2000年以上の歴史ロマンが宿る荘厳なパンテオン

公開日 : 2019年01月21日
最終更新 :

「Roma, non basta una vita!」

ローマを知るには一生では足りないという言葉があるように見所たっぷりの永遠の都"ローマ"には人々を惹きつけて止まない2000年以上の歴史を持つ建造物があります。古代ローマ人の英知が詰まっているこのパンテオン(伊語:Pantheon)もローマを訪れるなら絶対に外せない観光スポットの一つです。

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このパンテオンは、古代ローマの建造物の中でももっとも保存状態が良いものとして知られています。第14代ローマ皇帝のハドリアヌスが元々あったマルクス・アグリッパの神殿(紀元前25年)の上に現在の姿のパンテオンを120年頃に建設したとされています。つまり今日、私たちが目にすることができるパンテオンは2代目で、ハドリアヌス帝も再建時に初代パンテオンを建造したアグリッパに敬意を示すという意味でパンテオンの三角屋根の部分にラテン語で彼の名前が刻まれています。

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石造りの丸天井では最大で、完全な半球形のパンテオンは、もともとは古代の神々に献じられたもので多神教の神殿だったが、ローマの神々が信じられなくなった後もシンボリックな空間性を持つ建造物として608年以降は、キリスト教会となっています。そもそもパンテオンの名称は、ギリシャ語で「すべて」のという意味を持つパン(Pan)と「神」という意味を持つテオス(Theos)が由来になっています。

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外観からだと掴みにくい完全な半球形も直径と内部の高さは43.2mと等しく設計され、光を採るための直径9mの天窓は、雨天時には、大理石の床に空いた22個の穴から排水されるという極めて高度な造りになっています。また、三角屋根を支える16本のコリント式(古代ギリシャの建築様式)の円柱は1本一つの石塊で造られ、古代ローマ人が発明した驚異的な強度を持つ深さ4.5mのローマン・コンクリートが基礎を支えています。

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パンテオンの内部に光をもたらす天窓(伊語:Orecchio /ラテン語:Oculus)は、ペンテコステ(伊語:Pentecoste)という復活祭から数えて50日後の聖霊降臨祭の時期に薔薇の花びらが舞い落ちるという幻想的なイベントがあります。2019年は6月9日に予定されていますので、タイミングが合えば訪れてみるのも良いでしょう。

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パンテオンの内部では、その壮大な姿に感動すら覚えるこの完全な半球形と天窓に着目しがちですが、盛期ルネッサンスの巨匠ラファエロ(伊語:Raffaello Sanzio)やイタリア王国の2代目国王であるウンベルト1世(伊語:Umberto I)が眠るお墓もあります。

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また、イタリア統一の象徴として国民から敬愛されたイタリア王国の初代国王のヴィットリーオ・エマヌエーレ2世(伊語:Vittorio Emanuele II di Savoia)も見守られながらまたここで眠っています。

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今やローマに堂々と聳え立つパンテオンは、何世紀のも間に略奪や毀損の被害を受けてきています。その証拠として鋲と穴が目立つ外壁のレンガ部分は、大理石版があったとされ、柱廊天井を溶かして、ヴァチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂にある主祭壇上のバルダッキーノ(Baldacchino)やサンタンジェロ城の大砲として使われていました。

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「Chi va a Roma e non vede la Ritonda (Pantheon)asino va e asino」

"ローマを訪れてこのパンテオンを見ないのは愚か者"という名言が存在するようにパンテオンがもつ高度な構造からここを訪れる人たちに英知をもたらすという意味からもここ永遠の都"ローマ"で圧倒的な存在感があります。

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また、パンテオンの近くには、ローマでも老舗中の老舗で知られるカフェ屋さんがあります。1944年開業の「Tazza D'oro(タッツア・ドーロ)」は、一つ一つ丁寧に淹れた香り高いエスプレッソが自慢ですが、パンテオン観光の際には1杯のコーヒーを飲みながら一休みすることをお勧めします。ローマ2特派員の筆者も必ずと言っていいぐらいにここに立ち寄っています。

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店名:La Casa Del Caffè Tazza D'oro(タッツア・ドーロ)

住所:住所:Via degli Orfani, 84, 00186 Roma

是非ともパンテオンがもたらす古代ローマ人の英知を思い切り感じてみてください。

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筆者

イタリア特派員

田澤 龍太郎

現地でサッカーを中心にしたスポーツ留学サポートや旅行アシスタントやコーディネーター等と現地在住の強みを活かした仕事をしながらどっぷりと濃いローマライフを満喫中。

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