さらば!夜行列車Lunatic Express

公開日 : 2018年07月07日
最終更新 :

咋年6月1日、首都ナイロビと港湾都市モンバサの500Kmを5時間で結ぶ高速列車「マダラカ・エキスプレス」が開業しました。この「マダラカ・エキスプレス」はケニア政府の国家戦略VISION2030の目玉プロジェクトでもあることから、その開業以来何かと話題になっていますし、日本語メディアでの報道も少なくありません。

でも今回のトピックは、この「マダラカ・エキスプレス」ではなく開業ニュースの影でひっそりとその灯を消したLunatic Express。イギリスの東アフリカ統治の歴史とともに運行されてきた夜行列車です。廃業前にナイロビ→モンバサ間を利用したときの様子をご紹介します。束の間タイムスリップジャーニーに浸っていただけたら幸いです。

建設ラッシュに沸くナイロビ市街。オフィスビルやサービスアパートメント、大型ショッピングセンターが次々にオープンしています。街の様子は「ナイロビのパノラマビュースポットへ行ってきました!」でご紹介したとおりです。

その一方で古い宅地や建造物の取り壊しが急ピッチで進み、旧きよき時代を振り返り、ノスタルジックな気分に浸ることが出来るスポットが市街地からだんだんと姿を消し、ナイロビらしさが薄まってきているのも事実です。

ナイロビ~モンバサ間で運行される夜行列車Lunatic Expressは、19世紀末に大英帝国により東アフリカ統治政策の要として建設されたもの。駅舎も寝台車も当時のままのものが多く、ナイロビ駅のゲートをくぐった瞬間にタイムスリップをしたような錯覚に陥ります。

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Lunatic Expressは午後7時にナイロビ駅を出発、約500Kmの距離を12時間かけてモンバサ駅へ向かうのだとか。でも私たちが乗車した日は、それより1時間近く早くナイロビ駅を出発しました。遅れて当たり前、と思っていただけにちょっと拍子抜けしつつ、夕焼けに染まるナイロビの街を眺め、涼やかな風を感じながら地平線を探しました。

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翌朝、目が覚めるとあたりは一面のサイザル畑。標高もかなり下がっていて、車窓から流れる風も少し緩んだようでした。朝食を済ませて時計をみると(なんと!)午前8 時を回っています。列車は快調に走っていましたが、車掌に聞くと「昼前のモンバサ到着」と言われました。

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・・・そして車掌の約束どおり、正午前にモンバサ駅に到着!到着と同時に赤道直下らしい熱気がモワっと出迎えてくれました。昨晩からの旅路を振り返るには、モンバサ駅構内は少々暑すぎましたが、非日常をたっぷり味わうことができる18時間でした。

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2017年6月に開業した高速列車マダラカ・エキスプレスは、同じナイロビ~モンバサ間をわずか5時間で走りぬけます。Lunatic Expressが狭軌(Meter gauge)なのに対して、このMadaraka Expressは標準軌(Standard gauge)のため、相互乗り入れは出来ません。マダラカ・エキスプレスは現在モンバサ~ナイロビ間(フェーズI)が完成、さらに内陸へ伸ばすフェーズIIの準備も着々と進んでいます。フェーズIIはナイロビ国立公園内を通過する計画のため、市民から反対の声も上がっています。どんどん便利になり、開発がすすむケニアを象徴するマダラカ・エキスプレスと19世紀末に大英帝国の東アフリカ進出の原動力となったLunatic Express。様式は違えど、鉄道の果たす役割は変わらないのかもしれません。

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