ローマ発!興味深い国境の町トリエステを訪れて

公開日 : 2018年09月04日
最終更新 :

先月、イタリア極東部の突き出た陸地に位置するトリエステ(伊語:Trieste)を訪れたので、この機会にトリエステでの旅の記録をお届けします。

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トリエステは、多くの旅人たちに見過ごされるイタリアの都市の一つだったが、スロヴェニアやクロアチアへの接続が良く、国際空港もあることから少しずつ知られつつあるようだ。ここトリエステは、オーストリアやハンガリー様式の建築物が多く、ウィーンのコーヒーハウス文化を持つことからイタリアにいながらもまた異国を感じさせてくれる興味深い町でもある。また、イタリアの新聞の一つである"il sole 24"紙が毎年発表するイタリア国内の"生活の質が高い"都市ランキングにおいて毎年、トップテンにランクインしていることから洗練された都市として評価を受けている。(2017年は第6位)

Piazza dell

独特な雰囲気や特色を持つトリエステの街は、18世紀~19世紀にかけてオーストリア=ハンガリー帝国の重要な南の港として栄えた時代を経て、その文化を継承していることから現在のスイス領発祥のドイツ系の貴族であるハプスブルク家の雰囲気を彷彿させてくれる。それもまた、1918年まではオーストリアの支配下にあったことからトリエステの街が明らかに他のイタリアの都市とは違う雰囲気を持つことに頷ける。

Piazza dell

特にトリエステの歴史的中心街にある広場"イタリア統一広場(伊語:Piazza dell'Unit d'Italia)は、オーストリア=ハンガリー都市計画の恩恵を受けていることからその優美さに溢れていることが実感できる。

Piazza dell

イタリア統一広場の裏手にあり、1~2世紀の間に建てられたローマ劇場(伊語:Teatro Romano)の遺跡は、保存状態が良い遺跡で知られ、夏の間には時々、コンサートが開催されるようだ。

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今回、トリエステの街歩きの途中で何気に寄ったジェラート屋さんで、"桃とバジル"という全く想定外な組み合わせのジェラートを味わったのだが、桃が持つ果実そのものの甘さとバジルの苦味もしくは渋味が絶妙に絡んで、言葉で表すのが難しいぐらいの美味しさと新鮮な感覚に襲われます。この種のジェラートは、この街を訪れたら是非とも挑戦してみて欲しい。

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店名:Jazzin Gelateria Trieste/住所:Via del Mercato Vecchio, 1, 34121 Trieste

※営業時間 11時~0時/月曜定休

トリエステ市の郊外に足を運べば、100m~200mの高さを持つ崖が海岸線を形成し、素晴らしい景観を成しているが、その浜辺にはやはり海好きそして日焼け好きの国"イタリア"らしく毎夏、日焼けにと海水浴客で溢れているようだ。

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そして、トリエステ市から北西約7km先の海沿いの郊外には、ミラマーレ城(伊語:Castello di Miramare)がある。ロマンチックな雰囲気が漂うこの城館は、1855年にオーストリアの当時の皇帝の弟"マクシミリアン大公"が建設を開始したものだが、悲劇の城というべきエピソードがあるようだ。1864年にメキシコ皇帝になる申し出を受けたマクシミリアン大公は、その後退位させられ、銃殺刑にされたことからこの風光明媚な城館の完成を見ることができずにこの世を去っている。さらに第2次世界大戦後には米軍本部として1954年まで使用されていたというからこのアドリア海を眺められる白亜の城館からは想像できない歴史が存在していることが分かる。

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また、このトリエステは第2次世界大戦後の1947年、平和条約によってトリエステ自由地域(伊語:Territorio libero di Trieste)と呼ばれる地域が誕生している。しかし、この自由地域は、英米軍が統治するトリエステ市を含んだ北部地区とユーゴスラビア軍が統治するイストリア半島の一部を含む南部地区に分割され、年々その対立の溝は深まるだけで「自由地域」としての役割は皆無に近い状態だったと言われる。その後の1975年にはイタリアとユーゴスラビアとの条約によってトリエステ市は正式にイタリアへ復帰することになった。それでも1991年~1992年の間にユーゴスラビアからスロヴェニアとクロアチアが独立するとかつてユーゴスラビアが統治していたエリアで新たな領有権問題が発生し、現在も完全には解決してないと言われている。

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このように様々な国々によって複雑な歴史の境遇に置かれてきたトリエステはイタリアの都市としては歴史的に浅い都市とも言える。まだまだ見所がたくさんあるイタリアの都市の中でもトリエステもまた、別の魅力を持つ都市でもあり、機会があれば是非、訪れてみて欲しい。

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【アクセス方法】

ローマよりトレニタリアの特急利用にて約7時間半。又は、ベネチア・メストレ経由にて快速列車にて約2時間とアクセスも可能。

筆者

イタリア特派員

田澤 龍太郎

現地でサッカーを中心にしたスポーツ留学サポートや旅行アシスタントやコーディネーター等と現地在住の強みを活かした仕事をしながらどっぷりと濃いローマライフを満喫中。

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