蘇我馬子のお墓?石舞台古墳

公開日 : 2018年06月28日
最終更新 :
筆者 : 大向 雅
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明日香村には飛鳥時代の宮殿や住居などの遺跡が数多く眠っており、現在でも毎日のように発掘調査が行われています♪また、古代からの原風景がそのまま保存されている村であり、訪れた方々はとても癒されることから日本の心の故郷と呼ばれたりもします。

実際に一見しただけではただの田舎のように見えますが...

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明日香村という場所は、日本で唯一、村の全域が古都保存法の対象地域であり、歴史的風土保存の対象とされています。

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例えば御神体の山のように注連縄(しめなわ)や鳥居で結界を作り、禁足地として隔離された場所を保存することとは違い、人が普通に暮らしている村全体にある遺跡や景観をできる限り変えないように守り続けていくということは並大抵の努力ではありません。

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「飛鳥」と「明日香」という表記にについて、よく聞かれるので少し解説させていただきます。じっさい両方共に「アスカ」という読みには違いはありませんが、現在では「飛鳥」は飛鳥時代や、飛鳥寺、飛鳥座神社などのような昔ながらの固有名詞に使われていますし、「明日香」は村や学校の名前に使われることが多いです例)明日香村役場・明日香小学校等。

もちろん例外も沢山ありますから、一概にその線引きは難しいですが、私は時代と村の名前で「飛鳥」と「明日香」を分けるようにしています。とはいえ、平成32年度からは正式に「飛鳥ナンバー」というのが認められたとのことですから、両方ひっくるめて「飛鳥」に統一しても良いかもしれませんね。個人的には「飛鳥」の方がカッコ良くて好きです。

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前置きが長くなってしまいましたが...たくさんの史跡名所がある明日香村の中でも、とりわけ有名なのがこの石舞台古墳(いしぶたいこふん)ではないでしょうか。こうしてみると周りに対比するものが何もないので小さく見えますが、実際に中に入ってみますと...とても大きいのです。

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羨道(せんどう)と呼ばれる通路から横穴式の構造で、中に入ることができます。

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玄室(げんしつ)と呼ばれる内部は、長さ7.7m幅3.5m高さ4.7mもあり、とにかく一つ一つの石が大きいのに驚かされます。

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こちらは石棺(せっかん)というもので、被葬者を中に入れて玄室に埋葬するためのいわゆる棺桶です。ただしこちらは復元されたレプリカ。

かつてこのむき出しになっている石を覆うように、土が盛られて、当然葺石で固められていたはずですが、被葬者がよほど怨まれていたのか、もしくはあらためて違う場所に埋葬されたために土を運んでいったのか、今となっては誰にも分かりませんが、とにかくむき出しの玄室が残っていまして、そのおかげで観光名所となっていますから皮肉なものです。

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ちなみに、この古墳の被葬者は江戸時代までは推古(すいこ)天皇や舒明(じょめい)天皇、天智(てんじ)天皇の名も候補に上がっていたそうですが、現在の見解では、古墳のある島庄(しまのしょう)の地にゆかりがあり、かつて島の大臣と呼ばれた蘇我馬子(そがのうまこ)であるとされています。

蘇我馬子といえば、飛鳥時代に最も政治権力を誇ったお方ですから、これくらいのお墓の規模があってもおかしくはないですし、その後中大兄皇子と中臣鎌足によって蘇我蝦夷(えみし)や入鹿(いるか)が討伐されたことを考えると...馬子さんのお墓も荒らされて、石室をむき出しにされてしまったのだろうか...などという仮説も、あながち間違った説でもないのかもしれません。

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明日香村の中には、まだまだこのようにモノを言わぬ遺跡がたくさんありますので、ぜひ古代のロマンを追い求めて歩いて頂けたらと思います。

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