「想定外」が日常的

公開日 : 2013年01月18日
最終更新 :
筆者 : monalisita

日本の原発事故以降、言い訳としてよく聞かれるようになった言葉「想定外の出来事」。ここドミニカ共和国では、予想もしない想定外の出来事ことが本当に頻繁に起こる。

つい昨日、スーパーへ買い物へ行こうと車を運転していた時のこと。前方の中央分離帯に植わる街路樹が茂りすぎていたせいか、業者が枝葉を切り落とす作業をしていた。ここは常夏の国なので、植物の生長が早く、樹木はすぐに葉っぱでいっぱいになる。ハリケーンや強風が吹くと、あちこちで枝が折れ、道路に散漫する。たまに、3m以上の巨木が根こそぎ倒れ、道をふさいだりと交通にも支障をもたらす。これを未然に防ぐためか、もしくは枝葉が電線に引っかかるのを防ぐためか、その目的は定かではないが、大型クレーン使って茂った枝葉を切り落としていた。

この時、何が起こったか。比較的大きな枝を切っていたようで、それが倒れ落ちるときに、引っかかる電線を引っぱり、その電線につながる5mはすると思われる電柱のように太い街灯が大きく傾いた。そして、枝葉が落ちる重みで街灯が根元から反対側の道路を横断するようにゆっくりと倒れた。しかも、倒れたのは1本だけではない。電線の両脇につながる大きな街灯2本が倒れ、2車線の道路を完全に塞いだ。街灯には二つの電灯があり、それが道路に打ち付けられ、粉々になった。そして、そこには、路上に駐車する車が連なっていた。私が見た限りでは、幸いにも駐車している車の真上には落ちずに、ちょうど車間に落ちたようだが、あと50㎝もずれていたら、完全に車はぺちゃんこになっていたことだろう。その車線を車が走っていなかったことも、幸い中の幸いだった。私が走っていた車線はと言うと、信号待ちで車が列を作っていたから、もし街灯が反対側に倒れていたらと思うと、ゾッとするくらい恐ろしい出来事。

この出来事は私にとって「想定外」。そしてこれは完全に人災であり過失。自然災害を未然に防ぐための作業で、事故を起こしては元も子もない。木を切る専門業者だったら、いや素人であったとしても、切ろうとする枝葉がどの方向に倒れ、近くを走る電線を引っかけるだろうということぐらいは、簡単に予想できるはず。であれば、電線に引っかかりそうな部分では、少しずつ枝葉を切っていくなどのこともできたはず。それを、考えていたのかいないのか、作業を少しでも早く終わらせるためにか、一度に大きな枝を切ったものだから、こんなことに。作業者に「想定外の出来事」とは言ってもらいたくない。

先を考えずに楽天的に生きるドミニカ人の姿もある意味ステキだけど、数秒先に起こりうることは、もうちょっと真剣に考えてほしいものよね。ドミニカで想定外の出来事が頻繁に起こるのは、人々が先のことを予想しないから、とも言えるのかも知れない。

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