鹿は春日大社の神の使い

公開日 : 2017年09月21日
最終更新 :
筆者 : 大向 雅
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興福寺の南を通る三条通の東の突当りには春日大社の一の鳥居が建っていて、ここから約1Kmの参道が始まるわけですが、これがなかなか味わい深い未舗装の参道なんです。

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たとえば鳥居をくぐり抜けたすぐに右側には影向(ようごう)の松というのが凛と立っています。この松はかつて春日大明神が翁(おきな)の姿で降臨されて万歳楽(まんざいらく)を舞われた地であり、芸能の神の依り代とされる木であることから、能楽舞台の後ろの鏡板に描かれている老松の原点だとか...。

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また、少し先にある春日若宮の御旅所(おたびしょ)では12月のおん祭りのときに神様が仮御殿に鎮座され、この芝生の舞台で田楽や舞楽が奉納されます。これが芝居の語源となったともいわれています。この他にも細かい見どころがたくさんありますが、今回は先に進ませていただきます。

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二の鳥居から先はおびただしいほどの燈籠が立ち並び、ただのお散歩道から一気に神聖なものへと空気が変わります。

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手洗い水を恵んでくださるのも鹿というこだわりよう。春日の神様が鹿に乗って来られたことから、神の使いとして神聖なものとして大切にされてきました。今では国の天然記念物に指定されています。手と口を清めたら横にある祓戸(はらえど)神社にお参りしましょう。

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祓戸神社というのは、本殿に向かう前に禊ぎをして清めるためのお社です。まずこちらで諸々の罪・汚れをお祓いしてから本殿へお参りするのが作法。しっかりと清めたかどうかは鹿さんが見てますから、くれぐれも手抜きにないように。

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こちらの朱が鮮やかな楼門が春日大社の正門となります。

春日大社の縁起は少々ややこしいですが、茨城県の鹿島より白鹿にまたがってやって来られた建御雷命(タケミカヅチ)が御蓋山(みかさやま)の山頂に降臨され、その後に千葉県の香取神宮のご祭神・布津主命(フツヌシ)をお迎えし、東大阪の枚岡神社から天児屋根命(アメノコヤネ)と比売神(ヒメガミ)の夫婦神を迎え入れて併せて祀り、山の中腹となる現在の地に四つの社殿を造営したのをもって創祀とされています。

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とにかく日本の神様の名前は漢字が難しいうえに、読み方もむずかしいときているので頭が痛くなりがちですが、この四柱(よはしら⦅神さまは柱と数えます⦆)の神さまは「古事記」「日本書紀」といった日本の歴史書の神話の中でも、かなり重要な場面で出てくるので、日本人ならばお名前くらいは知っておいて損はないと思います。

ちなみにタケミカヅチとフツヌシは共に天照大御神(アマテラス)の命を受けて出雲へ出向き、大国主命(オオクニヌシ)から地上界の国を譲り受け、現在の日本を秩序ある国として治めた神様として有名。

アメノコヤネは天岩戸(あまのいわと)にお隠れになったアマテラスを外に連れ出す計画を練るなどの手腕を発揮され、政治を守り導く神として活躍された神様で、ヒメガミは奥様です。また、この夫婦神は藤原氏の前身である中臣氏の先祖とされていますので藤原家の氏寺である興福寺を守る鎮守社としての意味合いが強いのも当然のことかもしれません。

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さて、こちらの参拝所でお参りして境内を抜けていくだけなら無料ですが、せっかく来ていただいたのなら、ぜひ受付で特別参拝の初穂料500円を支払ってでも回廊の内側に入って本殿の前で参拝しましょう♪

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