ナポリの守護神 Pulcinella
ナポリを歩いていると、いたるところで見かける白い服に黒い仮面の人形「プルチネッラ」。1500年代にナポリの俳優シルヴィオ・フィオリッロによって広められた、風刺劇の道化師。起源となったのはもっと歴史を遡ります。いろいろな説がありますが、アチェッラというナポリの近くの田舎町で百姓をしていた鼻の大きなおじさんがこの道化師のもととなっているそうです。
黒い鳥のくちばしのような仮面をつけて、白いダブダブの服を着て、おどけて人を笑わせるんだけれど、心の中に淋しい部分を持ち合わせています。これはナポリの町をよく表現しているような気がします。みんなニコニコ大声で笑いながら話しているけれど、南イタリアの経済状況や家庭環境に困っていて、心の中に大きな悩みを抱えている人をたくさん見かけます。彼らはとても信心深く、幸運を呼ぶ数字や置物、悪いことを招く行動などに敏感です。
そんなプルチネッラはナポリの家庭になくてはならない存在です。最初はなんだか怖いなと思った人形ですが、だんだん友達のように思えてくるから不思議。嬉しい知らせを分かち合い、悲しい出来事は一緒に背負ってくれる、そんな表情でこちらを見ています。
街歩きの時必ず目にすると思いますが、プルチネッラにもいろいろな種類があります。ナポリのカンツォーネに欠かせない、マンドリンギターやタンブリンなどの楽器を持っているもの、ナポリのラッキーナンバーとされる13のカードを持っているもの、ピザやパスタを持っているもの、プルチネッラ自身のこどもを抱えているものなど。
表情や持ち物などにこだわりながら、相性のいいプルチネッラを探して自分へのおみやげにするのも楽しいかもしれません。
エドゥアルド・フィリッポやトト、マッシモ・トロイージを始めとし、ナポリは多くの俳優を輩出してきた街で、私の友達にも俳優がたくさんいます。オペラの中でパントマイム役者として彼らが出演していたことをきっかけで知り合いました。
脚本、演出、監督など全てを手掛けているBorruto兄弟は、この「プルチネッラ」を題材にした演劇を毎年冬に行っています。Made in Naplesという題名で、教会を舞台にしてミュージカル仕立てで演じられるこの劇は、入場料カンパ制となっていて、近所のこどもが1ユーロを握りしめて訪れたり、応援している地元の人が大金を落としていったり、観光客で溢れ返ったりしています。
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