini, Bangkok 10330

電話:+66 2652 1700

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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