ミシュラン一ツ星を新たに獲得、Metaの夏のメニュー

公開日 : 2017年08月07日
最終更新 :

今年のミシュランで11月にアモイストリートにカジュアルラインのアラカルト中心の新店をオープン予定のMeta。

ヘッドシェフのSun Kimシェフは、和久田哲也シェフのTetsuya's(テツヤズ) で2年半、そしてWaku Ghin(ワクギン)のオープンの為にシンガポールにやってきて、2年間働いたという、キャリアの持ち主。和久田シェフから学んだ、「テクスチャー、バランスのとれたフレーバー、旨味」の三つを大切に料理をしていきたいと語ります。(詳しくは過去記事をご覧ください)

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ディナーコースは、5コースが98ドル、7コースが138ドル。80ドル〜ワインペアリングもあります。今回は、7皿のコースをいただきました。

まずはアミューズ。タピオカでできた、軽いクラッカーの上に、角切りにしたタコ、イクラとフィンガーライムで味わいと固さの違うプチプチした食感を。アイオリソースでイクラの油分を強調し、ワカメと昆布のパウダーで海の旨味をプラス。

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ごく薄い自家製フラットブレッドの上に、唐辛子を使わない自家製の白キムチとオーストラリア産の鮭、上から黒大根を針生姜くらいの細い千切りにしたものを乗せて。キムチのニンニクの旨味が、発酵で丸みを増したところに、鮭がよく合います。

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あたたかいオニオンタルトに、オーストラリア黒トリュフのスライスをかけて。

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最初フレンチで修業をしたというSunシェフらしい一皿です。

コースに9ドル追加で食べられるミルキーな味わいの大粒のアイリッシュオイスターは、日本の米酢に昆布を3日間浸して作った、和久田シェフ直伝の寿司酢がベースになっているそう。

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酸をしっかり利かせた味は、まさに和久田シェフの味のバランス、牡蠣の雑味のないクリーミーさをうまく引き立てています。以前お邪魔した時は、上にポメロが載っていましたが、今回はコチュジャンが。後味に辛味があり、食事のスタートを軽やかにしてくれます。

そして、個人的にとても気に入ったのが、コースのスタートの一品、Bonito。

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鹿児島県産の鰹に、サクサクした韓国産の生のプラムを、角切りにして、鰹出汁とゆずの果実味が効いた甘酸っぱいポン酢ドレッシングであえて、ミョウガをほんの少し。上には千切りの紫蘇と、エンダイブを少し。梅干しがそうであるように、紫蘇の葉と梅は合いますが、梅と似ていて、少し果実味と甘みのニュアンスが強く、生食に適したやや柔らかい食感のあるプラムに変更。

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鰹の出汁と生の鰹との相性は言うまでもなく、この日のメニューの中で特に気に入った一品でした。

続いては、ビートルートとブッラータの相性の良いコンビネーション、Beetroot。

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むっちりした食感のビートルートの「ステーキ」はジャスミン茶でスモークしてあり、食べた後に、ほんのりとジャスミンの香りが残ります。ザクロがしっかりとした粒の食感と生のフルーツならではのみずみずしさを与え、ピクルスにしたビートルートが程よい酸味を、そしてブッラータがふわっとした食感とクリーミーさを与えています。

Octopus。

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タコは、74度で6時間低温調理してから200度のオーブンでこんがりと焼き上げているということで、自家製のXO醤、みじん切りにしたニンニクで作ったフライドガーリックが横に添えられ、その上から紫のチコリ、ラディッキオが乗せられています。イカスミとエルサレムアーティーチョークに、ほんの少しだけバターとクリームを加えたピュレを添えて。

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ラディッキオがほんのり、キャラメリゼしたように甘いと思ったら、みりんと醤油、バターを塗って香ばしく焼き上げているから。母が経営する韓国料理店を子供の頃から手伝っていたというSunシェフ。コチジャンに代表されるように、韓国の味は、辛味と甘味、そして発酵が生み出すコクを生かした料理。そのバランスの取り方がとても上手だと感じます。海のエキスを凝縮したようなムール貝を添えて。

Grouper

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シンガポールで愛されているハタの仲間の高級魚、グルッパーはふんわりとした食感が引き出されています。皮付きのまま蒸してから皮を取り除き、黒きくらげやオイスターマッシュルーム、しいたけ、焦がしたえのき茸などを乗せ、受けあら昆布とわかめのパウダーをかけて。スープは、鰹と昆布の出汁にさらに干し椎茸の出汁を加え、醤油とみりん、さらに隠し味にはディルも入っています。ピリ辛なのは、柚子胡椒を入れているから。上には海水の味がする、日本産のアイスプラントを添えて。韓国にも日本の煮魚に近い料理があるそうですが、出汁のニュアンスと白身魚ならではの味わいが、どこか日本の魚の煮付けを思わせるバランス。

メインは二種類からのチョイス。

Pluma

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イベリコ豚の首肉 plumaは、洋梨やリンゴ、醤油、ニンニク、ごま油などで一晩マリネしてから、60度で1時間低温調理器で加熱し、サービスする前に備長炭で炙ってあります。韓国のバーベキューをイメージした甘辛の味。

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パースニップをバターで炒めてからクリームとあわせて作ったピュレが、肉に洋梨のような香りとほんのりとした甘みを加えています。

Pigeon

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フライパンの強火で焼き付けたフランス産の鳩は、モモ、胸、ささみの全部が楽しめる内容です。そして、サイドにあるピュレは、人参を西京味噌でくるみ、200度のオーブンで中に火を通し、外側を焦がしてから牛乳と少量のバターでピュレに、仕上げに日本の山椒を加えています。

Tropical Summer

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デザートは、マンゴーサルサとクランブル、パッションフルーツソルベに生のパッションフルーツ、そして、ほんの少しの砂糖を加えてホイップしたココナッツクリーム。

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ふんわりした泡、上にはすっきりとミントオイルを垂らして。

Barbecue

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そして、韓国のバーベキューをイメージしたという個性的なデザートは、ベーコンと甘いバナナのチャツネにキャラメリゼした玉ねぎを加え、タヒチアンバニラを使ったスモークアイスにコチュジャンのスポンジを合わせて。その下にはチョコレートのクリーム。後味がチリチョコレートになるのは気に入りました。

小菓子は、ラベンダーのマカロン、コーヒーのシュー、きな粉を中心とした、マルチグレイんの粉まぶしたチョコ。

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中が柔らかいチョコレートは、きな粉がまぶされると、餅のようなテクスチャに感じられるのが面白かったです。

現在のメニューは8月いっぱいまで。

特に生のシーフードを使った皿は、和久田シェフ直伝の日本の三杯酢や寿司酢の甘酸味のバランスと日本の出汁をベースに、自らのルーツである韓国のコチュジャンの辛味とコクを上手にミックスしている印象です。

現在Metaは30席ですが、11月にオープン予定の2号店では、50席と席数を増やし、アラカルトを中心にしたカジュアルなお店にして、お任せコースのMetaとの住み分けをしていくということです。

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■Meta(メタ)

営業時間:ランチ 12:00~14:30(平日)、ディナー 18:00~22:00(月曜~木曜)~23:00(金曜・土曜)、日曜休

住所:9 Keong Saik Road, Singapore 089117

電話:+65 6513 0898

アクセス:MRTアウトラム・パーク駅徒歩7分

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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