村上春樹さん原作×蜷川幸雄さん演出の舞台『海辺のカフカ』がパリで称賛【ジャポニスム2018】

公開日 : 2019年02月26日
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©KOS‐CREA 写真提供:国際交流基金

昨年より行われてきた日仏友好160年イベント「ジャポニスム2018:響き合う魂」も、いよいよ今年2月末で閉幕です。その最後を飾るにふさわしく、村上春樹さんの小説を原作に故・蜷川幸雄さんが演出した舞台『海辺のカフカ』が、パリの国立コリーヌ劇場で2月15から23日まで上演されました。

初日にメディア向けに公開された通し稽古と、20日の本番に行ってきました。

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©KOS‐CREA 写真提供:国際交流基金

あらすじを少し紹介すると、まず中野区野方に住む15歳の少年・田村カフカはある時家出をして深夜バスで高松へ行きます。そして同市にある私立図書館に司書・大島の厚意もあり身を寄せることになったカフカ少年は、同図書館の女性館長・佐伯に惹かれていきます。一方で幼い頃に、不思議な現象に遭遇して字などが読めなくなってしまった老人ナカタ。彼もあることをきっかけに「入り口の石」を探して、トラック運転手の星野と東京から高松へ向かいます。カフカ少年とナカタ老人、二人が向かった高松と二人の関係とは......という物語です。

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初演は2012年。2015年には蜷川幸雄さんの80歳を記念してロンドン、ニューヨーク、埼玉、シンガポール、ソウルを巡るツアーを行い、今回2019年にはパリで「ジャポニスム2018」として上演されました。今回は佐伯役を寺島しのぶさん、図書館司書・大島役を岡本健一さん、田村カフカ役を古畑新之さん、さくら役を木南晴夏さん、ナカタ役を木場勝己さんが演じています。

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©KOS‐CREA 写真提供:国際交流基金

同舞台の感想ですが、とにかく飽きません。次の展開がどうなるのだろう見入ってしまう村上春樹さんのストーリーと、それを蜷川幸雄さんの世界観、そして蜷川さんにより構成された舞台という場所にもっとも適した演出で見せてくれます。原作の小説を読んでいなくても楽しめますが、小説を読んでからだと「このシーンを舞台でこう演出するのか!」と比べることもできて、なおさら面白いです。

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©KOS‐CREA 写真提供:国際交流基金

20日について言えば、上演中の一幕が終わった際にも拍手が出たことがありましたし、最後はスタンディングオベーションの大きな拍手に包まれて終幕しました。舞台上の役者さんたちも、カーテンコールでそれら観客の反応を見て、とても充実した表情をしていたのが伝わってきました。帰り際、フランスの観客は「とても美しい舞台だった」と感想を述べあっていました。

今回のパリ公演は早々にチケットが売り切れ、関係者によれば50人ほどが連日、当日のキャンセル待ちを願って並んでいたとのこと。客層も現地の人で構成されて、フランスで完全に受け入れられたパリ公演は大成功だったのではと思います。

また千秋楽だった23日の16時からは、村上春樹さんによるトークイベントも行われました。

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©KOS‐CREA 写真提供:国際交流基金

今年5月21日から6月9日まで、東京のTBS赤坂ACTシアターでも凱旋公演が行われるそうです。日本にお住いの方はそちらで楽しんでみてはいかがでしょうか。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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