スポーツと男女平等

公開日 : 2010年03月07日
最終更新 :

スキージャンプ台、ホルメンコレンのオープンイベントが終わって数日。イベント当日は「ノルウェーを代表するホルメンコレンで、初めて男性より先に女性がジャンプする」ということで、女性のアネッテ・サゲン(Anette Sagen)選手が世間の注目を集めていましたが、イベント前日に男性のビョ−ン・エイナル・ロームレン(Bjørn Einar Romøren )選手が「トライジャンプ」としてメディアを前にジャンプしてしまったことは、ノルウェー全土で非難の的となっていました。(前回の記事参照)

 イベント当日の夜にロームレン選手がサゲン選手に謝罪の電話をしたことで、この論争には一旦終止符が打たれるかと思いましたが、数日経った現在でもテレビや新聞ではロームレン選手に対する非難する声が後を絶ちません。

 この事態を受けて、4日にはロームレン選手が多くの報道陣の前で謝罪する処置がとられました。「自分が最初にジャンプしてしまった事の重大さが後になって分かった。自分が今人気者でないことは理解している」と、疲れ切った表情でコメントしたロームレン選手。

 今回の事態を重くみたスキー協会は、罰としてロームレン選手の参加が決定していた今後の2つの大会の権利を剥奪しました。また、彼のリーダー2人は、全面的に今回の決断の責任を取ることを発表しましたが、未だに最終的に誰がトライジャンプを指示したかはっきりとしていません。

 冬季五輪でジャンプ男子団体で銅メダルを獲り、スキージャンプ界で人気のあるアンデシュ・ヤコブセン選手を初めとする彼の同僚たちからは「あまりにも罰が重過ぎる。メディアでのこの過剰な取り扱い方で、彼は十分にもう罰を受けているよ。」というコメントが多く聞かれます。ロームレン選手ひとりに責任を追求しているメディアの過剰な報道に、眉をしかめている人々も多く見られます。

 大手新聞社VGのアンケートによると、ロームレン選手がサゲン選手より先にジャンプしたことは、約75%が「間違った決断だった」と回答。テレビの取材に答えていた女性は、「これは女性にとって重要な事よ。伝統的に男性が何でも一番なんて、認められないわ」と答えていました。

 スポーツのあり方、責任の取り方、メディアの報道のあり方、そして男女平等。本来、ホルメンコレンのオープンを祝福するニュースで一杯となるはずだったこの数日間が、思わぬ方向に向かっています。私個人的には、この出来事がノルウェーでここまで問題視されることに驚きました。先にジャンプしたのが男性か、女性か。日本だったら、ここまで問題視されることはないのではないでしょうか。

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