ローマが雪で真っ白に!記録的な寒さのブリアン大魔王の爪痕!

公開日 : 2018年02月27日
最終更新 :

昨日はローマで大雪となりました!一昨日の予告記事「イタリア半島で大雪の恐れ!強烈な寒風ブリアンさまが到着しました!こちら」の配信がぎりぎりでしたが間に合い、本当に良かったです。今後も、悪天候については正確な情報を把握次第、日本語で掲載して行きたいと思います。本日は、ローマで大雪直後の様子を撮影して来たものをお届けします。

この"ブリアン(Burian)"と言うものは、シベリア大陸からやって来た、雪を伴う強烈な寒風です。数日前から、"ブリアンが首都を占拠か!""ブリアンがやって来る!""ブリアンがイタリアをぺろり!"などと、新聞の見出しに情報がちらほら出始めましたので、イタリアでは警戒をしていたと思います。

"ブリアン"は、ギリシア語のボレアス(Boreas/Βορέας)から来ていて、イタリア語ではブリアーナ(Buriana)と言う"短期間の吹雪"を意味する単語が感覚的に最も近いと思います。

典型的な地中海性気候のローマの冬は温暖で、通常は霜が降りたり雪が降ることはありません。ヤシやバナナ、極楽鳥花なども普通に地植えで年を越します。最近雪が降ったのは、2012年2月のことです。その前は1985年1月でしたので、ほぼ30年に1回のペースで白い悪魔がやって来ることになります。この1985年のものは、近年でローマで最も被害が出た降雪で、中心部で15センチ積もったそうです。

今回のブリアンは、ローマ中心部で3センチ、北ローマで10センチの積雪の予報が出されていました。雪に慣れていない為、首都ではこの程度の降雪でも交通機関が簡単にマヒしてしまいます。この為、昨日26日は、ローマの学校は幼稚園から大学まで強制的に休校となりました。それでは、一緒にローマの雪の模様を見てみましょう!

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↑ 26日朝10時頃のコロッセオです。深夜3時頃から降り始めた雪で真っ白になっていました!

ローマには、ブリアン大魔王は25日の深夜から26日の明け方に到着するとの予報が出ていました。気になって25日の深夜1時半に窓から外を見てみたところ、シトシトと降る雨で、特に雪になってはいないようでした。ベッドに入って、スマホで Skyline Webカムさんの観光Webカメラで、この様な事態ではいかにも雪が降りそうな怪しそうな都市、ペルージャとアブルッツオ辺りをちらっと覗いてみたところ、既に吹雪で画面が真っ白ではありませんか!もうダメだと思いました。ローマまで下りて来るのも時間の問題です。そこで戸締りをしっかりして、首にマフラーを巻いて自分の運命を呪い、諦めて寝ました。

参考記事:

2014年12月28日号 リアルタイムで楽しめるWebカメラ(生中継カメラ)でローマを覗いてみよう!こちら

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↑ 降雪から5時間経ったローマの中心部の道路の様子です。26日の朝、家の近くの歩道で、大きな声で雪合戦のチーム編成をしている子供達の声で目が覚めました。もうダメだと思いました。積もっているに違いありません。そこで、まずは、ローマのシンボル、コロッセオに様子を見に行ってみることにしました。雪で滑る為、運動靴を履いて行きましたが、雪がたっぷりと水分を含んでおり、あっという間に浸水してしまいました。そして、再度、踵が高いブーツに履き替えて出直しました。雪で足元が大変滑るので、腰を低くして、コントの様な格好で歩いて行きました。

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↑ この時の気温はマイナス3度です。雪が溶けていない為、中々うまく歩けません。コロッセオまで本来ならばすぐの筈が、"私バチカン市国まで行って来ました!"と言う位、時間がかかりました。コロッセオ前では雪合戦をする人達、雪合戦に参加したくてクンクン鼻を鳴らす犬など、多くの素敵な人達に出会いました。

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↑ コロッセオの内部にも雪が積もっているのが外から見えました。今日は休園との看板が出ています。

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↑ コロッセオとヴェネツィア広場を結ぶフォーリ・インペリアーリ通りです。この通りを挟んで両側にフォロ・ロマーノとフォーリ・インペリアーリの遺跡があります。ローマの建国は紀元前753年4月21日と言うことで、この辺りはローマを愛する者にとっては歴史的に興味深いゾーンです。コロッセオからここまで約200メートルですが、歩くのに20分位かかりました。この様に、大勢の観光客さんが足元に注意しながら、ぞろぞろと列になってゆっくり歩いて行きます。水分を多く含む雪で道路がべちゃべちゃです。除雪車の早めの登場が望まれます。歩いているうちに晴れて青空になって来ました!

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↑ フォロ・ロマーノです。写真中央辺りに見えるのが古代の元老院で、今見えている建物はディオクレティアヌス帝(在位:284~305年)が再建した時のものです。ファサードにあった青銅の扉は、ローマ法王アレクサンドロス7世によって、サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂の正面部分に移されています。荘厳で素晴らしいオリジナルの扉ですので、是非ご覧下さい。

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↑ 置かれていた場所が場所(ローマ皇帝達の銅像が並ぶフォーリ・インペリアーリ通りの遺跡)なので、カエサル(シーザー)かしら?と思いました。

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↑ 雪景色のフォロ・ロマーノは幻想的ですらあります。

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↑ 続いて、ヴェネツィア広場に行ってみました。記念堂周辺では滑る人が続出していて、ローマ市がせっせと塩を撒いていました。ばっさばっさと節分に近いものを感じました。気象学者によると、今回の寒波は、過去60年のうち、最も厳しい寒さの一つに数えられるそうで、市では雪に立ち向かう為に334トンの塩を用意して待っていました。公共交通機関に関して言えば、地下鉄とトラムは平常通りの運行でしたが、バスは大幅に間引き運転でのサービスとなりました。(昨日と今日)

今現在もローマでは、公共の公園、ヴィッラ、遺跡、延いては墓場まで閉めています。今日はコロッセオは朝10時、フォロ・ロマーノは11時からオープンしました。パラティーノの丘とカラカラ浴場は雪山と化していて、閉園となっています。また、イタリアの鉄道(Trenitalia)を利用してローマから移動する場合ですが、ケーブルの凍結による運行休止などの情報は、公式ホームページ(Fs News)、Twitter(FS News)などで最新情報を順次更新しています。ご利用前に問題がないか、一度ご確認下さい。

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↑ ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂の正面の階段は雪が積もって真っ白です。ローマの女神像も今日は一人で寂しそうです。

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↑ 続いて、スペイン階段へ行ってみました。階段の上から見ています。遠くの方まで、家々の屋根は真っ白です。

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↑ こちらは今朝のコロッセオ前の道路です。昨晩、マイナス7度まで下がった為、路面が凍結してしまいました。特に写真の左側に見える歩道は、踏み固められた雪が厚みのある氷の板の様につるつるになっています。一方、中央の石畳部分ですが、こちらもとても危ないです。石畳はただでさえ滑りやすいですが、今日は私の上でもっと滑ってと言わんばかりに白い怪しい光を放っています。

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↑ 今度はポポロ広場に寄ってみました。除雪車の出動があったのか、雪は広場の端の方に除けられています。ちょうど日没の時刻で、ヴァラディエのライオンの噴水(1828年)から見た双子教会の屋根の部分に夕日が射してきました。まだうっすらと雪が残っています。

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↑ もうすぐ日が落ちます。今日のローマの日の入りは17時59分でした。

ニュースによると、この寒さでイタリアの食卓ではスープを食べる人が急増しているそうです。キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、長ネギ、アーティチョークが特にスープの具として人気があり、いつもに比べて20%増しの売れ行きとのことでした。

ご旅行中の皆さまも、特に今の季節は沢山食べて体を温めて下さい。どうぞ安全で楽しいご旅行を!

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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