ローマで一番大きな市民公園:ヴィッラ・ドーリア・パンフィーリ

公開日 : 2018年10月30日
最終更新 :

本日は、ローマで一番大きな公共の公園、ヴィッラ・ドーリア・パンフィーリ(ドーリア・パンフィーリ公園 Villa Doria Pamphilj )をご紹介します!バチカン市国の南東に位置し、東京ドーム38個分(184ヘクタール)の広大な面積を持つ公園は、園内に貴族の邸宅や噴水が散らばり、散策もとても楽しい場所です。緑の中でのびのび出来る公園は、年間を通じてローマっ子の憩いの場となっています。

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↑ ところでヴィッラ・ドーリア・パンフィーリ公園は不思議な形をしています。建設当時は大きな半円形でしたが、1960年のオリンピック開催の際に、公園の中央部にレオーネ13世通り(通称"オリンピック通り")が通されることとなりました。その為、公園の敷地は左右の西と東にすっぱり分断されています。(下部のGoogleMapでその形をご確認下さい)

公園の東側の部分には、歴史的な建築物、噴水などの見どころが集中しています。一方、西側は手つかずの自然が残る部分です。写真は、公園の東側にある幾何学模様が特徴的な美しいイタリア式庭園です。お庭の前に建つ白さがまぶしいベル・レスピーロの小邸宅は、今日は国の管轄となっています。

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↑ 柑橘類の黄色の実が目を引きます。

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↑ このイタリア式庭園の前にあるヴィーナスの噴水です。イタリア人の彫刻家で古代彫像修復のエキスパート、アレッサンドロ・アルガルディのデザインによるものです。

ヴィッラ(公園)は、他の多くのローマの庭園と同じように、ローマ貴族パンフィーリ家に起源を発しています。ローマ法王インノケンティウス10世の甥、カミッロ・パンフィーリ枢機卿が、1630年代の初めに現在の場所に土地を購入したのがこの公園の歴史の始まりです。

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↑ ここでもオレンジがたわわに実をつけていました。最近の研究報告では、枢機卿はヴィッラのプロジェクトをバロック時代の建築家ボロミーニにも依頼していたことが分かっていますが、建設に携わった重要な二人の人物は、前述のアレッサンドロ・アルガルディと、建設の現場監督として指揮を執った、建築家で画家でもあるジョヴァンニ・フランチェスコ・グリマルディです。

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↑ ファウヌスの噴水と呼ばれる怖い噴水が、テアトロの庭の中心を飾っていました。奥に見えるのが、先程ご紹介したイタリア式庭園の前のベル・レスピーロの小邸宅です。手前にヴィーナスの噴水も見えます。古代彫刻を施されたこの様な小邸宅は、内部に美術品のコレクションを招き入れる目的も持っていました。いつの時代にも、領主は所有する土地を出来る限り美しく飾り、自らの権力を誇示したい強い欲望がありました!

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↑ 園内には多種多様な樹木が生えています。数百本のカシが並ぶ散策道は、お散歩にはとても気持ちの良いものです。ベンチがあったので休憩をしました。

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↑ ヴィッラの土地は1939年にローマ市による買収が始まり、70年代初めにかけての公園の最終整備の後に市民公園として一般公開されることとなりました。今日では誰でも訪れることの出来る都会の緑のオアシスです。ローマの冬は比較的温暖な為、悪天候でなければ一年中自然を楽しめる公園です。

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↑ イタリアのどんぐりは、弾丸くらいの大きさがあります!掌の半分を占めていました。

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↑ 公園からは、バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂のクーポラ(丸屋根)も見えました。昔、ローマ近郊の羊飼い達がローマの方向を確かめる為に目印にしていたというのも分かる大きさです。

園内を歩くと、多くの古い時代の歴史的建造物を目にすることが出来ます。例えば、公園の北側に隣接する旧アウレリア街道付近では、ローマ水道であるパオラ・トライアーナ水道の遺構や、ローマ時代のネクロポリが集中しています。大きい公園ですので、イタリア式庭園や建築物などを見学するなら、公園の東側部分からの訪問が良いと思います!

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↑ ローマ貴族パンフィーリ家の田舎の滞在用としての機能を持っていたヴィッラは、1700年代以降に用水路や池の整備などの改修が行われました。筆者が訪れた時間は、池の周りのベンチで景色を見ながらお食事を摂る人達がいました。筆者が池に近づくと、餌をくれると思ったのかカモが皆でやって来ました。

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↑ 白鳥にも出会いました。

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↑ 何故かいつも同時に潜っていて、とても愛らしかったです!

もしローマ滞在中にお時間があれば、自然の中でのんびりとリラックスしてみませんか?

インフォメーション:

名称    ヴィッラ・ドーリア・パンフィーリ(ドーリア・パンフィーリ公園 Villa Doria Pamphilj)

住所   市のホームページに登録されている入口は以下の5か所。最も分かりやすくおすすめなのは、一番最後の Via di Porta S.Pancrazioから入る方法。公園の一番東の三日月の角のとがった部分にある Largo III Giugno 1849から入場することが出来る。

Via Aurelia Antica, Via Leone XIII (Olimpica), Via della Nocetta, Via Vitellia, Via di Porta S.Pancrazio

開園日  10~2月は7~18時、3月と9月は7~20時、4~8月は7~21時。

入場料   無料

ホームページ  こちら

行き方    テルミニ駅から64番のバス(Piazza Stazione San Pietro行き)に乗り、停留所LGT Sassia/S.Spirito で下車し、115番のバス(循環Paola行き)に乗り換える。Carini/S.Pancrazioの停留所で下車し、公園の入り口(Largo Tre Giugno 1849)まで徒歩約2分。

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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